- 発売日
- 2018年11月07日
- 出版社
- 弘文堂
- 編著等
- 浅野有紀
今、私たちが生きる世界では、グローバル化によって国境を越えた人々の活動が拡がり、その活動を支えるべきルールの形成や制度化が、国家の手では実効的になされ得ず、国家ではない集団や組織の手による非国家法が形成・拡大し、国家法と併存しています。その状況において生じる問題を論じる法理論である「法多元主義」は、現在のグローバル化時代には、欠かせない視点であることが、明らかになります。法実証主義の現代的展開として法多元主義を位置づけるとともに、社会保障と自衛官合祀訴訟という個別の題材、さらに、組織論にもアプローチ。
目次
表紙
はしがき
目次
第1章 法多元主義概論
Ⅰ はじめに
1 身近な事例から
2 国家法と自主規制の併存
3 法多元主義へ
Ⅱ なぜ「法多元主義」か
1 国家法
2 なぜ、「法」多元主義なのか
Ⅲ 法多元主義における「法」
1 法の定義問題
2 社会的規範としての法
3 法の機能
Ⅳ 法多元主義における「多元性」
1 法の共訳不可能性、矛盾、抵触
2 Interlegality
3 システム論
4 法への統一的視点はあるか
Ⅴ 法多元主義における記述と規範
Ⅵ おわりに
第2章 法多元主義における法の一次ルール・二次ルール・三次ルール
Ⅰ はじめに
Ⅱ フォン・ダニエルズによる一次ルールと二次ルールの再構成と三次ルール
1 フォン・ダニエルズによるハート理論の再構成
2 一次ルールにおける法の同定
3 多様な制度化の基礎としての二次ルール
4 連繫ルールとしての三次ルール
Ⅲ コットレルの法多元主義論
1 フォン・ダニエルズに対するコットレルの批判
2 コットレルの「制度化されたドクトリンとしての法」
3 小括
Ⅳ ミヘールズの三次ルール
1 ミヘールズの法多元主義論
2 三次ルールと承認のルール
Ⅴ 考察
第3章 福祉国家の変容と法多元主義の試論
Ⅰ はじめに――問題の設定
Ⅱ 福祉国家の発展における経済・政治・法
1 経済と政治
2 法
Ⅲ 日本型福祉国家の発展における経済・政治・法
1 経済と政治
2 法
Ⅳ 福祉国家の変容における法の役割――法多元主義的視点
Ⅴ 結語
第4章 法多元主義からみる日本における自治規範の一例
Ⅰ はじめに
Ⅱ 山口県護国神社自衛官合祀訴訟の概要
Ⅲ 最高裁判決
Ⅳ 三つの異なった見え方
1 第一の見え方:判決に対する反対論の立場から
2 第二の見え方:私人間関係として
3 第三の見え方:教会の関与
Ⅴ 法多元主義からみた問題点
Ⅵ 法多元主義からみた問題解決への示唆
第5章 法多元主義の組織論
Ⅰ はじめに
Ⅱ タマナハの組織論
1 タマナハの組織論とハートの「ルールの体系としての法」
2 1の検討
3 タマナハの「法の二つの志向性」
4 3の検討
Ⅲ ローズノーの組織論
1 組織数の増大と世界政治における二つの世界
2 二つの世界における六つの組織
3 二つの世界の今後の見通し
Ⅳ 考察
参考文献
事項・人名索引
奥付