- 発売日
- 2023年02月01日
- 出版社
- 勁草書房
- 編著等
- 田村善之
知的財産法の世界では、近年のめざましい技術の進歩を背景として、パブリック・ドメインとの境界線上における紛争が多発している。本書では、従来あまり重視されてこなかったパブリック・ドメインを中心に据えて、創作の奨励や産業・文化の発展のため、いかにしてパブリック・ドメインを豊かにし、その利用を確保するのかという観点から、各種の知的財産法の構築を目指す。
目次
表紙
目次
第1部 総論
第1章 文化創出におけるパブリックドメインの役割――オープンソースソフトウェアとマッシュアップの事例 ブラニスラヴ・ハズハ(翻訳:津幡笑)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 著作権法に関する伝統的な見解の限界
Ⅲ オープンな生産形態とプロプライエタリな生産形態
Ⅳ 結論
第2章 著作権法による自由 上野達弘
Ⅰ はじめに
Ⅱ 3つの最高裁判決
Ⅲ 考察
Ⅳ おわりに
第3章 フランスにおける著作権と表現の自由の「公正なバランス」の探求――Klasen事件・カルメル派修道女の対話事件を中心に 比良友佳理
Ⅰ はじめに
Ⅱ 従来の判例
Ⅲ Klasen対Malka事件破毀院判決(2015年5月15日)
Ⅳ カルメル派修道女の対話事件破毀院判決(2017年6月22日)
Ⅴ Klasen事件差戻控訴院判決(2018年3月16日ヴェルサイユ控訴院)
Ⅵ カルメル派修道女の対話差戻控訴院判決(2018年11月30日ヴェルサイユ控訴院)
Ⅶ おわりに
第4章 ダウンロード違法化拡大になぜ反対しなければならなかったのか?――インターネット時代の著作権法における寛容的利用の意義 田村善之
Ⅰ はじめに
Ⅱ 改正の経緯
Ⅲ なぜ反対しなければならなかったのか?
Ⅳ 改正法の解釈上の課題
第2部 著作物性
第5章 著作権法上のアイデアに関する一考察――アイデア・表現二分論におけるアイデア二分論の試み 金子敏哉
Ⅰ はじめに
Ⅱ アイデア・表現二分論を巡る議論状況
Ⅲ アイデア・表現二分論におけるアイデア二分論
Ⅳ おわりに
第6章 香りと味の標章性・著作物性再考――欧州の判決例等を手がかりに 駒田泰土
Ⅰ はじめに
Ⅱ 香り・味の標章性
Ⅲ 味の著作物性
Ⅳ 考察
Ⅴ おわりに
第3部 著作権の保護範囲
第7章 著作権の保護範囲 田村善之
Ⅰ 序
Ⅱ 類似性要件の位置付け
Ⅲ 類似性の判断基準
Ⅳ 類似性要件の判断手法
第4部 著作権の制限
第8章 柔軟な権利制限規定の設計思想と著作権者の利益の意義 前田 健
Ⅰ はじめに
Ⅱ 柔軟な権利制限規定にみる「著作権者の利益」
Ⅲ 「柔軟な権利制限規定」の柔軟性
Ⅳ 条文の解釈
Ⅴ おわりに
第9章 著作権の制限規定の立法をめぐる今後の課題――2018年・2021年著作権法改正を踏まえて 村井麻衣子
Ⅰ はじめに
Ⅱ 2018年・2021年著作権法改正
Ⅲ 著作権の制限規定の改正をめぐる傾向と今後の課題
Ⅳ おわりに
第10章 権利制限規定・法定許諾による著作物の利用と対価の還流――英豪両国の著作権法を手がかりに 小嶋崇弘
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 英国著作権法におけるライセンス優先型権利制限規定
Ⅲ オーストラリア著作権法における法定許諾
Ⅳ 若干の検討
第11章 著作権法における補償金スキームによる利益配分モデルの補完 孫 友容
Ⅰ はじめに
Ⅱ 著作権法における補償金制度
Ⅲ 補償金スキームのメカニズム
Ⅳ 補償金スキームの役割と課題
Ⅴ おわりに
第12章 美術鑑定書判決以降における引用の裁判例に関する総合的研究 平澤卓人
Ⅰ はじめに
Ⅱ 裁判例の判断枠組みによる分類と集計
Ⅲ 32条1項の適用を否定する要件毎の集計
Ⅳ 「目的上正当な範囲内」要件の考慮要素
Ⅴ 「公正な慣行に合致」の要件について
Ⅵ 総合考慮説について
Ⅶ 新二要件説について
Ⅷ 各要件の判断方法についての検討
Ⅸ おわりに
第13章 Google v. Oracle 事件合衆国最高裁判決――Java APIを実現するプログラムのフェア・ユースについて 奥邨弘司
Ⅰ 事案の概要
Ⅱ 判旨
Ⅲ 検討
第14章 欧州におけるデジタル消尽の行方――Tom Kabinet事件CJEU判決を踏まえて 奥邨弘司
Ⅰ はじめに
Ⅱ 検討の前提
Ⅲ Tom Kabinet事件
Ⅳ まとめにかえて
第15章 著作権,パロディ,パブリック・ドメイン──ドイツ及び日本著作権法に対する文化的影響の検討 クリストフ・ラーデマッハ(翻訳:森綾香)
Ⅰ 背景――パロディとは何か?
Ⅱ ドイツ著作権法におけるパロディ(2016年以前)
Ⅲ 「欧州的」なパロディの例外
Ⅳ 日本法におけるパロディ
Ⅴ 比較考察
索引
初出一覧
執筆者・翻訳者紹介
奥付