- 発売日
- 2021年09月20日
- 出版社
- 慶應義塾大学出版会
- 編著等
- 池田 真朗
債権法改正、配偶者居住権等、書き下ろし3論考で現代への架橋を活写!池田民法学の原点にして、我が国民法研究の最高到達点を示す。多大な影響を与えてきたボワソナード民法は果たして葬り去られたのか?ボワソナードが起草しなかった親族法・相続法分野(人事編と財産取得編第13章以下)の立法過程の研究を加え、そこから更に2020年施行の債権法改正・相続法改正に浮かび上がるボワソナード民法理論を探究して現在に投影する、堂々の増補完結版。
目次
表紙
目次
増補完結版 はしがき
はしがき
序論
第Ⅰ部 ボワソナード民法総論
第一章 自然法学者ボワソナード
一 ボワソナードと「自然法」
二 ボワソナードの「自然法講義(性法講義)」
三 ボワソナードと「自然法」の効用
四 ボワソナードの自然法とキリスト教の関係
五 ボワソナードにおける法概念の根幹
六 ボワソナードの自然法論の評価
七 小括
第二章 ボワソナード「自然法講義(性法講義)」の再検討
序
一 「自然法講義」の周辺
二 民法学入門としての「自然法講義」
三 ボワソナードの自然法論の限界と可能性――民法解釈学との関係において
結語
第Ⅱ部 ボワソナードと日本民法典
第三章 フランス的法典の伝統と日本民法典
一 はじめに――考察を始める前提として
二 外見の相違と内容の類似性
三 フランス民法典の基礎的影響
四 日本民法におけるフランス民法型の規定
五 日仏民法典の最大の共通点
六 日仏民法典の最大の乖離点
七 結び――日本民法学における「フランス的法典の伝統」の断絶と復活
第四章 民法典の歴史
一 はじめに
二 民法典編纂前史
三 旧民法典の編纂
四 現行民法典の編纂
付・民法典の歴史に関する参考文献
第五章 日本民法典とは何か――ボワソナード民法典から現行民法典へ
まえがき
一 はじめに
二 ボワソナード旧民法の位置づけと評価
三 ボワソナード旧民法の評価と民法典論争
四 旧民法の立法過程における変容
五 ボワソナード旧民法から現行民法成立までのプロセスとその評価
六 現行法解釈のためのボワソナード旧民法の重要性――解釈学者による「残された遺産」の探究
七 小括
第Ⅲ部 ボワソナードの業績各論
第六章 民法四七八条論序説
一 序
二 フランス民法における債権『占有』
三 ボワソナード旧民法における債権占有
四 結語
第七章 ボワソナードにおける「第三者」の概念――不動産物権変動と指名債権譲渡とを中心に
はじめに
一 問題の所在
二 ボワソナードの「第三者」概念
三 フランス民法からみたボワソナードの「第三者」概念
四 小括と若干の提言
結語
第八章 民法四六七条におけるボワソナードの復権
序 ボワソナード旧民法研究の意義
一 旧民法財産編三四七条から民法四六七条への接続
二 民法四六七条へのボワソナード草案の復活
三 ボワソナードProjet, Art. 367
付・旧民法理由書解題
第九章 ボワソナード民法理論の特徴とその学説史的意義および影響
Ⅰ はじめに
Ⅱ 総論
Ⅲ 各論
Ⅳ おわりに
第Ⅳ部 関連研究・書評
第一〇章 司法省御雇外国人ジュール・ジュスラン
第一一章 書評(一) 西堀昭著『増訂版・日仏文化交流史の研究――日本の近代化とフランス』
第一二章 書評(二) 手塚豊著作集第七巻『明治民法史の研究(上)』
結章
補章
補章1 旧民法典とボワソナード
一 はじめに――ボワソナードと旧民法典の関係
二 ボワソナードの人物像
三 旧民法典の現代的意義
四 民法典論争についての私見
五 おわりに――法史学者の使命とは何か――星野通博士へのオマージュに代えて
補章2 旧民法典とボワソナード――家族法起草「不関与」についての再考
一 はじめに
二 ヴァルタザール・ボギシッチの助言
三 ボワソナード来日前の明治政府の民法人事編編纂作業
四 ボワソナードの最初期の起草態度
五 明治一九(一八八六)年副申書について
六 旧民法典人事編の内容――第一草案と完成までの修正
七 ボワソナードと日本古来の慣習
八 ジャマン教授の評価とボワソナードの悲劇の本質
九 結びに
補章3 二〇二〇年施行民法(債権関係)改正とボワソナード旧民法――ボワソナード民法理論の終焉?と現代民法典の方向性
一 はじめに
二 異議をとどめない承諾の廃止
三 民法四七八条の「債権準占有者に対する弁済」の場合
四 他人物売買の担保責任の場合
五 結語――平成二九年民法改正の「選択」とボワソナード民法理論
補章4 相続法改正による配偶者居住権の新設とボワソナードの復権――用益権、住居権、そしてビアジェ
一 はじめに
二 日本民法典に新設された配偶者居住権の概要とその目的
三 配偶者居住権の沿革
四 ボワソナード旧民法と明治民法における編別の「入れ子状態」
五 旧民法典における用益権と住居権
六 現在のカンボジア民法典による採用
七 ビアジェ(終身年金権契約)と用益権・居住権
八 日本民法の配偶者居住権再考
九 小括
一〇 エピローグ
あとがきに代えて ――『ボワソナードとその民法』執筆余話
初出一覧
事項索引
人名索引
条文索引
奥付