- 発売日
- 2023年02月19日
- 出版社
- 日本法令
- 編著等
- 野口大
「取扱いにひそむ問題点を探し出し、企業経営上のリスクを回避せよ!」人事・労務事案について一貫して経営側・企業側で活動してきた弁護士が、トラブルの温床、地雷原となっている『グレーゾーン』を18項目取り上げて、裁判実務まで踏まえた法理論と具体的解決方法を提示。日々生々しい紛争に向き合っている弁護士ならではの紛争予防ノウハウをぎっしり詰め込みました!
目次
表紙
CONTENTS
1 労働時間
本章の内容
論点目次
1 労働時間に関するトラブル
2 「うちはきちんと管理しているから大丈夫」?
1 労働時間管理の落とし穴
2 労働時間管理を行っていない状態でサービス残業代を請求されたらどうなる?
3 黙示の残業命令
1 黙示の命令があれば自主的時間外労働も労働時間に当たる
2 問題を発生させないためには残業許可制が有効
3 残業許可制は運用が大切
4 上司の指示に従わない従業員がいたら?
4 周辺労働時間
2 管理監督者
本章の内容
論点目次
1 「管理職にすれば残業代不要」?
2 裁判所と行政(労基署)とで考え方が異なる
3 行政(労基署)の立場
1 判断の枠組み
2 金融機関における「管理監督者」の範囲
3 チェーン店における「管理監督者」の範囲
4 裁判例の傾向
5 実務的な対応
1 行政(労基署)の見解に従っておくのが原則
2 訴訟提起を見据えた、さらなる紛争予防策
3 事業場外労働
本章の内容
論点目次
1 「外回りの従業員には残業代は不要」?
2 行政(労基署)の立場
3 裁判例の傾向
1 「労働時間を算定し難いとき」という要件を厳しく判断する傾向にある
2 近時の動き
4 労使協定の必要性
1 事業場外労働を使うなら、労使協定は作成したほうがよい
2 営業社員等に内勤業務がある場合の注意点
5 実務的な対応
1 営業社員等の実態をみて判断せよ
2 さらなる紛争予防措置
6 テレワークと事業場外労働
1 「テレワークは事業場外労働で運用できる」?
2 テレワークにおける労働時間管理
4 定額残業代
本章の内容
論点目次
1 定額残業代は「ブラック企業の手法」などではない!
2 どのような定額残業代なら有効か?
1 行政の見解
2 裁判例の理解の必要性
3 裁判例から読み解く、定額残業代を有効とするためのファクター
1 議論に終止符を打った日本ケミカル事件最高裁判決
2 定額残業代が有効となるファクター
3 まとめ
4 管理職手当の定額残業代化
1 管理職手当の定額残業代化へのニーズ
2 管理職手当を定額残業代化する方法
3 参考裁判例:社会福祉法人恩賜財団母子愛育会事件
5 残業が発生しない従業員の定額残業代はカットできるか?
6 残業時間が少なくなった場合の定額残業代の廃止・減額の可否
7 特殊なケース
5 メンタルヘルス
本章の内容
論点目次
1 怖いのは「素人判断が裏目に出た場合」
2 メンタルヘルス事案は医師の意見を聴いて対応することが必要
3 対応困難事例は休職に入らせるのが最も安全
1 「業務命令として受診命令を出せばよい」?
2 「解雇すればよい」?
3 休職させる際の留意点
4 「うつ病は労災」との主張がされても安易に認めてはならない
1 「労災との主張を認めても害はない」?
2 労災か否かの見通し
5 復職に関するトラブルへの備えも必要
1 「軽作業なら復職可」との診断書が提出された場合
2 復職時点において十分に回復していない場合
3 「テレワークなら復職できる」と主張された場合
4 復職の可否について主治医と産業医の意見が異なる場合
5 従業員が復職に必要な診断書の提出等に協力しない場合
6 軽作業で復職させる場合、賃金を下げることは可能か?
6 ハラスメント~パワハラ
本章の内容
論点目次
1 パワハラとは
1 法律上の定義
2 パワハラの類型
3 パワハラ指針をみる上での留意点
2 どこまでが注意指導? どこからがパワハラ?
1 部下を注意指導できない管理職が増えている
2 「注意指導」と「パワハラ」の線引きはどこに?
3 裁判例にみる「パワハラとならない注意指導」のテクニック
4 最も重要なのは「人格を否定しないこと」
3 管理職の責務はパワハラの回避に留まらない
1 パワハラに該当しなければ問題ないのか?
2 管理職は結局、何に留意すればよいのか?
4 上司・管理職の負担感を軽減することも大切
1 「被害者救済」だけを想定しない
2 早急に結論を下せる体制を整える
3 濫用的な訴えをさせないための社員教育を実施する
7 ハラスメント~セクハラ
本章の内容
論点目次
1 セクハラとは
1 法律上の定義
2 飲み会での事案が多い
3 「被害者は女性」とは限らない
2 セクハラか否かの判断基準
1 A市職員(セクハラ損害賠償)事件
2 セクハラか否かの判断にあたってのポイント
3 「性別役割分担意識に基づく言動」をなくすことが大切
4 相手がいやがっていなければセクハラではないのか?
5 業務上必要な注意等がセクハラに該当することもあるのか?
8 ハラスメント~マタハラ
本章の内容
論点目次
1 マタハラとは
2 不利益取扱いの禁止
1 妊娠・出産・育休等を理由とする不利益取扱いの禁止
2 「理由として」いるか否かの判断
3 不利益取扱いの例外
4 不利益取扱いの具体例
5 不利益取扱いの留意点
3 ハラスメントの防止
1 制度等の利用への嫌がらせ型
2 状態への嫌がらせ型
3 ハラスメントについての裁判例
4 社員教育でハラスメントを防ぐ
9 ハラスメント~カスハラほか
本章の内容
論点目次
1 外部からの/外部に対するハラスメント
1 ハラスメントの類型
2 措置義務の対象となっているのは「外部者からのセクハラ」のみ
3 「外部者からのセクハラ」以外は対応しなくても問題ないのか?
2 トラブル事例
3 カスハラへの対応
1 対応マニュアルは可能な限りシンプルに
2 積極的に外部対応(弁護士対応)に切り替える
3 対応はできれば業界横並びで
10 労働条件の不利益変更
本章の内容
論点目次
1 「労働条件の不利益変更」の典型例
2 労働条件の不利益変更の手順
1 企業に労働組合がある場合
2 企業に労働組合がない場合等
3 労働条件の不利益変更の合理性
1 争いの多い「不利益変更の合理性」
2 「賃金の切下げ」において考慮されるファクター
4 なぜ従業員の同意が重要になってくるのか?
5 同意しない従業員がいる場合
6 従業員の同意を取得する場合の留意点
1 明確な同意書を取得する
2 就業規則や賃金規定をきちんと変更しておく
3 留意すべき裁判例
11 問題社員
本章の内容
論点目次
1 問題社員は絶対に放置してはならない!
2 解雇は最終手段
1 安易な解雇が深刻な紛争を引き起こす
2 企業には解雇前の努力が求められている
3 問題点を改めさせるための努力(イエローカード)
1 注意指導
2 人事考課面談
3 配転
4 教育
5 降職
6 解雇以外の懲戒処分
7 賞与減額等
4 最も基本的で重要な「注意指導」について
1 問題社員対応における、注意指導の重要性
2 書面等証拠を残しておく必要性
3 注意指導の中身
4 警告付き注意指導
5 観察期間の設定+定期面談方式
6 本当に重要な問題点に絞り込んで注意指導を行うことの重要性
7 どの程度丁寧に注意指導するべきか
8 注意指導に対して反抗的な態度を示す場合
5 努力しても問題点が改善しなければ解雇・退職勧奨を
1 退職勧奨
2 解雇
3 普通解雇とするのか懲戒解雇とするのか
6 問題社員に関するその他の問題
1 試用期間中に問題社員であることが判明した場合
2 有期契約社員が問題社員である場合
7 メリハリの効いた対応が大切
12 配転
本章の内容
論点目次
1 難色を示す従業員を配転できるのか?
2 原則として配転命令は可能
3 職場限定特約・職種限定特約
1 就業規則や労働契約書の定めと職場限定特約・職種限定特約
2 専門職や特殊技能を要する職種に就いている場合、長期間同じ業務に従事している場合
3 勤務場所や業務内容の記載
4 業務上の必要性について
1 「業務上の必要性」の考え方
2 問題社員の配転
3 不当な動機や目的での配転
5 従業員の不利益
1 家庭生活上の不利益
2 職業上の不利益
6 人事労務の観点
13 人事考課
本章の内容
論点目次
1 人事考課に不満を持っている従業員は多い
2 評価に関する裁判例
1 東日本電信電話事件
2 三井住友海上火災保険(エリア総合職考課)事件
3 評価制度についての注意点
1 考課者の主観が入りにくいような制度にする
2 本人と面談する
3 評価の根拠を記録する
4 意味のある評価制度とするために
14 退職勧奨
本章の内容
論点目次
1 退職勧奨自体は何ら違法ではない!
2 「酷い方法での退職勧奨」と判断されるパターン
1 発言内容等が行き過ぎるパターン
2 事実ではない「不利益」をチラつかせるパターン
3 あまりにも執拗なパターン
3 退職勧奨に関するその他の問題
1 退職の撤回
2 退職勧奨とメンタル疾患
3 退職させるための配転等
4 問題社員に対して退職勧奨するタイミング
15 雇止め
本章の内容
論点目次
1 契約管理に問題があれば契約終了できないことも!
1 非常に紛争の多い「雇止め」問題
2 「解雇」と「雇止め」の違い
3 雇止めが有効か否かはどうやって判断するのか?
2 「契約管理の厳格さ」をクリアするための留意点
1 契約管理が「厳格」と判断されるためのファクター
2 最も重要なものは「通算契約期間」
3 特定の業務に専従させる場合の留意点
4 契約書に「更新は今回限り」と記載することについて
3 「雇止めの合理的理由」をクリアするための留意点
1 どのような場合に「雇止めをする合理的理由がある」と判断されるのか?
2 問題社員の雇止め
3 整理解雇的な雇止め
4 厳格な契約管理と優秀な契約社員等獲得の両立
5 試用期間的に有期雇用契約を使うことはできるのか?
16 同一労働同一賃金
本章の内容
論点目次
1 「同一労働同一賃金」への誤解
2 2種類の法規制
1 均等待遇
2 均衡待遇
3 均等待遇・均衡待遇の法規制
3 実務上の留意点
1 職務内容や人材活用の仕組みや運用は明確に相違させておくべき
2 待遇の格差を洗い出し、格差の理由が説明できるかを検討するべき
3 格差の合理的理由を説明できない場合
4 現在の賃金体系等を維持するか変更するか、判断に迷った場合
5 再雇用者と同一労働同一賃金
17 定年後再雇用
本章の内容
論点目次
1 高年齢者雇用安定法の概要
1 改正前の法規制
2 改正後の法規制
3 実務的な制度設計
2 定年後再雇用に関するトラブル
1 再雇用等拒否に関するトラブル
2 再雇用等の労働条件等に関するトラブル
3 同一労働同一賃金に関するトラブル
4 再雇用後の雇止めに関するトラブル
5 定年延長等に伴う給与体系の不利益変更に関するトラブル
6 労働者性に関するトラブル
7 安全・健康問題
3 再雇用等拒否に関するトラブル
1 対象者基準の要件
2 具体的トラブル事例
3 再雇用等拒否を行う場合の留意事項
4 再雇用等拒否が不当と判断されるリスクに備えた対応
4 再雇用等の労働条件等に関するトラブル
1 法律の原則
2 トラブルの実例
3 実務的なポイント
5 同一労働同一賃金に関するトラブル
1 定年後再雇用において同一労働同一賃金が問題となる理由
2 トラブルの実例
3 実務的なポイント
6 再雇用後の雇止めに関するトラブル
1 「65歳までは雇止めは一切できない」?
2 雇止めが有効か否かの判断方法
3 定年後の再雇用における雇止め特有の事情
4 裁判例
5 裁判例から読み解くトラブル回避のポイント
6 「合理的な理由」の精査の必要性
7 定年延長等に伴う給与体系の不利益変更に関するトラブル
1 給与体系の不利益変更
2 裁判例
3 裁判例にみる対応のポイント
18 労働者性
本章の内容
論点目次
1 雇用によらない働き方とリスク
2 労働基準法上の労働者性の判断ファクター
1 労働基準法上の労働者か否かの判断ファクター
2 各ファクターの詳細について
3 裁判例
4 実務上の対応方法
奥付