- 発売日
- 2026年02月28日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 樫澤秀木、宮澤俊昭、児玉弘、稲垣浩、岡庭幹司、開田奈穂美、加藤雅俊、德久恭子、西川佳代、御幸聖樹、山下博美、渡辺千原
未だ解決を見ない戦後の大規模訴訟の一つである諫早湾干拓紛争を、法学・政治学・社会学から分野横断的に研究した書。
目次
表紙
はじめに
目次
巻頭資料
第1編 諫早湾干拓紛争の経緯と現状の分析
第1章 諫早湾干拓紛争の歴史――なぜこれほど長期化したのか
はじめに
Ⅰ 地域的紛争期
Ⅱ 全国的紛争期
Ⅲ 政治部門の動き
Ⅳ 裁判闘争
Ⅴ 干拓地の状況
Ⅵ 紛争処理論への示唆
むすびに代えて
第2章 諫早湾干拓事業をめぐる政治行政過程――長崎大干拓構想から現在まで
Ⅰ 本章の分析視座――地域開発をめぐる合意形成とそのゆらぎから捉える諫早湾干拓事業
Ⅱ 諫早湾干拓事業の起点――西岡竹次郎・佐藤勝也県政
Ⅲ 着工をめぐる問題の広域化と政治による調整――久保勘一・高田勇県政
Ⅳ 国営諫早湾干拓事業の着工後の政治行政過程
Ⅴ おわりに――新たな社会的合意形成に向けて
第3章 諫早湾干拓事業による地域社会への影響と住民の認識――アンケート調査の結果から
Ⅰ アンケートの概要について
Ⅱ 2020年調査の目的
Ⅲ 干拓事業によって生じた生活環境と自然環境の変化
Ⅳ 諫早市と雲仙市で分布が異なる項目
Ⅴ 諫早市と雲仙市で分布が変わらない項目
Ⅵ 干拓事業への評価
Ⅶ 開門したら心配なこと,期待できること
Ⅷ 2020年調査からわかること
Ⅸ 2021年のアンケート調査結果
Ⅹ アンケート調査の含意
第4章 自治体広報誌における公共事業の言説――諫早湾干拓事業についての『広報いさはや』記事分析から
Ⅰ 自治体広報誌の歴史とその役割
Ⅱ 『広報いさはや』と諫早湾干拓事業
Ⅲ 自治体広報誌における公共事業の言説
Ⅳ まとめ
第2編 既存の紛争処理プロセスの分析
第5章 諫早湾干拓紛争を巡る裁判の概要
Ⅰ 開門および開門差止めを巡る裁判の経過
Ⅱ 民事手続法学からみた上記各裁判の評価
第6章 諫早湾干拓紛争における漁業補償契約の分析――事業完成前の合意におけるリスクの配分の持つ意味
はじめに――問題の所在
Ⅰ 本稿で検討する漁業補償契約の概要
Ⅱ 関連する判決における判示内容
Ⅲ 検討の前提となる判例・行政実務
Ⅳ 考察――国の主張の是非
Ⅴ 本章の結論と今後の課題
第7章 憲法学から見た諫早湾干拓紛争――司法的救済と政治部門による救済
はじめに
Ⅰ 司法的救済
Ⅱ 本紛争の政治部門による救済
おわりに
第8章 民事手続法学からみた諫早湾干拓紛争
前注
第1部 西川論文
Ⅰ 「民事紛争処理手続からみた諫早湾干拓紛争」(法学セミナー766号〔2018年〕64-68頁)
Ⅱ 「民事手続法学からみた諫早湾干拓事業をめぐる裁判」(九州法学会会報2021年〔2021年〕45-48頁)
第2部 補遺
Ⅰ 諫早湾干拓紛争とADRの可能性――アメリカの環境ADRからの示唆(2023年5月13日日本法社会学会学術大会シンポジウム報告)
Ⅱ 諫早湾干拓紛争と「和解」
後注
第9章 諫早湾干拓紛争を行政訴訟ではなく民事訴訟で「解決」することの意義と課題
Ⅰ はじめに――本章の問題意識
Ⅱ 諫早湾干拓紛争と行政訴訟
Ⅲ 民事訴訟としての諫早湾干拓紛争における国の訴訟追行の特徴
Ⅳ 大規模公共事業をめぐる裁判における行政の訴訟活動のありかた
Ⅴ 住民参加ないし事前計画手続の必要性
Ⅵ むすびにかえて――環境ADRの可能性
第10章 科学訴訟としての諫早湾干拓訴訟
Ⅰ 裁判で科学を問うということ
Ⅱ 諫早湾干拓訴訟の争点をめぐる科学的知見の展開
Ⅲ 諫早湾干拓訴訟の展開と因果関係評価
Ⅳ 潮受け堤防の防災効果――もう一つの因果関係
Ⅴ フォーラムとしての諫早湾訴訟――評価と課題
第3編 求められる紛争処理プロセスの展望
第11章 地域活性化を目的とした社会的合意形成の再構築に向けて――政治・行政過程分析からの示唆
Ⅰ はじめに
Ⅱ 正統な意思決定の条件――政治学の知見
Ⅲ 地域社会のあり方をめぐる従来的な意思決定の特徴
Ⅳ 熟議を通じた合意形成の可能性と課題
Ⅴ おわりに――諫早湾干拓紛争を越えた新たな地域社会の形成に向けて
第12章 予測を超える損害の生じた大規模公共事業をめぐる紛争の解決に向けて――民事裁判制度によるほかない現状の分析と今後の課題
はじめに
Ⅰ 事業実施前後の状況の比較――民事裁判における判決で認定された事実を基礎として
Ⅱ 民事裁判制度による紛争処理を求めるほかない現状の分析
Ⅲ 民事裁判制度を通じた解決の困難さ――紛争の実態と民事裁判制度の取り扱いとの間の齟齬
Ⅳ 予測を超える損害の生じた大規模公共事業をめぐる紛争の解決に向けて
第13章 諫早湾干拓紛争とADR――事業開始前から事業後の紛争と裁判,将来に向けた対話へ
Ⅰ はじめに
Ⅱ 諫早湾干拓裁判の裁判外への影響と交渉過程
Ⅲ 環境紛争におけるADRの可能性
Ⅳ 諫早湾紛争における対話可能性
Ⅴ 結語
第14章 不確定状況下における紛争処理――諫早湾干拓紛争の概略と浮かび上がってきた課題
はじめに
Ⅰ 不確定社会・リスク社会
Ⅱ 個人による不確定性の処理(ギャンブル)
Ⅲ 複数人による不確定性の処理(当事者によるリスク・コミュニケーション)
Ⅳ 権威ある第三者が関与する不確定性処理(権威あるファシリテーターが介在するリスク・コミュニケーション)
結びにかえて
第4編 資料
資料1~資料22
結びに代えて――編者による一つの解題
奥付