- 発売日
- 2024年02月21日
- 出版社
- 日本法令
- 編著等
- 花原浩二、木下勇人、井上幹康
本書は、行き場のない「事故物件」を引き受け、成仏させて新たな不動産に再生するサービスを展開する筆者が、不動産オーナーができる事件・事故の予防策や、有事の際の初動対応から手に負えない場合の最終手段まで、過去の実例を参考に解説している。国土交通省より策定された「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を踏まえて解説することにより、今まであいまいな判断で取り扱っていた事故物件への対応をクリアにしている。また、事故物件が与える不動産評価や税務への影響についても解説。
目次
表紙
はじめに
目次
第1章 事故物件の現状(概要)
1 事故物件とは
(1) 事故物件のイメージ
(2) 事故物件と心理的瑕疵物件との違い
(3) これまでに起こった事故物件の問題と事故物件を見つける方法
2 それぞれの死の発生件数データ
(1) 孤独死
(2) 自殺
(3) 事故死(転落、不慮の事故、火災による死亡)
(4) 殺人
3 それぞれの死の場合の不動産の相場比率
(1) 孤独死
(2) 殺人
(3) 自殺
4 事故物件の現場-事故物件の部屋を開けてみるとこんな物件が多い
(1) 住環境
(2) ゴミ屋敷とセルフネグレクトの関係性
5 高齢者の孤独死に見られる条件は「一人暮らし」
(1) 事故物件になりやすい家族構成
(2) セルフネグレクトの原因
6 高齢者の貧困・老後破産問題
(1) 生活保護の受給率から見る高齢者の貧困
(2) 老後破産
(3) 老後2,000万円問題
7 孤独死は高齢者以外にも起こり得る
(1) 孤独死者のうち高齢者に到達しない年齢で亡くなっている人の割合はおよそ半数
(2) 若年層・中高年のセルフネグレクト
8 今後孤独死はますます増える
(1) 高齢化率の上昇
(2) 生涯未婚率の上昇
9 不動産業界は高齢社会や孤独死にどう立ち向かうべきかが問われている
第2章 『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』について
1 『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』の制定
(1) ガイドライン制定の背景にあった2つの問題
(2) 心理的瑕疵との関係
2 ガイドラインの具体的な内容
(1) ガイドラインの位置づけ
(2) 適応範囲
(3) 調査について
(4) 告知について
3 ガイドライン制定の意義
(1) メリット
(2) デメリット
(3) 実務への影響
4 ガイドラインを無視すると今後どうなるのか
5 まだまだ認知率が低いガイドライン
(1) 宅建業者へのアンケート
(2) 一般消費者へのアンケート
第3章 有事の対応
1 事故物件の事例紹介
(1) 孤独死の例
(2) 事故死の例
(3) 自殺の例
(4) 殺人の例
2 状況別の対応(一般的な対応)
(1) 孤独死
(2) 事故死
(3) 自殺
(4) 殺人
3 イレギュラーなケースへの対応
第4章 不動産の評価への影響
1 事故物件市場と鑑定評価の関係
(1) 事故物件市場の概要
(2) 競売市場における事故物件の評価
(3) 一般市場における事故物件の評価
2 事故物件固有の調査項目
3 裁判例から探る事故物件の鑑定評価方法と減価率の程度
(1) 事案1:自殺のあった建物付き土地の売買
(2) 事案2:殺人事件のあった建物取壊し後の土地の売買
(3) 事案3:自殺のあった賃貸用マンション1棟の売買
第5章 税務への影響
1 事故物件が相続税に与える影響
(1) 相続税の課税財産
(2) 相続を原因とした財産の取得
(3) 遺贈を原因とした財産の取得
(4) 単純承認・相続放棄・限定承認の選択
(5) 財産評価の規定
(6) 事故物件が財産評価に与える影響
2 事故物件が贈与税に与える影響
(1) 贈与税の課税財産
(2) 財産評価における取扱い
3 事故物件がその他の税目に与える影響
(1) 所得税(譲渡税)に与える影響
(2) 固定資産税・都市計画税に与える影響
(3) 流通税(不動産取得税・登録免許税)に与える影響
第6章 事故物件の再生
1 特殊清掃を依頼する前に
(1) 事案が発生した際の初動対応
(2) 遺品整理と特殊清掃について
(3) これらの業界について知っておくべきこと
2 特殊清掃業者選定のポイント
(1) 検索サイトで上位表示された業者だからといって安心しない
(2) ホームページの情報から業者の良し悪しを見分ける方法
(3) 見積もり相談の連絡段階で業者の良し悪しを見分ける方法
(4) 当社が相談を受けたトラブル事例
(5) 特殊清掃業者の選定が難しいポイント
(6) 最終契約前のチェックポイント
3 特殊清掃費用
4 原状回復、リフォームの依頼
(1) 市場調査
(2) リフォームの方向性の決定
第7章 事故物件を出さないための賃貸人(大家)側の対策
1 オーナー側の対策
(1) 賃貸人(大家)側が最低限できること
(2) 見守りサービスの市場規模
2 地方自治体と民間の見守りサービスの種類
(1) 地方自治体
(2) 民間サービス
(3) 官民連携
3 事故が起こってしまった時の「孤独死保険」
(1) 孤独死保険
(2) 賃貸人(大家)向けと賃借人(入居者)向けの保険商品の違い
(3) 孤独死保険の現状について
(4) 死後事務委任契約とは
4 「残置物の処理等に関するモデル契約条項」
第8章 事故物件の未来
1 抵抗のない人に事故物件を届ける
2 アンケート調査 ― 事故物件に「住んでもよい」と思える人もいる
(1) 当社のアンケート調査
(2) 他のアンケート調査
3 日本人の死に対するイメージ
4 事故物件のイメージはメディアによるものではないか
5 事故物件のイメージを変えるエピソード
6 事故物件を誇れる選択肢へ
巻末資料
『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』
奥付