- 発売日
- 2019年03月30日
- 出版社
- 慶應義塾大学出版会
- 編著等
- 上代 庸平
財政憲法の規範力による国家の財政行為の拘束から財政憲法原則が導出される過程に焦点をあてることで、自治体財政保障のための具体的な解決策を示し、我が国憲法学に与えられる示唆を得る気鋭の研究。ドイツの基本法・各ラント憲法における地方自治・自治体財政の保障の具体化に機能する憲法理論の進展の状況を分析。
目次
表紙
はしがき
目次
序章――問題提起
1.本書の目的
2.地方自治の法理と自治体財政の制度
(1) 法理――地方自治に対する制度的保障
(2) 制度――自治体財政調整による供与能力の確保
3.問題提起――法理と制度の両面から
(1) 地方自治の制度的保障と自治体財政
(2) 制度的保障のもとでの自治体財政調整制度の形成
(3) 自治体財政調整制度の運用に関する立法者の判断の限界
(4) 自治体財政調整制度における地方自治体の地位
4.本書の構成
第一編 憲法問題としての自治体財政調整
第Ⅰ章 ドイツにおける地方自治制度―日独比較研究の意味と前提
1.比較対象――連邦国家における地方自治の位置付け
2.比較の可能性――地方自治とkommunale Selbstverwaltung
3.小括
第Ⅱ章 制度的保障の発展と地方自治体の財政高権
1.制度的保障と自治権侵害
2.制度的保障から見た財政問題
3.自治体財政問題の基礎としての事務区分
4.小括
第Ⅲ章 公法と財政の架橋―憲法上の制度としての自治体財政調整
1.財政調整の概念と自治体財政調整
2.財政の特質と自治体財政調整の特殊性
3.自治体財政調整の機能――権限配分とそれを裏付ける財政保障
4.自治体財政調整の具体化
5.小括
第二編 自治体財政調整制度の二層保護機能
第Ⅳ章 判例に見る自治体財政保障の法的構造
1.争点化する自治体財政調整
2.自治体財政の二本柱――媒介としての自治体財政調整制度
3.自治体財政調整制度の普遍性と財政上の憲法原則の妥当範囲
4.小括
第Ⅴ章 事務権限配分規定から見る自治体財政調整の法的機能
1.自治体財政調整の規定整備
2.事務区分と自治体財政調整制度の憲法上の具体化
3.小括
補論 連邦財政制度における財政規定と財政原則
1.連邦財政原則の基本発想
2.連邦財政原則としての牽連性
3.財政憲法規定の自治体財政への準用可能性
4.個別の連邦財政原則と地方自治体
第Ⅵ章 牽連性原理による適正供与保障
1.ニーダーザクセン州の地方自治制度
2.自治体財政保障の構造――ビュッケブルクI決定
3.牽連性原理の具体化――ビュッケブルクII判決
4.立法者の判断の余地と牽連性原理の限界――ビュッケブルクIII判決
5.小括
第Ⅶ章 財政憲法原理としての牽連性の確立
1.憲法規定形式における厳格化
2.解釈における厳格化
3.憲法附属法による形成と具体化
4.小括
第Ⅷ章 自治体財政に対する最少供与保障
1.自治体財政に対する最少供与保障の概念
2.自治体財政に対する最少供与保障の構造と限界
3.小括
第三編 財政憲法原理による自治体財政保障
第Ⅸ章 自治体財政権侵害の審査基準
1.自治体財政に対する介入に関する審査基準の考え方
2.地方自治における比例原則の妥当性
3.自治体財政権と比例原則
4.小括
第Ⅹ章 手続面における牽連性原理の再構成
1.財政憲法原理の具体化・形成の必要性
2.「協議手続としての牽連性」
3.協議手続の規律形式
4.小括――協議手続を形式化することの意義
第Ⅺ章 自治体財政制度の日独比較
1.日本国憲法における「財政憲法」の可能性
2.普遍的な財政憲法枠組みとしての適正供与保障
3.牽連性原理の規範力
4.自己責任の枠組みとしての最少供与保障
5.小括
終章
あとがき
関連条文集(抄)
参照文献一覧
判例索引
事項索引
奥付