- 発売日
- 2022年03月31日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 福井秀夫
行政法解釈論に「法と経済学」の視点を盛り込み、行政訴訟や行政の司法的統制に新たな知見をもたらす意欲作。著者の研究の集大成。
目次
表紙
はしがき
目次
第1部 行政訴訟の意義・機能・限界 行政訴訟と民事訴訟の関係
1-1 市場の失敗対策としての行政法の再構成 阿部泰隆理論の到達点と展望を踏まえて
1 はじめに
2 行政法の意義
3 行政法の実質的存在理由
4 政府の失敗
5 民事法、行政法、刑事法の相対化
6 政策法学を包含する行政法学へ
1-2 行政訴訟の機能と限界 行政法は憲法的価値と社会経済的厚生をどう担保すべきか
1 はじめに
2 公法の意義
3 政府が行政法規等を通じて私人に関与する理由
4 市場の失敗と政府の失敗を厳密に統制できる行政訴訟制度の構築
5 司法の政治的独立と立法過程の科学性・中立性確保
1-3 景観利益の法と経済分析
1 マンション建設紛争の構図
2 都市の土地利用規範
3 容積率規制の矛盾
4 環境・景観の権利
5 原判決の法的評価
第2部 正と負の外部性の統制 原告適格論と公共性概念の混沌
2-1 都市計画・建築規制における性能規定の意義 景観・用途・容積率・開発行為に関する規制を検証する
1 土地利用規制の根拠
2 仕様規定の機能と限界
3 性能規定の意義
4 景観政策における性能規定の意義
5 用途規制に関する外部性要因ごとの性能規定化
6 容積率規制の性能規定化
7 開発行為統制の性能規定化
8 規制の法的統制措置の機能不全
9 性能規定の展望
2-2-1 行政事件訴訟法10条1項による自己の「法律上の利益」に関係のない違法の主張制限 2004年改正法による原告適格の「法律上の利益」概念との関係を踏まえて
1 訴えの利益とは何か
2 原告適格とは何か
3 行訴法10条1項の違法性主張制限
4 産業廃棄物最終処分場設置許可処分に関する原告適格と行訴法10条1項の違法性主張制限
5 まとめ
2-2-2 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適用関係について
1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律改正法に関する附則
2 改正法のポイント
3 法の適用関係
4 廃掃法に基づく産業廃棄物処理施設設置許可の法的性格から見た法の適用関係
5 関連判決の問題点
2-3 大東水害最判基準を踏まえた河川改修の原理 境川金森調節池建設差止請求訴訟を素材として
1 境川金森調節池建設差止請求事件の事実関係
2 境川金森調節池建設差止請求事件東京地判2020年7月27日の判断要旨
3 最高裁による河川改修事業の「公共性」、「公益上の必要性」基準
4 境川金森調節池建設差止請求事件東京地判2020年7月27日の論理の検証
5 総括
第3部 収用・損失補償・行政上の義務履行確保の憲法解釈
3-1 土地収用法による事業認定の違法性の承継
1 はじめに
2 違法性の承継理論を前提とした場合の事業認定の違法性の承継
3 違法性の承継に関する周辺問題
4 違法性の承継理論の枠組みの妥当性
5 おわりに
3-2 財産権に対する「完全な補償」と土地収用法による「移転料」の法と経済分析
1 関連判決
2 憲法による財産権補償と移転料
3 物件に関する移転主義と収用主義
4 中央用地対策連絡協議会の基準と法解釈
5 収用法77条、78条、79条における「移転」ないし「移転料」の法的概念
6 文化財的価値の補償
7 おわりに
3-3 憲法29条3項に基づく「正当な補償」の概念 損失補償と損害賠償における「対価補償」・「通常生じる損失に係る補償」の異同
1 損失補償と損害賠償の異同
2 物の価値の全損とその補償・鑑定評価
3 損失補償と損害賠償における対価補償・通常生じる損失に係る補償・生活権補償
4 おわりに
3-4 行政事件訴訟法37条の4による差止めの訴えの要件土地収用法による事業認定を素材として
1 行政処分の差止めの訴えの意義
2 差止めの訴えにおける「重大な損害」の意義──執行停止要件との比較を踏まえて
3 事業認定の差止めの訴えにおける「重大な損害」
4 土地収用手続における早期紛争処理の意義──違法性の承継をめぐる動向を踏まえて
5 公共用地買収と事業計画確定の実態
6 差止め対象処分の熟度と裁量統制
7 結論
第4部 権利の明確性・実現費用・情報の非対称と法設計
4-1 短期賃貸借保護・最低売却価額廃止の法と経済学的分析と競売法制の課題
1 競売による不動産権利移転とは
2 短期賃貸借保護の弊害
3 最低売却価額の誤謬
4 立法による解決──法解釈論の限界の克服
5 短賃保護撤廃・最低売却価額実質的廃止の効果の実証分析
6 非司法競売(民間競売)の導入
7 競売の法政策の課題
4-2 マンションの負の資産化は防げるか
1 所有権法・相続法・マンション法制の失敗
2 建替えを原則とすることの矛盾
3 取引費用対策としてのマンション法制──土地の最有効使用への移行をいかに円滑に実現できるか
4 マンションの管理不全
5 マンションに対する公的介入の原理
第5部 競争の法的統制
5-1 略奪的価格の法と経済分析
1 企業の価格戦略
2 略奪的価格に関する法の解釈
3 独占領域保持事業者における費用構造の判断──ヤマト運輸対日本郵政公社事件を素材として
4 競争政策としての略奪的価格政策の展望
5-2 タクシー需給調整措置の法的限界 法と経済分析を踏まえて
1 問題の所在
2 タクシー需給調整の法と経済学的評価
3 行政指導に反してタクシー増車を行った事業者に対して法令違反を理由として処分を加重することについての法的限界
4 結論
5-3 知的創造物はどう選ぶべきか 価格競争原則の転換を
1 公共調達の選定原則
2 公共調達の実態
3 日本の公共調達を規律する法の不備
4 知的創造物に関する公共調達の法政策
第6部 行政の違法排除の実効性確保 司法に何を委ねるべきか
1-1 市場の失敗対策としての行政法の再構成 阿部泰隆理論の到達点と展望を踏まえて
1-2 行政訴訟の機能と限界 行政法は憲法的価値と社会経済的厚生をどう担保すべきか
1-3 景観利益の法と経済分析
2-1 都市計画・建築規制における性能規定の意義 景観・用途・容積率・開発行為に関する規制を検証する
2-2 行政事件訴訟法10条1項による自己の「法律上の利益」に関係のない違法の主張制限 2004年改正法による原告適格の「法律上の利益」概念との関係を踏まえて
2-3 大東水害最判基準を踏まえた河川改修の原理 境川金森調節池建設差止請求訴訟を素材として
3-1 土地収用法による事業認定の違法性の承継
3-2 財産権に対する「完全な補償」と土地収用法による「移転料」の法と経済分析
3-3 憲法29条3項に基づく「正当な補償」の概念 損失補償と損害賠償における「対価補償」・「通常生じる損失に係る補償」の異同
3-4 行政事件訴訟法37条の4による差止めの訴えの要件 土地収用法による事業認定を素材として
4-1 短期賃貸借保護・最低売却価額廃止の法と経済学的分析と競売法制の課題
4-2 マンションの負の資産化は防げるか
5-1 略奪的価格の法と経済分析
5-2 タクシー需給調整措置の法的限界 法と経済分析を踏まえて
5-3 知的創造物はどう選ぶべきか 価格競争原則の転換を
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参考文献
判例索引
事項索引
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奥付