- 発売日
- 2024年10月01日
- 出版社
- 法律文化社
- 編著等
- 岡本満喜子
本書は交通事故の民事責任に焦点を当て、従来の過失責任割合の仕組みを検証した上で、一般的な人々が妥当と感じる責任の感覚と裁判所の基準の相違を示す。具体的かつ実務的な問題として急務となる新技術導入に伴う紛争解決と、今後の制度の在り方について、検討と提言を行う。
目次
表紙
はしがき
目次
序章 自動運転車による事故と紛争解決への「納得感」―問題の所在―
第1節 自動運転への期待と事故のリスク
第2節 自動運転車等による事故の法的責任に関する課題の概要
第1章 自動運転に関わる法制度の概要
第1節 運転自動化レベルの定義
第2節 自動運転車等を取り巻く法制度
第2章 運転支援・自動運転による事故削減効果と新たなリスク
第1節 運転支援機能の普及状況と普及促進に向けた取り組み
第2節 運転支援車による事故削減効果
第3節 運転支援車・自動運転車による事故
第4節 自動運転車等による事故削減効果の限界と新たな事故リスクとは
第3章 交通事故に伴う民事責任―従来型車両について―
第1節 交通事故に伴う紛争の動向
第2節 不法行為責任の概要
第3節 運行供用者責任の位置づけと要件
第4節 自賠責保険と任意保険
第5節 製造物責任の位置づけと要件
第6節 本章の結び
第4章 自動運転車等と過失相殺
第1節 自動運転時代の過失相殺
第2節 基準に関する課題
第3節 責任帰属に関する研究の概要
第4節 自動運転車等に対する責任帰属
第5節 自動運転の高度化と基準適用上の課題
第5章 運転の自動化に伴う民事責任上の論点
第1節 自動運転にまつわる法制度の現在と今後
第2節 運行供用者責任と自動運転の高度化に伴う論点
第3節 製造物責任と自動運転に関する論点
第4節 運行供用者責任制度を維持する場合の課題
第5節 新たな責任制度に関しこれまで示された案
第6節 制度検討上の課題
第6章 基準は従来型車両の紛争解決基準として機能しているか(調査1)
第1節 調査の目的―従来型車両による事故の基準と一般人の感覚の比較
第2節 従来型車両による事故に対する一般人の感覚の調査方法
第3節 各事例の回答と基準の比較―全体像
第4節 前車の急ブレーキによる追突事故の回答と基準の比較
第5節 右折車と直進車の事故の回答と基準の比較
第6節 出会い頭事故の回答と基準の比較
第7節 右折車と歩行者の事故
第8節 直進車と歩行者の事故
第9節 従来型車両による事故に対する一般人の判断の特徴
第7章 運転支援車による事故の過失割合(調査2,調査3)
第1節 運転支援車と従来型車両の過失割合(調査2)―第6章の事例との比較
第2節 運転者とメーカーの責任分担(調査3)
第3節 運転支援車の過失割合とメーカー・運転者の責任分担のまとめ
第8章 運転支援車に対する責任判断の背景(調査4)
第1節 基準と一般人の判断,運転支援車と従来型車両の責任判断に違いが生じる理由とは
第2節 運転支援車に対する責任判断に影響する要素の調査方法
第3節 高速道路上の急ブレーキによる追突事故の結果(事例4-1)
第4節 右折車と直進車の事故の結果(事例4-2)
第5節 対歩行者事故の結果(事例4-3)
第6節 判断に差が生じた理由の検討
第9章 より高度な自動運転車に対する責任判断(調査5)
第1節 本章のねらい―より高度な自動運転車に対する一般人の責任判断とは
第2節 より高度な自動運転車に対する責任判断の調査方法(調査5-1)
第3節 自動運転システムの不作動による歩行者との衝突(事例5-1)
第4節 自動運転車の過敏な反応が事故の誘因となった事例(右折車と直進車の事故:事例5-2)
第5節 自動運転車がプログラムどおりに作動し事故が起きた事例(高速道路でMRMにより停止した車両に後続車が追突した事故:事例5-3)
第6節 より高度な自動運転車の責任判断―事例検討のまとめ
第7節 自動運転車に対する認識(調査5-2)
第8節 調査5のまとめ:自動運転車と従来型車両の責任判断の背景
第10章 自動運転車の責任のあり方と市民感覚
第1節 自動運転車と責任に関する意識調査の必要性
第2節 第一次的および最終的な責任負担者の感覚(調査6)
第3節 欠陥概念(調査7)―一般人は自動運転車に何を期待するのか
第4節 自動運転車を取り巻く責任制度への市民感覚
終章 今後の交通社会における民事責任の姿とは
第1節 現行の法制度が維持される間に生じうる課題
第2節 基準は現在の紛争解決の目安として機能しているか
第3節 自動運転の高度化と過失割合の基準
第4節 一次的責任主体の市民感覚と求償の実効性
第5節 納得の得られる紛争解決に向けて
索引
奥付