- 発売日
- 2018年09月25日
- 出版社
- 中央経済社
- 編著等
- 牧野 和夫
いわゆるIT開発に関わる技術系の方のために契約と契約書の解説を行う。英文契約書の実務をベースに日本語の条項も明示し、1冊で英文・和文の双方を扱う画期的な書である。
目次
大扉
はしがき
目次
第1章 IT取引の実際とIT契約の特殊性
1 はじめに
❶ IT契約の基礎知識が必要な理由
❷ 具体的なIT取引契約の種類
❸ IT業界の取引・契約体系の概観
❹ 日本語と英語のIT契約書の違い
2 IT契約でトラブルが発生しやすい原因
❶ IT取引とIT契約の特殊性
❷ トラブルの増加・複雑化の理由
第2章 契約書の設計の3ステップと必要な知識
1 契約書の設計の重要性
2 契約書の建付け(構成)設計の3ステップ
❶ 契約当事者とその役割
❷ 取引構成(ビジネスモデル)の種類・法的性質
❸ 契約の形態の決定
3 一括請負契約と多段階契約のメリット・デメリット
❶ 電子情報技術産業協会「モデル契約」の趣旨
❷ 「モデル契約」における協力義務
第3章 英和IT契約のキーワード
1 当事者および第三者を表わす表現
2 IT契約に使われる一般的な用語
3 知的財産権に関する用語
4 知っておきたい表現
第4章 技術者のためのIT契約の法律知識
1 技術者の関心事
2 業務委託と請負・準委任の関係・相違点
❶ 請負・準委任で なる保証義務
❷ 請負の場合に保証期間を限定できるか?
3 契約上の義務と努力義務の違い
❶ 英語での表現
❷ 義務を表わす助動詞の使い方
❸ 努力義務の違い
4 プロバイダーの業務委託契約以外の契約形態
5 免責・補償条項の有無
6 請負・派遣
7 再委託
8 請負契約の不可抗力と報酬請求権
9 契約上の地位の承継
第5章 損害賠償をめぐる契約条項
1 法制度の解説
❶ 契約違反時の救済の基本ルール
❷ 「損害」の範囲について
❸ 「損害」の種類について
❹ 売主/プロバイダー側の責任範囲を限定する試み
2 条項例
3 損害賠償条項をめぐる交渉の秘訣
❶ 合意できないときの解決策
❷ ハードルの高い間接損害の立証責任
第6章 技術者のための知的財産の法律知識
1 知的財産権の帰属
❶ 問題点の整理
❷ 知的財産権の帰属(intellectual property/ownership)条項の例
❸ 知的財産権の帰属に関する問題の解決
2 ライセンス契約における「独禁法の大原則」と知的財産法
3 他社のソフトウェアの使用
❶ 誰がライセンシーになるか
❷ オープンソースソフトウェア
第7章 IT関連契約をめぐるトラブルの事例
1 紛争のパターン別分析
2 日本IBM対スルガ銀行事件の教訓
❶ 実務上の対応ポイント―事前・事後
❷ ベンダーのプロジェクトマネジメント義務とユーザーの協力義務
3 東証事件の教訓とその他の重要ポイント
❶ 東証事件のポイントと教訓
❷ 立証責任
❸ 賠償額の上限
❹ その他の論点
第8章 秘密保持契約(NDA)による営業秘密管理戦略
1 NDAの基本的な理解
2 NDA締結の形態
❶ 三つの契約形態
❷ 書式の選択―一方通行と双方向
❸ 外資企業との締結
3 和文NDAのサンプルと解説
4 英文NDAの新規条項と重要条項の解説
5 英文NDAのサンプル解説
6 NDA神話の崩壊―NDAの落とし穴や限界と対応
7 NDAレビューのためのチェックリスト
8 企業の営業秘密管理チェックリスト10か条
第9章 IT契約における交渉戦略【一般条項編】
1 「一般条項」とは何か
2 各条項の文例
❶ 契約期間と途中解除規定
❷ 解除権(契約期間満了前の解除権を規定する場合)
❸ 税金
❹ 契約譲渡の禁止
❺ 残存条項
❻ 誠実協議条項VS 完全合意条項
❼ 可分性
❽ 法令順守
❾ 輸出管理
❿ 弁護士報酬
⓫ 権利行使期間制限規定
⓬ 最恵待遇規定
⓭ 汚職防止規定
⓮ 使用言語
⓯ 優先順位
⓰ 公表
⓱ 契約書の原本
⓲ 引き抜き禁止条項
3 準拠法・紛争解決条項のポイント
第10章 IT契約における交渉戦略【各種契約編】
1 ソフトウェアライセンス契約書
❶ ドラフトの背景思想
❷ 法人のための使用を確認する規定について
❸ 使用許諾
❹ 保証条件
❺ 免責補償規定
❻ 責任制限規定
❼ 不履行・救済規定
2 保守サービス
❶ ドラフトの背景思想
❷ サンプル条項
❸ 保守サービスの制限
❹ 契約期間
❺ 支払い条件
❻ サービスの再開
❼ 責任制限
❽ バックアップ責任
3 サービス・レベル合意書
4 プロフェッショナルサービス契約書
❶ 概要
❷ 委託サービスの範囲
❸ 支払い条件
❹ 引渡・検収条件
❺ 成果物の使用許諾
❻ 作業明細書の変更
❼ 保険加入・維持義務
5 プログラム開発契約
❶ 概要
❷ 委託業務の法的性質と条項
❸ 引渡し条件
❹ 税金および支払い条件
❺ 権利の帰属
6 クラウド利用契約(規約)
第11章 代理店の活用と契約実務
1 戦略上の考え方
❶ 概要
❷ 販売権の独占
2 契約上の留意点と条項例
❶ 契約期間
❷ 販売権
❸ 二次店リセラーの指名
❹ 競合製品
❺ 標準使用許諾契約
❻ 年間最低購入金額
❼ 当事者の努力義務
❽ 標準価格
第12章 IT契約実務へ影響する重要法改正――民法(債権法)改正・著作権法改正・不正競争防止法改正
1 民法(債権法)改正のIT契約実務への影響について
❶ 概要
❷ 「定型約款」の規定を新設
❸ 売買契約の買主の権利の期間制限を統一化
❹ 請負人の「瑕疵担保責任」と顧客の「権利行使期間の起算点」の変更
❺ 請負人の一部報酬請求権
❻ 賠償額の予定(違約金)の法的有効性
❼ 法定利率の変更
2 著作権法の改正のIT契約実務への影響について
3 不正競争防止法改正のIT契約実務への影響について
4 「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」によるIT契約実務への指針について
第13章 個人情報保護法と契約実務
1 プライバシー保護への契約での対応
❶ 概要
❷ 平成29年改正のポイント
❸ 対応について
2 EU 一般データ保護規則
❶ 概要
❷ 対応
第14章 AI時代の技術者に求められること
1 AIと契約法務
❶ AI プログラムか 発生した損害への責任
❷ 「AI」は誰のものか?
❸ AI関連条項の交渉のポイント
2 プロジェクト・マネジメントにおけるIT技術者の留意点
3 もう一歩先へ―契約交渉の要諦
❶ 原則的な考え方と留意点
❷ あえて合意しないという選択肢もあり得る
索引
著者紹介
奥付