- 発売日
- 2016年07月16日
- 出版社
- 有斐閣
- 編著等
- 川島 聡、飯野 由里子、西倉 実季、星加 良司
障害者基本法、障害者差別解消法、障害者雇用促進法によって、障害者に対する「合理的配慮」が法制化された。この新しい概念は、障害分野を超えて「共生の技法」となる可能性を秘めている。その意義と課題を、法学・社会学・ジェンダー研究の視点で追究する。
目次
表紙
はしがき
著者紹介
目次
凡例
序章 合理的配慮が開く問い
1 合理的配慮の概念
(1) 合理的配慮とは何か
(2) 合理的配慮の対象範囲
(3) rationalとreasonable
2 合理的配慮のインパクト
(1) 法制化の意義
(2) 万人のための「共生の技法」へ
3 本書の目的と構成
第1部 合理的配慮とは何か
第1章 権利条約における合理的配慮
1 立法化のきっかけ
2 差別概念としての合理的配慮の登場
3 権利条約の誕生
4 2つのタイプの差別と合理的配慮
第2章 差別解消法と雇用促進法における合理的配慮
1 合理的配慮の登場
2 合理的配慮の条文
3 合理的配慮の内容
4 合理的配慮の手続
5 合理的配慮の不提供と差別
6 合理的配慮と努力義務
7 合理的配慮と不当な差別的取扱い
第3章 合理的配慮とポジティブ・アクション――合理的配慮になりうるもの,なりえないもの
1 従来の配慮は合理的配慮ではないのか
2 合理的配慮になりうるもの①――大学入試センター試験で受けられる配慮
3 合理的配慮になりうるもの②――雇用場面での個別の配慮
4 合理的配慮とは質的に異なるもの
5 合理的配慮とポジティブ・アクションの関係
第2部 なぜ合理的配慮なのか
第4章 合理的配慮と能力評価
1 合理的配慮は能力評価を歪めるのか
2 公正な評価のための仕掛け
3 「本質的な能力」とは何か
4 能力評価における課題
5 「公正な能力評価」に向けて
第5章 合理的配慮と経済合理性
1 合理的配慮は「自由」の制約か
2 コスト― ベネフィット分析の射程
3 コスト― ベネフィット分析の臨界と道徳的制約
4 非過重負担という基準
5 コスト負担をめぐる課題
第6章 合理的配慮と社会政策――コストの社会的分配の理由
1 合理的配慮の限界と社会政策の役割
2 社会的負担の仕組
3 公的負担をめぐる問い
4 公共財としての「公正な社会」
5 自己利益を超える価値
6 「機会平等」という規範
第3部 合理的配慮をどう広げるか
第7章 対象者の拡大可能性――合理的配慮を必要とするのは誰か
1 合理的配慮の対象とならない障害者
2 「障害者」とは誰か――医学モデルと社会モデル
3 配慮を得る資格があるのは誰か――2つのタイプの合理的配慮
4 インペアメントの普遍化――対象者の拡大に向けて
第8章 合理的配慮をめぐるジレンマ――アクセスとプライバシーの間
1 障害の開示という問題
2 申出段階での問題――障害の開示とスティグマ
3 配慮提供段階での問題①――方法のまずさからくるプライバシーの侵害
4 配慮提供段階での問題②――アクセスとプライバシーのジレンマ
5 それでも残る課題
第9章 多様な差異を踏まえた合理的配慮――障害とジェンダー,セクシュアリティの交差性
1 「わがまま」な要求なのか
2 「障害女性差別」への注目
3 考慮に入れられなかった差異
4 より多くの障害者に合理的配慮を提供していくために
終章 障害法から普遍的理念へ
1 合理的配慮に関するwhat,why,how
2 合理的配慮の普遍化可能性
3 対話の困難,対話への希望
巻末資料
障害者差別解消法
基本方針
文部科学省の対応指針
障害者雇用促進法
差別禁止指針
合理的配慮指針
索引
奥付