BUSINESS LAWYERS LIBRARY

地理的表示保護制度の生成と展開

発売日
2022年08月31日
出版社
弘文堂
編著等
今村哲也

八丁味噌や夕張メロンの例に見られるように、国内の名産品を、地理的表示の登録によりブランド化して世界の市場で売り出そうとする取組みは、近年、経済活性化の面からも重視されています。一方、地理的表示をめぐる法制度は、様々な国際条約や国内法が錯綜し、全体像を掴むことが至難の状況です。本書では、国内外の議論状況、制度の相互関係を丁寧に読み解き、今後の制度設計を考えるための見取り図を描きます。

目次

表紙

はしがき

目次

凡例

第Ⅰ部 地理的表示の理論と法的形式

第1章 国内外の議論の素描

Ⅰ 地理的表示について論じる学術的意義

Ⅱ 地理的表示の特殊性

Ⅲ 本書の内容

第2章 正当化根拠論

Ⅰ 地理的表示は「知的財産」なのか

Ⅱ メタファのベイスライン:「知的財産」か「他人の行為の規制」か

Ⅲ 情報財の非競合性と情報の非対称性

Ⅳ 地理的表示に関する「知的財産」のメタファの採用

Ⅴ 地名を含む標章の機能論とテロワール

Ⅵ 地理的表示法の法目的とTRIPS協定

第3章 地理的表示等を保護する法的形式

Ⅰ 法的形式のモデル・類型

Ⅱ 国際条約と制度選択

Ⅲ TRIPS協定との関係で日本が選択した法的形式

Ⅳ 多国間通報登録制度・追加的保護拡大と制度選択

第4章 団体・証明商標による保護

Ⅰ 団体商標と原産地の名称の保護に関するわが国の議論

Ⅱ 類似制度の区別

Ⅲ パリ条約の規定

Ⅳ 原産地の表示を含む商標の保護

Ⅴ アメリカにおける団体標章・証明標章制度

第5章 スイ・ジェネリス型の保護

Ⅰ EUにおける地理的表示に関する規則の種類

Ⅱ EU品質スキーム規則(農産品及び食品)

Ⅲ EU品質スキーム規則における地理的表示保護の概要

Ⅳ 欧州型の地理的表示保護制度の分析

第Ⅱ部 産地名の表示に関する国内制度

第6章 不正競争防止法

Ⅰ 概要

Ⅱ 原産地等誤認惹起行為の規律の沿革

Ⅲ 2条1項20号における「原産地」

Ⅳ 地理的表示との競合(打消し表示としての原産地表示の効果)

Ⅴ 原産地の概念と商品の特性の付与との関係

Ⅵ 原産地を「誤認させるような」表示

Ⅶ 適用除外

Ⅷ 原産地誤認行為の規律

第7章 商標法

Ⅰ 商標と地名

Ⅱ 地域団体商標制度の沿革

Ⅲ 地域団体商標制度の意義

Ⅳ 地域団体商標の要件

Ⅴ 地域団体商標に係る商標権の効力

Ⅵ 若干の課題

第8章 地理的表示法

I 制定の経緯

Ⅱ 法律の概要

Ⅲ 運用の状況と課題

第9章 その他の行政規制と公正競争規約

Ⅰ 景品表示法に基づく規制

Ⅱ 食品表示法に基づく食品表示基準における規制

Ⅲ 公正競争規約に基づく規制

第10章 商標法と地理的表示法の交錯

Ⅰ 地域団体商標制度の理論的含意

Ⅱ 原産地の表示を含む標識の保護ルール

Ⅲ 諸外国の法制度の分析から

Ⅳ 両制度の関係

Ⅴ 普通名称化における相違

Ⅵ 制度併存の国際的な意義

Ⅶ 商標と地理的表示の先後関係の調整

Ⅷ 両制度の活用戦略

第Ⅲ部 国際的保護をめぐる課題

第11章 TRIPS協定以前の国際条約

Ⅰ 多国間条約

Ⅱ WIPO条約案とモデル法

第12章 TRIPS協定の地理的表示保護の沿革

Ⅰ マンデート論争

Ⅱ 各国の提案・草案

Ⅲ 提案・草案に基づく交渉

第13章 TRIPS協定における地理的表示の保護

Ⅰ すべての地理的表示の保護に関する下限(22条)

Ⅱ ワインとスピリッツの追加的保護(23条)

Ⅲ 地理的表示保護に対する複雑な例外(24条4項以下)

Ⅳ さらなる交渉の義務等

第14章 TRIPS協定以降の交渉

Ⅰ WTO閣僚会議

Ⅱ TRIPS理事会

Ⅲ ワインとスピリッツの多国間通報登録制度をめぐる交渉

Ⅳ 追加的保護の対象産品拡大(GI拡大)をめぐる議論

Ⅴ 最近の議論の動向

第15章 FTA・EPAと地理的表示1

Ⅰ FTA・EPAと知的財産の保護

Ⅱ アメリカ型FTAと地理的表示

Ⅲ EUのFTAと地理的表示

Ⅳ アメリカとEUの基本的な見解の相違と共通する問題点

Ⅴ 日・EU経済連携協定における地理的表示保護状況

第16章 TRIPS協定以降のWIPOの動向

Ⅰ 商標・工業デザイン及び地理的表示の法律に関する常設委員会(SCT)

Ⅱ 地理的表示に関する国際シンポジウム

Ⅲ リスボン協定ジュネーブ改正協定

第17章 国際的なルール形成の行方

第Ⅳ部 地理的表示保護の将来像

事項索引

判例索引

奥付

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