- 発売日
- 2020年09月01日
- 出版社
- 立花書房
- 編著等
- 植村立郎
元裁判官が刑事事実認定と情況証拠について、裁判例を踏まえて詳細に解説。刑事裁判における事実認定の構造や思考過程を判例や具体例でわかりやすく示す。情況証拠に関しては論理則・経験則の適用方法を取り上げ、捜査担当者や法学研究者、司法修習生、法科大学院生に適した実践的な指南書となっている。『刑事事実認定重要判決50選』の総論的役割を果たす第4版で、同シリーズと併せて学ぶことで理解がさらに深まる。刑事裁判の事実認定を根本から理解するための必携書。
目次
表紙
目次
第1章 刑事事実認定概観
第1 はじめに
第2 刑事事実認定概観
1 事実認定の普遍性(一般性)・日常性
2 刑事事実認定における特殊性
3 普遍性(一般性)・日常性と特殊性の総合が肝要
第3 法曹三者が行う事実認定
1 概説
2 捜査官における事実認定
3 弁護人における事実認定
4 裁判官・裁判体が行う事実認定
第4 刑事事実認定構造の変容
1 刑事事実認定の主体等
2 判断対象の変容
第2章 刑事裁判における事実認定
第1 事実認定の構造
1 刑訴法317条の「事実の認定は,証拠による。」の事実認定における意義
2 事実認定の構造
第2 争点の整理,明確化,刑事における要件事実的発想等
1 判決の事実認定における理想形の実現方法
2 公判前整理手続を経ない事件
3 公判前整理手続を経た事件
4 具体的な検討
第3 証拠調べの適正化
1 証拠調べの適正化の位置付け
2 公判前整理手続を経た事件における特有の留意点
3 補足
第4 判決における事実認定は,それまでの審理の総決算
1 判決書の完成度には判決段階以前の訴訟の在り方が重要
2 判決における事実認定の諸過程
第5 心証形成過程
1 概説
2 分析的心証形成と総合的心証形成
3 判決書の作成
4 事実認定にも幅があること
第6 心証形成の方法
1 縦方向の心証の積上げ方式
2 横方向の心証の積上げ方式
3 個々の証拠の信用性の評価
4 論理則,経験則,洞察力の活用
第7 確認過程
1 確認過程の内容と実施時期
2 立証趣旨
3 点検作業の結果とその後の手続
4 まとめ
第8 判決書作成過程
1 判決書作成過程も事実認定過程に含まれること
2 判決書作成方法
第3章 刑事事実認定における要件事実的思考について
第1 刑事事実認定における要件事実的思考の意義と必要性について
1 刑事事実認定が要件事実的に開かれていることについて
2 事実認定における要件事実的思考の意義と必要性について
第2 要件事実的思考の意義等について
1 要件事実的思考の意義について
2 要件事実的思考の発現形態について
第3 要件事実的思考の実務的なメリット
1 刑事事実認定における分析の視点を提供すること
2 釈明,争点整理の手掛かりとなること
3 証拠調べの効率化と要件事実的思考
4 事実認定過程及び判決における事実認定に関する説明の各適正化と要件事実的思考
5 量刑理由の説示の適正化と要件事実的思考
第4章 情況証拠と事実認定(総論)
第1 はじめに
1 情況証拠に関する学説等
2 検討の視点
第2 情況証拠の意義等
1 情況証拠の意義
2 情況証拠の存在形態
3 情況証拠の分類
第3 情況証拠と証拠能力
1 間接証拠,間接事実の場合
2 補助証拠,補助事実の場合
第4 情況証拠による事実認定
1 情況証拠による事実認定の分類
2 直接証拠がある上記①②の場合と情況証拠
第5 直接証拠型や本来情況証拠型が混在し得る上記③の場合
1 直接証拠型による事実認定
2 本来情況証拠型による事実認定
3 推定
4 同種前科・類似事実による立証
5 経験則
6 総合認定
7 不特定的認定(概論)
第5章 情況証拠と事実認定(各論)
第1 個別の事項に関する事実認定と情況証拠(概説)
第2 殺人,傷害・暴行の故意
1 殺意,傷害・暴行の故意の認定(概説)
2 創傷に関する情況証拠
3 凶器に関する情況証拠
4 犯行の態様
5 動機
6 救命措置の有無と殺意
第3 目的,常習性等
1 概説
2 薬物事犯における営利の目的等
3 贓物犯(盗品譲受け等犯)における知情
4 賄賂性等
5 反抗を抑圧されたこと等
6 常習性
第4 共謀
1 共謀の認定において,主に問題とされる事項
2 共謀の認定・小論
第5 薬物事犯における法定の除外事由の不存在
あとがき
判例索引
著者紹介
奥付