BUSINESS LAWYERS LIBRARY

障害法の基礎理論

発売日
2020年12月10日
出版社
法律文化社
編著等
河野正輝

障害者権利条約の批准にともない、社会福祉法から新たな法理念を抱合した障害法への転換を迎えている。障害法の生成過程にある現在、法が対応すべき基本問題を解明するために、障害法の構成する範囲・部門・法原理など基礎理論を考察する。

目次

表紙

はしがき

目次

第I部 障害法の生成―社会福祉法から障害法へ

第1章 地域生活支援の基本理念と法理

1 はじめに―課題と論点

2 「地域社会で自立して生活する権利」概念の意義

3 「地域社会で自立して生活する権利」の複合的な構造

4 自由権と社会権の一体的保障―国際人権法理論からの問題提起

5 地域生活支援としての権利擁護―支援を受けて意思決定する権利

6 「地域生活支援サービス」の受給資格基準と支給決定

7 わが国の「障がい者制度改革」―総合福祉部会による骨格提言と課題

8 社会福祉法から「障害法」へ

第2章 障害者の自己決定権と給付決定の公正性―イギリスにおける自己管理型支援の試み

1 はじめに

2 イギリスの障害者支援法制のアウトライン

3 パーソナライゼーションまたは自己管理型支援の新たな展開

4 自己決定権と給付決定の公正性の両立をいかに図るか

5 日本法への示唆

第3章 社会法としての社会保障法・再考

1 はじめに

2 社会法の一領域としての専門分化

3 筆者の社会福祉法研究の歩み

4 古典的な社会法論に対する再検討の動き

5 社会法としての社会保障法の課題

6「新たな社会法」としての障害法

第Ⅱ部 障害法の法的人間像と法理念―従属的人間像とインクルーシヴ平等

第4章 障害法の法的人間像と法体系―その法的構造と障害者総合支援法の課題

1 はじめに

2 社会法の法思想と概念

3 障害法の概念

4 市民法および既存の社会法と障害法との関係

5 障害者総合支援法の課題

第5章 障害の従属性―アメリカ(ADA)における「従属的集団としての障害者」像とわが国の障害者像

1 本章の目的

2 S. バゲンストスの従属説

3 従属説に対置される2つのアプローチ―アメリカ障害法における争点

4 わが国の「法が応答すべき基本問題」と障害者像

第6章 障害の社会モデル、人権モデルと従属的人間像―T. デゲナーの人権モデル論を手がかりに

1 はじめに

2 障害の人権モデルとは何か

3 社会モデルと人権モデルの相違点

4 社会モデル、人権モデルおよび従属的人間像の関係性―T. デゲナーの人権モデル論を手がかりに

第7章 障害者権利条約における平等概念の発展―インクルーシヴ平等と日本法の課題

1 はじめに

2 障害者権利条約の特徴―ハイブリット条約と差別概念の拡大

3 変革的平等概念の提起

4 一般意見第6号におけるインクルーシヴ(包容的)平等の概念

5 インクルーシヴ平等概念のわが国障害法学への示唆

第Ⅲ部 障害法の基本課題―障害者総合支援法と障害年金法の発展

第8章 障害者総合支援法における障害者の範囲と権利主体性―障害法の視点から見た総合支援法の課題(一)

1 はじめに

2 国際生活機能分類(ICF)における障害の定義

3 障害者基本法等の法改正における障害と障害者の定義

4 障害者総合支援法における定義の問題点

第9章 介護保障訴訟と支給決定過程への参画・協議の権能―障害法の視点から見た総合支援法の課題(二)

1 はじめに―本章の目的

2 障害法の視点から見た2つの高裁判決

3 支給決定過程への参画・協議の展開―「介護保障ネット」による行政交渉から

4 支給申請から支給要否決定までの参画・協議の権能

5 結びに代えて

第10章 介護保険給付と自立支援給付の適用関係―障害法の視点から見た総合支援法の課題(三)

1 問題の所在と考察の対象

2 厚生労働省の適用関係通知における併給調整の法理

3 司法判断に示された併給調整法理の検討―浅田訴訟広島高裁判決を中心に

4 法改正における対応―利用者負担の軽減と共生型サービスの導入の評価

5 給付調整の法理の根本的検討―障害法の視点から

6 結びに代えて―介護保険と障害者総合支援の制度的統合問題について

第11章 障害認定基準の問題点とインクルーシヴな障害者所得保障の将来像―障害法の視点から見た障害年金法の課題

1 はじめに―本章の目的と構成

2 インクルーシヴな障害者所得保障法の骨格

3 現行の障害年金法における障害要件

4 障害年金法における社会参加阻害の要因と課題

5 障害年金と就労・社会参加支援の連携のあり方

6 「障害に起因する特別の費用」の保障のあり方―特別障害者手当と障害者総合支援の連携の将来像

終章 差別禁止と社会福祉の伝統的な関係を越えて―基礎理論の残された課題

1 はじめに

2 社会福祉モデルと市民権モデルにおける理論的な緊張・相克

(1) 社会福祉モデル

(2) 市民権モデル

(3) 2つのモデル間の緊張・相克

3 現行法(過渡期)における緊張と調整の事例

(1) ADAにおける事例

(2) わが国の障害者差別解消法と障害者総合支援法の関係

4 障害者権利条約に沿った緊張・相克の克服

(1) 市民権モデルにおける差別・平等の概念の拡大(インクルーシヴ平等)

(2) 社会福祉モデルにおける障害者自身の自律とコントロールの拡大─自己管理型支援への転換

(3) 小括

5 差別禁止モデルと社会福祉モデルにおける人間像と法原理

6 障害法の基礎理論の構築へ向けて残された課題

初出一覧

著者紹介

底本奥付

電子版奥付

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