- 発売日
- 2022年07月02日
- 出版社
- 日本法令
- 編著等
- 水町勇一郎
「働き方改革」以降、労働法をめぐる法令改正等の動きは目まぐるしいです。さらに、有期・無期契約労働者間の待遇格差、出来高給と割増賃金が一体となった賃金制度による割増賃金の支払い、無期契約転換ルールと雇止めなど、判例・裁判例の重要な展開もあります。実務の現場では、労働法の理論の捉え方についてさまざまな疑問が生じており、実際の実務との乖離が生じている場面も少なくありません。本書は、日本を代表する労働法学者である水町教授が、実務のフィールドに降りて、現場の疑問を理論立てて考察し解を示すものです。(※本書は、最新版[第3版]の掲載があります。)
目次
表紙
目次
第1編 総論
1 労働法の歴史
Q1 「近代」とは?
Q2 日本の長期雇用慣行の原点
Q3 奉公契約や雇用契約の期間(年季)の変遷
Q4 「家職」「家業」はジョブ型?
Q5 工場法と商店法
Q6 ILO条約と日本
Q7 労働法と社会保障法の源流
Q8 労働市場の変化と労働者派遣法
Q9 少子化の背景と課題
Q10 「働き方改革」の行方
Q11 働き方改革と保守思想
Q12 日本の雇用システムの根源
Q13 学説が裁判例に与える影響
2 「労働者」
Q14 「労働者」概念の相対性と複雑さ
Q15 役員の社会保険上の取扱いと労働者性
Q16 労基法上の労働者と労組法上の労働者の違い
Q17 「労働者」性の判断基準の変化?
Q18 契約の名称等ではなく実態に基づく判断
Q19 「労働者」概念の複雑さへの対応
Q20 労働者をめぐる制度の再設計の構想
Q21 代表取締役の労働者性
Q22 ギグワーカーの法的取扱い
Q23 保険外交員の労働者性
Q24 離職後労働組合に駆け込み加入した人の労働者性
3 「使用者」性
Q25 「(法)」が消えた理由
Q26 「違法・不当な目的」の立証
Q27 法人格否認の責任追及の相手方
Q28 間違った指南と共同不法行為責任
Q29 派遣先均等・均衡方式と黙示の労働契約の成立
Q30 黙示の労働契約の成立と労働契約申込みみなし
Q31 労基法上の「使用者」性と「管理監督者」性
4 強行法規
Q32 行政取締法規の私法上の効力
Q33 なぜ日本の労働法には行政取締法規が多いのか?
Q34 労働安全衛生法の私法的効力
Q35 過半数代表者の選出方法
Q36 過半数代表者の選出への使用者の関与
Q37 過半数代表者の選出方法や協議のあり方の整備
Q38 休憩の分散付与は「法律で定める基準に達しない」?
Q39 労基法等に基づく履行請求権
Q40 労基法違反の場合の判決の内容
5 労働協約
Q41 労働組合のない会社の労働者はどうすればいい?
Q42 労働組合のイメージと課題
Q43 労働協約の手続の瑕疵と会社の対応
Q44 協定(労働協約)と就業規則
Q45 労働協約の拡張適用とフリーライド問題
Q46 労働協約の拡張適用と他組合員・非組合員
Q47 地域単位の拡張適用の波及効果
Q48 地域単位の拡張適用に使用者が対抗する手段
6 就業規則
Q49 就業規則の作成・届出が義務づけられている理由
Q50 就業規則の定義
Q51 企業年金規約の法的性質
Q52 法源の優先順位の規定の仕方
Q53 短時間社員・契約社員に適用される就業規則がない場合
Q54 就業規則の最低基準効の位置づけ
Q55 労働者が就業規則に反対する意思表示をしていた場合
Q56 就業規則の実質的周知
Q57 就業規則の実質的周知と訴訟リスク
Q58 就業規則への記載ミス
Q59 テレワークガイドラインと就業規則
Q60 労働条件変更の方法
Q61 個別合意による労働条件変更と就業規則の改定
Q62 就業規則の不利益変更の法的構成
Q63 就業規則変更をめぐる紛争の解決の方法
Q64 労働組合がないときの手続
Q65 諸要素の総合考慮と予測可能性
Q66 個別合意と就業規則変更の関係
7 労働契約
Q67 労働契約の合意原則と「承諾みなし」
Q68 社内の事務的ルールの法的位置づけ
Q69 賃金を一方的に引き下げる合意または労使慣行の存在
Q70 社長の一存で業務命令
Q71 ワクチン接種をしない社員への対応
Q72 就業規則のない中小企業での業務命令の権限
Q73 テレワークと情報漏洩の責任
Q74 労働者の顧客詐欺をめぐる使用者からの求償権の行使
Q75 在宅勤務における費用負担
Q76 就労請求権とパワハラ防止法
Q77 就労請求権の解釈と時代の変化
第2編 個別的労働関係法
8 労働者の人権保障
Q78 身元保証契約への極度額の定め
Q79 退職者への報奨金の返還規定等の適法性
Q80 企業型確定拠出年金等をめぐる問題
Q81 使用者以外の第三者による奨学金制度
Q82 違約金の禁止と日本の人材育成制度
Q83 ハラスメント防止法と裁判との関係
Q84 使用者のハラスメント防止措置の実施と使用者責任
Q85 ひげの「不快感」「異様さ」の判断基準
Q86 電子メールの閲覧・監視の手続
9 雇用差別の禁止
Q87 弱者保護と平等との関係
Q88 差別禁止規定等の表現の違いの理由
Q89 役職定年制は適法か
Q90 人権デューディリジェンスと日本の課題
Q91 差別禁止と平等取扱いの区別の実益
Q92 外国人技能実習制度と人権保護
Q93 採用面接で尋ねてはいけないことについて
Q94 履歴書の様式例
Q95 均等法の規定の実効性
Q96 コース別雇用制は禁止すべきか
Q97 事件の名前の匿名性について
Q98 最高裁判事は旧姓を使用できるか
Q99 雇用差別の禁止に向けた道のり
10 非正規労働者
Q100 差別的取扱いの禁止(パート有期法9条)の適用
Q101 テレワークと正規・非正規格差の不合理性判断
Q102 比較対象の選択とそのための準備
Q103 比較対象となる正社員がいない場合の取扱い
Q104 不合理性の量的判断
Q105 同一労働同一賃金ガイドラインの法的位置づけ
Q106 賞与の相違の不合理性
Q107 不合理性判断における正社員登用制度の考慮
Q108 病気休暇・私傷病休職の相違の不合理性
Q109 特別休暇の相違の不合理性
Q110 時給・日給制の短時間・有期雇用社員の休日・休暇の取扱い
Q111 時給・日給制の短時間有期社員についての「休日」の取扱い
Q112 退職金に相当する確定拠出年金(DC)制度の評価
Q113 定年後再雇用者の賞与について
Q114 定年後再雇用をめぐる均衡判断
Q115 他の法律政策と格差の不合理性判断との関係
Q116 労基法附則137条の意味
Q117 無期転換前の雇止めに対するアドバイス
Q118 「2年11か月」神話の根拠?
Q119 契約更新限度の有効性
Q120 研究者の有期雇用と有期完了事業との関係
Q121 労働者派遣事業規制の方向性
Q122 労働者派遣の現状と未来
Q123 派遣先による労働契約申込みみなし後の待遇について
Q124 長距離トラックドライバーと個人事業主
11 労働関係の成立
Q125 終身雇用の崩壊と採用の自由の変化
Q126 内定取消時の解雇予告手当と損害賠償額
Q127 事前研修についての契約と就業規則
Q128 有期労働契約に付される試用期間の位置づけ
Q129 有期労働契約に付される試用期間と「やむを得ない事由」
Q130 無期契約転換者への試用期間の適用
Q131 試用目的で締結された有期労働契約の法的性格
12 教育訓練
Q132 社会人大学院に通いたいとの希望に応える義務はあるか?
13 昇進・昇格・降格
Q133 賃金額の時期的不公平を調整するための賃金減額
Q134 賃金減額を伴う降格の法的枠組み
14 配転・出向・転籍
Q135 テレワークに関する鶴の一声と就業規則の整備
Q136 会社側の経営判断と裁判所の合理性・相当性判断
Q137 配転と懲戒処分
Q138 配転をめぐる紛争は増加するか
Q139 単身赴任と労働者の人権
Q140 出向と労働者供給事業の区別
Q141 出向命令権の存否の判断における労働者の不利益への配慮
Q142 在籍出向の場合の均等・均衡待遇
Q143 出向期間中の行為に対する懲戒権の所在
15 休職
Q144 短時間労働者への病気休職制度
Q145 休職期間中の休暇・休業取得の可否
Q146 病気休職期間中の産休・育休の取扱い
Q147 長期の傷病休職と年休発生要件の出勤率の算定
Q148 傷病休職期間中の産休・育休時の復職許可診断書提出要求
Q149 リハビリ出勤の規定について
Q150 リハビリ勤務中の安全配慮義務
Q151 病気休職期間の長さと解雇・退職扱いの合理性
Q152 傷病休職満了時の解雇・退職扱いをめぐる問題
16 企業組織の変動
Q153 合併後の労働条件の併存
Q154 合併の際の企業型確定拠出年金への移換
Q155 事業譲渡の際の労働条件の承継について
Q156 会社分割の際の労働者の同意
Q157 会社分割後の承継元企業での整理解雇
Q158 承継事業の主従事労働者の承継に異議申出権がないこと
17 懲戒
Q159 懲戒処分の公表の可否と方法
Q160 事実調査と被害者のプライバシー
Q161 固有権説か契約説か?
Q162 懲戒処分について本人の同意を得ることの意味
Q163 有期雇用労働者の期間途中の懲戒解雇・普通解雇
Q164 罪刑法定主義類似の諸原則の法的性格
Q165 罪刑法定主義「類似」の諸原則
Q166 非違行為の事実調査期間中の取扱い
Q167 「諭旨解雇」という言葉について
Q168 諭旨退職と企業型確定拠出年金の事業主掛金の返還請求の可否
Q169 懲戒解雇と予備的な普通解雇の意思表示
Q170 懲戒解雇と予備的な普通解雇の意思表示の理由の明示
Q171 痴漢行為と懲戒処分
Q172 複数組合併存下での組合活動の容認
Q173 泥酔して会社の情報機器を紛失した場合の処分の可否
18 賃金
Q174 日本の賃金体系と「同一労働同一賃金」原則の趣旨
Q175 管理監督者の欠勤による賃金減額
Q176 賞与の将来に向けた勤労奨励的性格について
Q177 賞与や退職金の法的性質と不支給決定
Q178 ポイント制退職金の法的性格
Q179 退職金は賃金の後払いなのか?
Q180 基本給の増額と退職金制度の改定について
Q181 非違行為と過去の功績
Q182 ポイント制退職金の制度設計
Q183 賃金減額を行う方法
Q184 一旦確定した賃金の減額の可否
Q185 休業手当(労基法26条)は賃金か?
Q186 通貨払原則の例外としての労働協約
Q187 振替休日の付与と賃金全額払原則(その1)
Q188 振替休日の付与と賃金全額払原則(その2)
Q189 自社製品の強制購入について
Q190 企業型確定拠出年金と賃金全額払原則
Q191 出来高払いの保障給の水準
Q192 コロナ禍の営業自粛と休業手当
Q193 解雇期間中の賃金と中間収入の償還
19 労働時間
Q194 労働時間性についての解釈の違い
Q195 在席していない時間の「労働時間」についての取扱い
Q196 仮眠時間・不活動時間の労働時間性
Q197 工事現場に向かう移動時間の労働時間性
Q198 管理監督者についての労働時間適正把握
Q199 法定休日の振替
Q200 法定休日の特定
Q201 副業・兼業と時間外労働命令権の衝突
Q202 出来高給と国際自動車事件判決
Q203 定額残業代の意義と判例による規律
Q204 国際自動車事件最高裁判決をめぐる解釈
Q205 割増賃金控除払方式による算定基礎賃金の変動?
Q206 1か月単位の変形労働時間制の勤務時間変更の可否
Q207 事業場外労働のみなし制と就業規則
Q208 労使委員会の決議事項としての不利益取扱い禁止の効力
20 年次有給休暇
Q209 年休付与義務の法的性格
Q210 年休付与義務についての使用者の責任
Q211 年休付与義務の年途中退職者についての取扱い
Q212 年休期間中の賃金の定め方
Q213 年休取得の妨害と損害賠償請求
Q214 年休の消滅時効
Q215 退職者の年休買取りの適法性をめぐる解釈
21 労働安全衛生
Q216 化学物質の管理等において社労士が果たすべき役割
Q217 労安衛法上の時間外・休日労働時間の算定
Q218 「労働時間」と「健康管理時間」等
22 労働災害の補償
Q219 取締役等として働く人間を保護する法律は?
Q220 メリット制と事業主による取消訴訟の可能性
Q221 労働災害に労災保険を利用しないこと
Q222 公共交通機関での事故の労災認定
Q223 副業・兼業に対する法的対応
Q224 労災保険と労災民訴
Q225 安全配慮義務違反と労災保険給付との関係
Q226 コロナ陽性者の在宅勤務と安全配慮義務
Q227 メンタルヘルス不調と上司等の監督責任
Q228 安全配慮義務違反についての役員の責任
23 年少者の保護
Q229 成年年齢の18歳への引下げと労基法の年少者規制
24 女性の保護(母性保護)
Q230 育児時間の保障に例外は認められないのか?
25 育児・介護等の支援
Q231 有期雇用労働者の育児休業からの除外に関する労使協定
Q232 法律改正と就業規則の改定手続
Q233 産後パパ育休期間中の就業について
Q234 「〇〇を理由とする不利益取扱い」の禁止の判断
Q235 有期雇用労働者の産休・育休期間中の雇止め
Q236 不利益取扱いの禁止をめぐる厚生労働省の見解
Q237 不利益取扱いの禁止と公序違反性の判断
Q238 賞与支給に関する不利益取扱い
26 外国人雇用
Q239 外国人労働者受入れ政策の方向性について
Q240 外国人受入れをめぐる問題と方向性
Q241 「第2号技能実習」を経た「特定技能1号」への移行
Q242 特定技能制度による外国人受入れの拡大方針について
Q243 外国人労働者に雇用保険を適用することの矛盾?
Q244 外国人労働者への社会保険の適用
27 障害者雇用
Q245 事業主の合理的配慮措置義務違反の私法上の効果
28 知的財産・知的情報の保護
Q246 就業規則の閲覧・交付と労働条件明示
29 労働関係の終了
Q247 行政による解雇予告除外認定の私法上の効力
Q248 解雇禁止期間と雇止め
Q249 労基法19条の業務上傷病の判断と労災申請の要否
Q250 休職期間満了による「解雇」か「退職」か
Q251 私傷病による能力の低下と解雇の合理性
Q252 能力不足を判断する「職務」の範囲
Q253 高齢者を解雇の人選対象とすること
Q254 解雇の金銭解決制度の展望
Q255 辞職の申出期間に上限はあるのか?
Q256 辞職と年次有給休暇の取得
Q257 有期労働契約の期間途中解約が認められる「やむを得ない事由」
Q258 合意解約の成立の時期
30 高齢者・若者雇用
Q259 高齢化と日本の労働政策の方向性
Q260 定年延長と60歳以降の賃金の水準について
Q261 高齢者の雇用継続制度の展望
Q262 高年齢者の人事労務管理のあり方について
Q263 継続雇用移行時の変更提案と拒否時の手続
Q264 高年齢者就業確保措置における「業務委託」の位置づけ
第3編 集団的労働関係法
31 労働組合
Q265 日本の労働組合と労使関係の特徴
Q266 企業や産業を超えた組合活動の可能性
Q267 労働組合がない企業における従業員との話合い
Q268 労働組合のない中小企業での社労士の役割
Q269 地域合同労組(コミュニティ・ユニオン)の実態と役割
Q270 自主性を欠く労働組合
Q271 使用者の「利益代表者」の範囲
Q272 派遣会社から労働組合への組合事務員の派遣と経費援助
Q273 労働組合の目的と役割
Q274 チェック・オフ協定の「過半数」要件
Q275 支払委任契約なしでもチェック・オフは有効に成立するか
Q276 転籍による組合員資格の帰趨
Q277 ユニオン・ショップの合理性・有効性
Q278 ユニオン・ショップ協定無効論への不安
32 団体交渉
Q279 労働争議における社労士の役割
Q280 社労士が労使紛争の解決にあたりできること
Q281 社労士の団体交渉代理権取得への道
Q282 個別労働条件を交渉事項とした団体交渉
Q283 団交を拒否する「正当な理由」の判断
Q284 訴訟提起と団体交渉
33 団体行動
Q285 集団的労使関係法のモデルと今後の選択肢
34 不当労働行為
Q286 労働組合の不当労働行為制度の必要性?
Q287 労働委員会と裁判所の判断の違い
Q288 労使慣行の破棄に関する労働委員会と裁判所の判断
Q289 労働委員会による行政救済制度の見直しの必要性
第4編 労働市場法
35 雇用仲介事業規制
Q290 ハローワークの職業紹介と職業選択の自由
Q291 募集情報等提供事業者への届出制等の導入
36 雇用保険法
Q292 高年齢雇用継続給付の今後
Q293助成金の不正受給問題
37 職業能力開発・求職者支援
Q294 キャリアコンサルタントの展望
38 特定分野の雇用促進政策
Q295 「第2のセーフティネット」と法律のネーミング
第5編 国際的労働関係法
39 適用法規と裁判管轄
Q296 国際的な労働関係に適用される法律の決定
40 国際労働基準
Q297 国際労働基準の意義
第6編 労働紛争解決法
41 行政による紛争解決
Q298 和解による紛争解決の実情
42 裁判所による紛争解決
Q299 日本はなぜ裁判所利用率が低いのか?
Q300 判例と下級審判決
奥付