- 発売日
- 2023年10月25日
- 出版社
- 法律文化社
- 編著等
- 指宿信、板倉陽一郎
越境する捜査活動をめぐる法的課題に、比較法的・分野横断的に取り組む論文集。「第一部 越境捜索を問う」「第二部 世界の越境捜索とその規律」「第三部 越境捜索と令和3年最高裁決定」「第四部 データ駆動型捜査と個人情報収集の規律」の構成で論考21本を収録。
目次
表紙
はじめに
目次
第一部 【座談会】越境捜索を問う―サイバー捜査と個人情報をめぐる法環境の近未来
越境捜索を問う―サイバー捜査と個人情報をめぐる法環境の近未来(登壇者:指宿 信、板倉陽一郎、水谷恭史、横田明美)
1 はじめに
2 サイバー捜査をめぐる国際法・刑事法上の課題
3 サイバー捜査と個人情報保護法制―ガバメントアクセス、リモートアクセスと個人情報保護法
4 司法警察活動・行政機関の情報管理をめぐる問題の位置付け
5 サイバー捜査規制のあり方を考える
第二部 世界の越境捜索とその規律
第1章 欧州―EUとCoEの新たな電子的証拠の収集ルール(丸橋 透)
1 はじめに
2 EUのe-evidence関連法
3 ブダペスト条約第二追加議定書の概要
4 おわりに
第2章 ドイツ―オンライン捜索およびリモートアクセス(内藤大海)
1 はじめに
2 オンライン捜索(Online-Durchsuchung)
3 リモートアクセス
4 越境侵入
第3章 ノルウェー―外国サーバ上の情報の差押えをめぐる主権及び管轄権(タイダル社訴訟最高裁判決とJon Petter Ruiによる批評の検討)(Jørgen S. Skjold)
1 序論
2 主権と執行管轄権
3 執行管轄権とタイダル社訴訟
4 最高裁判決は国家実行を基盤としている
5 最高裁による解釈は、国際法体系の基本的姿勢と一致する
6 最高裁が述べなかったこと
7 結論
第4章 韓国―越境捜索をめぐる大法院判決の動向(金 赫)
1 はじめに
2 越境捜索・押収に関する大法院判決(대법원 2017.11.29.2017도9747판결)
3 検討
4 おわりに
第5章 中国―データ主権原則と越境捜索(松尾剛行・胡 悦)
1 はじめに
2 データ主権と中国の立場
3 サイバー犯罪条約その他の国際法上の越境捜索に関する規律
4 (刑事事件を前提とした)中国における電子データに関する規律の概要
5 中国における越境捜索に関する規律と実務
6 中国に対する越境捜索
7 おわりに
第6章 米国―越境捜索とCLOUD法(尾崎愛美・小向太郎)
1 はじめに
2 係争事例
3 CLOUD法
第三部 越境捜索と令和3年最高裁決定
第7章 総論(指宿 信)
1 はじめに
2 クラウドサービスの普及と課題
3 サイバー捜査をめぐる隘路
4 大容量ストレージ時代のデータの押収
5 本件捜索の特徴―越境捜索、リモートアクセスそしてオンライン捜索
6 おわりに
第8章 刑事弁護実務の観点から―データ証拠の収集行為を統制し得ない現行刑訴法の限界(水谷恭史)
1 はじめに
2 事案の概要
2 弁護人が主張したデータ収集行為の違法性
3 証拠能力を肯定した原判決を追認した最高裁の判断
4 越境リモートアクセスの許容性に関する根本的判断の回避
5 オンライン捜索の重大性の軽視
6 包括的・網羅的差押えの危険性の軽視
7 データ証拠に特化した新たな統制規範の必要性
第9章 国際法学の観点から―越境リモートアクセス捜査の評価(石井由梨佳)
1 問題の所在
2 サイバー空間における執行管轄権
3 日本のアプローチ
4 おわりに
第10章 刑事訴訟法学の観点から―令和3年最高裁決定の論理を検討する(斎藤 司)
1 はじめに
2 本件で問題となっている捜査手続の概要
3 国外サーバ等へのリモートアクセスの可否
4 国外サーバ等へのリモートアクセスとその法的性質
5 国外へのリモートアクセスと主権侵害の有無
6 主権侵害と刑訴法上の違法
7 違法収集証拠排除法則の適用
8 おわりに
第11章 個人情報保護法の観点から―個人情報保護法制と越境捜索(板倉陽一郎)
1 はじめに―海外リモートアクセスをめぐる高裁判決に現れた「連邦取引委員会法」
2 日本の個人情報保護法制と越境捜索
3 海外の個人情報保護法制と越境捜索
4 事業者の板挟みを防ぐための国際的手法―米国クラウド法
5 おわりに
第12章 憲法学の観点から―主権侵害の違法性と憲法秩序(小西葉子)
1 はじめに
2 主権侵害と「重大な違法」
3 ドイツの裁判例から見る越境捜索と「主権」
4 むすびにかえて
第四部 データ駆動型捜査と個人情報収集の規律
第13章 データ法・総論(西貝吉晃)
1 はじめに
2 一般的なデータ概念と情報
3 デジタルデータに対する権限
4 ケーススタディ
5 まとめと今後の課題
第14章 遠隔捜索とデジタル・フォレンジック(安冨 潔)
1 はじめに
2 デジタル・フォレンジック
3 デジタル・フォレンジックと刑事手続
4 デジタル・フォレンジックにおける留意事項
5 越境捜索における検討課題
6 おわりに
第15章 GDPRの十分性認定(加藤尚徳)
1 はじめに
2 GDPRと十分性認定―第三国または国際機関に対する個人データの移転
3 我が国の個人情報保護法の十分性認定プロセス
4 十分性認定に関する決定
5 残された課題と今後のガバメントアクセスのあり方
第16章 Cyber-Physical Systemにおける刑事司法の最適化―(続)科学技術と共進化する刑事司法を目指して(稻谷龍彦)
1 はじめに―「摩擦」の消滅
2 刑事司法の最適化と適正手続
3 適正手続とCPS
4 おわりに
第17章 法執行における個人情報の越境移転の諸手法(四方 光)
1 Society 5.0時代における法執行の困難性
2 法執行のための個人情報の越境移転の諸手法
3 情報を必要とする国が情報の所在する他国に依頼して入手する方法
4 情報を必要とする国が情報の所在する他国の当該所在地から直接に入手する方法
5 情報を必要とする国が情報を保有するプロバイダから入手する方法
6 特定の犯罪を捜査する関係国がそれぞれの国内で情報を入手した上でそれを共有する方法
7 いわゆるポリスウェアによって入手する方法
8 おわりに
第18章 国境を越えて伸ばされる手にどう対処するか―ジオフェンス令状とガバメントクラウドを題材に(若江雅子)
1 はじめに
2 国境を越えて伸ばされる手
3 ジオフェンス令状
4 ガバメントクラウド
5 おわりに―国家の責任とPFの責任
第19章 データ移転の規律と第三者機関の役割(宮下 紘)
1 データをめぐる地政学
2 個人データの移転規制の根拠
3 第三者機関の役割
4 データ移転の規律密度
5 データの自由な流通と移転規制の相克―日本への示唆
第20章 EU法からみた日本の個人データ越境移転の課題―欧州データ保護法研究者と越境研参加者の討議記録(Laura Drechsler・横田明美)
1 はじめに
2 第1回(2021年7月9日・12日)研究会の要旨
3 Drechsler氏からの質問とそれに対する研究会の応答
3 第2回(2022年6月29日)研究会の要旨
3 Drechsler氏からの質問とそれに対する研究会の応答
3 おわりに
第21章 データ駆動型捜査とレギュレーションのあり方(指宿 信)
1 はじめに
2 ジオフェンス令状
3 キーワード令状
4 データ駆動型捜査の比較検討
5 データ駆動型捜査と事後規制
6 おわりに
おわりに
1 サイバー捜査の規律をめぐって
2 個人情報の保護をめぐって
執筆者紹介
奥付