- 発売日
- 2026年09月30日
- 出版社
- 日本商事仲裁協会
- 編著等
- 濵本正太郎、早川吉尚、二杉健斗
17年以上にわたり『JCAジャーナル』で連載された「投資協定仲裁判断例研究」の成果を一冊に集約。重要投資条約仲裁76件を、事実概要・判断要旨・分析の構成で整理しました。投資条約の適用範囲、収用、公正衡平待遇、国家責任、投資家・投資財産、最恵国待遇、仲裁手続などの主要論点を体系的に収録。国際投資に関わる弁護士、企業法務担当者、行政関係者、研究者が、最新の実務動向と判断例を日本語で確認できる一冊です。
目次
表紙
はしがき
目次
細目次
序章 投資協定仲裁判断例研究
(1) はじめに──本書の狙い
(2) 投資条約仲裁の登場の背景
(3) 投資条約仲裁の構造
(4) 投資条約における投資受入国の義務
(5) 投資条約仲裁の手続
(6) 投資条約仲裁における法的争点
(7) 投資条約仲裁に対する批判と最新動向
第1章 総論──投資条約の適用方法
(1) 投資条約の適用範囲
[147]Stabil v. ロシア ──BITにいう「領域」は国際法上の領域と必ずしも合致しないと判断した事例
[122]Oded Besserglik v. モザンビーク ── 二国間投資条約が発効要件を満たしておらず仲裁廷が管轄を有さないと判断した事例
[141]OOO Manolium-Processing v. ベラルーシ ──投資受入国の一連の行為であっても条約発効前の行為は収用審査に際して考慮しないと判断された事例
[153]LSF-KEB Holdings et al. v. 韓国(1) ── 旧協定の有効期間中の被申立国の作為・不作為に起因する紛争を新協定の下で仲裁に付託できないとした事例
[100]Blue Bank v. ベネズエラ ── ICSID条約の廃棄によるjurisdiction ratione voluntatisへの影響、及び信託受託者の「投資家」該当性
[174]Smurfit v. ベネズエラ ── ICSID条約廃棄後の仲裁申立てに関して仲裁管轄権が肯定された事例
(2) 投資条約と国内法・EU法の関係
[155]Patrick Costello v. アイルランド ── カナダ・EU自由貿易協定の投資家対国家紛争処理条項がアイルランド憲法の定める司法権を侵害するとされた事例
[152]LSG Building Solutions et al v. ルーマニア ── エネルギー憲章条約に基づくEU域内投資仲裁において同条約第16条及び第26条がリスボン条約第267条及び第344条に優位するとして管轄を認めた事例
[150]Green Power v. スペイン ── エネルギー憲章条約(ECT)のEU域内(intra-EU)性を理由に仲裁管轄権を否定した事例
[143]Fynerdale Holdings v. チェコ ── EU加盟国間投資協定上の仲裁条項を適用可能とした上で、投資の合法性が証明されていないとして管轄権を否定した事例
[135]Spółdzielnia pracy Muszynianka v. スロバキア ── 水の越境輸送を制限する憲法改正による投資阻害:EU加盟国間投資協定の下で管轄及び協定違反(一部)を認めつつ賠償を否定した事例
第2章 実体法
(1) 収用
[120]Magyar Farming v. ハンガリー ── 賃貸借に関する法定再契約権の行使を不能とする法改正を「既得権の収用」とした判断例
[138]Olympic Entertainment v. ウクライナ ── 投資の合法性要件と立法措置による間接収用が判断された事例
[146]Casinos Austria v. アルゼンチン ── マネーロンダリング規制等への違反を理由とするライセンス撤回が比例性を欠き間接収用と判断された事例
(2) 最低待遇基準
(a) 公正衡平待遇
[108]Jürgen Wirtgen et al. v. チェコ ── チェコ共和国の太陽光発電に関する優遇政策の不利益変更が公正衡平待遇義務違反にならないとされた例
[121]Photovoltaic v. チェコ ── チェコ共和国の太陽光発電に関する優遇政策の不利益変更が公正衡平待遇義務違反にならないとされた例
[127]SunReserve Luxco Holdings 他 v. イタリア ── イタリアの太陽光発電に関する優遇政策の不利益変更が公正衡平待遇義務違反にならないとされた事例
[173]Encavis v. イタリア ── イタリア再生可能エネルギー事案:太陽光発電に関する最低買取価格と奨励関税の減額はECT第10条第1項「安定性」要件に違反しないとされた事例
[101]Novenergia II v. スペイン ── 投資受入国の特定の表明なしに投資家の正当な期待の成立を認めた事例
[114]Foresight Luxembourg Solar v. スペイン ── 太陽光発電の電力買取価格制度の重大な変更が公正衡平待遇義務違反とされた事例
[124]RWE v. スペイン ── 再生可能エネルギーに関する制度変更が比例性を欠くため公正衡平待遇義務に違反するとされた例
[161]Eurus Energy v. スペイン ── 日本企業が当事者となったスペイン再生可能エネルギー事案 : 制度変更に伴うクローバック効果がECT第10条第1項の「安定性」を欠き公正衡平待遇義務に違反するとされた例
[115]Unión Fenosa Gas v. エジプト ── 国有企業を当事者とする契約に対する投資受入国政府の投資家宛の書簡による正式な承認により投資家の正当な期待が形成されたと判断した事例
[170]Antonio del Valle Ruiz et al v. スペイン ── EU当局の監督下にあるスペインの金融機関に対するスペイン当局の措置が問題となった事例
[149]Cairn Energy PLC et al. v. インド ── 法の遡及的適用を理由に、公正衡平待遇義務違反を認めた例
[154]LSF-KEB Holdings et al. v. 韓国(2) ── 金融当局が第三者を通じて投資家に対し不利な結果を強要したことが公正衡平待遇義務違反であるとされた事例
[163]Elliott Associates v. 韓国 ── 民間企業の合併に対する国民年金管理者の議決権行使についての政府による介入等が不当であり、最低待遇基準違反を構成するとされた事例
(2) 最低待遇基準
(b) 裁判拒否
[113]Chevron Corporation, Texaco Petroleum Company v. エクアドル(2018) ── 投資受入国の裁判官による判決の不正なゴーストライティング等が裁判拒否(denial of justice)に該当するとした仲裁判断例
[126]Fouad Alghnim & Sons Co. For General Tradings & Contracting W.L.L. 他1名 v. ヨルダン ── 投資財産への課税に恣意性は認められず、これを是認した国内裁判も裁判拒否(denial of justice)に該当しないとされた事例
[132]Bridgestone Licensing Services Inc. / Bridgestone Americas, Inc. v. パナマ ── 日本企業の米国子会社による請求 ── 国内裁判所の判断内容の誤りに基づく裁判拒否の主張が認容されなかった事例
[162]Big Sky Energy v. カザフスタン ── 申立人の裁判拒否に係る主張につき、投資受入国の裁判所の判断等に一定の疑問があるとしつつも、国際法違反には至らないとして請求を棄却した事例
(3) 国家責任
[129]Ortiz Construcciones y Proyectos S.A. v. アルジェリア ── 国有企業の行為の国家への帰属を一部肯定しつつ、公正衡平待遇義務違反を否定した事例
[137]Venezuela US v. ベネズエラ ── 国営企業を大株主とする混合会社による少数株主への配当金不払いについて、混合会社や国営企業の行為が被申立国に帰属しないと判断した上でなお差別的待遇の存在を認めた判断例
[144]Perenco v. エクアドル ── 機会の喪失に基づく損害賠償額の算定について、理由の欠如により仲裁判断が一部取り消された事例
[116]William Richard Clayton, Douglas Clayton, v. カナダ ── 逸失利益の因果関係の基準および申立人の損失軽減義務が判断された事例
(4) 例外条項
[109]David Aven et al. v. コスタリカ ── CAFTA-DRの環境規制権に関する条項は投資家の権利を被申立国の権利に実質的に劣後させているとしつつその劣後は絶対的ではないとした例
[142]Eco Oro Minerals v. コロンビア ── 環境例外規定を含むFTAのもとで最低待遇基準違反を認定した事例
[112]Devas v. インド ── 複数の政策目的のための措置に対する安全保障例外の「一部」適用
[131]Global Telecom Holdings S.A.E. v. カナダ ── 無線通信事業への投資に対する措置(規制枠組みの修正、安全保障審査等)に関して内国民待遇義務の例外が認められ、公正衡平待遇義務違反が否定された事例
[171]Michael Anthony Lee-Chin v. ドミニカ ── 環境及び健康上の緊急事態を理由とする被申立国による国家安全保障例外条項の援用が当該緊急事態の国家安全保障上の利益への影響に関する説明不足を理由に否定された事例
第3章 手続法
(1) 投資財産
[172]Koch v. カナダ ── 排出枠は投資受入国内法上の財産ではなくNAFTAで保護される投資ではないとして管轄権を否定した事例
[169]Nachingwea v. タンザニア ── 投資協定上の保護を受けるために積極的投資家(active investor)であることは要しないとした事例
[107]Karkey Karadeniz Elektrik Uretim v. パキスタン ── 被申立国主張の汚職嫌疑は立証がないとし、また、投資関連契約の効力に関する最高裁判決に拘束されず、同判決に基づく措置を投資協定違反とした判断例
[105]キルギス v. Valeri Belokon(2017) ── マネーロンダリングを理由とする仲裁判断の取消し
[158]Bank Melli v. バーレーン ── 投資財産取得後の投資家の違法行為が請求を受理不可能とする根拠となり得るという一般原則を認めた事例
[118]Lao Holdings v. ラオス ── 賄賂の蓋然性を含む申立人の悪意を追加的な理由として、ラオスに対する投資家の保護を拒んだ例
(2) 投資家
[156]Fernando Fraiz Trapote v. ベネズエラ ── 二重国籍者による請求を実効的・優越的国籍原則に基づいて否定した例
[104]Dawood Rawat v. モーリシャス ── 二重国籍の投資家への投資保護条約の適用の有無
[164]Carlos Esteban Sastre et al v. メキシコ ── 投資受入国に帰化した投資家の投資協定仲裁の利用
[99]Beijing Urban Construction Group Co. Ltd. v. イエメン ── 国有企業の投資家としての地位、及び旧社会主義国を当事国とする投資条約の仲裁付託合意
[159]Certain Iranian Assets ── 米国による対イラン制裁措置のうち、イランの中央銀行を対象とするものは管轄外としたが、その他は合理性を欠くことなどを理由に条約違反と認定したICJ判決(ある種のイラン資産事件)
[145]Littop v. ウクライナ ── 仲裁付託後における被申立国によるエネルギー憲章条約第17条第1項に基づく利益否認権の行使を信義則上の合理的な期間内で認めた事例
[151]Westmoreland Mining Holdings v. カナダ ── 投資家の倒産と条約違反の請求権の売却・譲渡、承継についての判断がなされた事例
(3) 法廷選択・手続濫用
[123]Cooperativa Muratori & Cementisti v. モザンビーク ── 契約紛争における和解合意の「投資」該当性およびBIT、コトヌー協定と契約上の紛争解決条項の関係を判断した事例
[133]Iberdrola Energia, S.A. v. グアテマラ ── 前ICSID仲裁における管轄権否定判断のres judicataを肯定し、また同仲裁の提起を理由にfork-in-the-road条項の適用を認めた事例
[148]ICS v. アルゼンチン ── 契約中の法廷選択条項にかかわらず、投資協定中の国内訴訟前置要件の趣旨及び同訴訟の状況等に鑑み、義務遵守条項違反の請求について事物管轄を肯定し、仲裁手続を停止しなかった事例
[102]Orascom v. アルジェリア ── 管轄権・受理可能性におけるsiège social解釈、間接持株、子会社による仲裁と和解
[168]BRIF TRES v. セルビア ── 投資協定上の保護を受けていた投資が国内企業に譲渡され、更に外国企業に譲渡された場合に、権利の濫用に該当すると判断した事例
(4) 最恵国待遇
[119]A11Y v. チェコ ── 仲裁条項の事項的制限を義務遵守条項および最恵国待遇条項によって免れることはできないと判断した事例
[128]Itisaluna Iraq L.L.C. ほか3法人 v. イラク ── 最恵国待遇条項に基づく第三国投資協定上のICSID仲裁合意の均霑を否定した事例
[160]Zaza Okuashvili v. ジョージア ── 最恵国待遇条項を通じてより有利な仲裁の法廷の利用を認めた事例
(5) 付随手続
[136]Ayat Nizar Raja Sumrain 他3名 v. クウェート ── 被申立国からの異議を分岐判断(bifurcation)する基準を示した一事例
[139]Rusoro Mining v. ベネズエラ ──〈紛争は、それが生じた時から3年以内に仲裁に付託しなければならない〉というBITの規定の意味 ── 管轄か受理可能性か
[110]Hela Schwarz GmbH v. 中華人民共和国 ── 暫定措置が申立後に生じた事情を理由に却下された事例
[106]Mohammed Munshi v. モンゴル ── 被申立国により身柄拘束された申立人(投資仲裁申立予定者)と弁護士との接見交通確保を命じた緊急仲裁判断例
[103]Burlington Resources Inc. v. エクアドル(2017) ── 合意に基づく反対請求において投資家の損害賠償義務が認められた例
[111]Urbaser v. アルゼンチン ── 投資家による人権侵害を理由とした投資受入国からの反対請求の管轄権及び受理可能性を認めた事例
(6) 仲裁人
[134]Eiser Infrastructure Limited・Energía Solar Luxembourg v. スペイン ── 仲裁人の不偏性の欠如と開示義務違反を理由にICSID仲裁判断の全体が取り消された事例
[157]RSE Holdings v. ラトビア ── 仲裁人が相当数の同一の条約に基づく仲裁で代理人を務めている事実を理由とする忌避申立てが認容された一事例
(7) 適用法
[165]Lone Pine v. カナダ ── 待遇最低基準に関する慣習国際法の内容を確定するために仲裁先例に依拠する事例
[167]Red Eagle v. コロンビア ── 類似先例と判断が異なることについて説明しない事例
[130]Vento Motorcycles, Inc. v. メキシコ ── 物品貿易に関する輸入国の措置(自由貿易協定が規定する関税率の不適用)が投資協定仲裁で争われた事例(管轄権肯定・本案請求棄却)
[166]Petris Pildegovics v. ノルウェー ── スヴァールバル条約を含む国際海洋法の適用が問題となった投資紛争事例
(8) 費用
[125]Dirk Herzig v. トルクメニスタン ── 柔軟な要件解釈により仲裁費用の担保拠出命令を下した事例
[117]Teinver v. アルゼンチン(取消) ── サード・パーティー・ファンディングと投資仲裁
[140]Muhammet Çap and Sehil Inşaat Endustri v. トルクメニスタン ── 第三者資金提供に関する情報の開示と最恵国条項に基づく他のBITの実体的な条項の均霑が争点とされた事例
あとがき
編者・執筆者一覧
奥付