- 発売日
- 2025年07月01日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 渕圭吾、松井智予、小島立、前田健、興津征雄、溜箭将之、大久保直樹、渕麻依子、窪田充見、濱口弘太郎、駒村圭吾
私人の利益追求目的で行う活動が同時に公益の実現に寄与する場面を取り上げ、法一般が社会で果たす役割を検討する。
目次
表紙
目次
序論
第1章 事業活動と公益をめぐる法の対話―ノグチ・ルーム移設事件を題材に
1 私人による公益実現の位置づけ―有体物の利用への制約を例に
1 はじめに
2 ヒトとモノの関係への制約⑴―実体法上のルールのあり方
3 ヒトとモノの関係への制約⑵―手続法の観点から
4 租税の位置づけ―結びに代えて
2 「 創作活動」「美術品」の産業的側面―デジタル時代における考察の基礎
1 はじめに
2 創作者の「商人性」と「事業者性」・「営利性」・「商用目的」
3 共同制作者としての環境提供者?
4 運営管理者と営利性
5 まとめ
第2章 創作活動・芸術活動における法の役割
3 「 文化芸術活動が行われる場や組織」について
1 本稿の目的
2 「文化芸術活動が行われる場や組織」の位置づけ
3 文化芸術活動における「媒介の場や組織」に関する現代的課題
4 結語
4 コンテンツのアーカイブと知的財産法の役割
1 はじめに
2 アーカイブの意義と機能
3 知的財産法はアーカイブの形成と利用の障壁となるか
4 アーカイブの形成と利用に向けた近時の著作権法制の改正
5 おわりに
5 ソーシャル・メディア・プラットフォームと公私の区分
1 トランプとメルケル
2 国家との結び付き
3 一般公衆への開放性
4 SMPの役割―二つのモデル
6 公益の実現における法の役割―第2章のむすびに代えて
1 はじめに
2 小島立「『文化芸術活動が行われる場や組織』について」
3 前田健「コンテンツのアーカイブと知的財産法の役割」
4 興津征雄「ソーシャル・メディア・プラットフォームと公私の区分」
5 若干の感想
第3章 私人による公益実現のための法的仕組み
7 公益団体のガバナンスと成長―日米比較からの問題提起
1 公益信託・公益法人とガバナンス
2 公益法人の歴史
3 日本・NGO・国際世論
4 アメリカのチャリティと国際NGOの抱える課題
5 公益セクターの可能性を考える
[追補]
8 反トラスト法は「私人による公益の実現」を貫くのか
1 はじめに
2 昨今の議論の概要
3 消極的な判例法理の背景
4 2020年報告書に至る議論
5 FTC法5条
6 おわりに
[追補]
1 Epic Games対Apple訴訟のその後
2 FTC法5条の活用
9 プラットフォームとインフラストラクチャーをめぐる法の一般原則―「法の下の平等」の私法的基礎づけを含めて
1 はじめに
2 プラットフォームをどのように理解するか―アメリカ法学の挑戦
3 日本法の文脈へ
10 実体法と手続法から見た公益の実現における私人の役割―第3章のむすびに代えて
1 はじめに
2 溜箭将之「公益団体のガバナンスと成長―日米比較からの問題提起」
3 大久保直樹「反トラスト法は『私人による公益の実現』を貫くのか」
4 若干の感想
第4章 公益実現をもたらす私人の活動と時間
11 著作者人格権と遺族― 残された者は誰のために著作者人格権を行使するのか?
1 故人の著作者人格権が行使されるとき
2 なぜ遺族が著作者人格権を行使することができるのか
3 著作者死後の著作者人格権の保護
4 結びに代えて
12 相続を通じた権利の承継―相続という制度の役割と限界
1 はじめに
2 相続による権利の承継―自明なものなのか?
3 相続によって承継されない権利
4 被相続人による処分
5 おわりに
13 「公益」と民事消滅時効
1 はじめに
2 事例についての検討
3 時効制度に関する検討
14 財産権・地位等の承継と法主体―第4章のむすびに代えて
1 私人による公益の実現と時間
2 渕麻依子「著作者人格権と遺族―残された者は誰のために著作者人格権を行使するのか?」
3 窪田充見「相続を通じた権利の承継―相続という制度の役割と限界」
4 濱口弘太郎「『公益』と民事消滅時効」
第5章 公益と私益―closing comments
15 憲法における「私益」と「公益」の距離―《 反社会的私益の公益性》というアクロバットは可能か?
1 利益―利益法学の夢
2 憲法判例における「利益」
3 公益への接続
4 反社会的言論の公益性?
5 “倒錯”を抱きしめて―憲法のアクロバット
16 アートとデータの「公益」と仲介者たる「私人」の自由
1 はじめに
2 アートとデータの共通点
3 美術館とプラットフォームの相違点
4 小括
執筆者紹介
奥付