- 発売日
- 2024年12月05日
- 出版社
- 立花書房
- 編著等
- 警察実務研究会
他にはない「警察実務に役立つ」視点から作られた最新の重要判例集!業界一分かりやすい!事案の内容が一目で分かるイラストつき!
目次
表紙
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第1編 一般刑事法
【刑法・特別刑法】
① 建造物侵入罪の既遂時期について、建造物内に身体の大部分を入れた場合には「侵入」したといえ、その時点で同罪が既遂となると解するのが相当であり、当該行為が「侵入」に当たるか否かについては、具体的事案に応じて社会通念に従って判断すべきであるとした事例
② 公立病院の医師が、一般社団法人の代表理事から20万円の金員を受領した行為が、具体的事実関係の下で当該医師の「職務に関し、賄賂を収受」したと認められた事例
③ 準強制性交等罪(令和5年法律第66号による改正前の刑法178条2項)の「人の心神喪失……に乗じ」とは、「相手方の心神喪失の状況を利用した」との意味であり、被告人が相手方から誘われた場合であっても、心神喪失の状況を利用したといえるのであれば、同罪は成立すると判断した事例
④ 殺意をもって被害者の左背部をペティナイフで2回刺したが、自己の意思で119番通報をして救急車で被害者を病院に搬送させたことにより、中止犯の成立が認められた事例
⑤ 被告人がパソコンを使用してツイッター上に私事性的画像記録を投稿して公然と陳列した事案について、①「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」に該当すると判断して私事性的画像記録公表罪の成立を認めた上、②被告人が投稿に使用した可能性のあるパソコンを「犯罪行為の用に供しようとした物」として没収決定した事例
⑥ 死後間もないえい児の死体を段ボール箱に入れて自室の棚に置くなどした行為が刑法190条の死体遺棄罪にいう「遺棄」に当たらないとされた事例
⑦ 道交法72条1項後段の報告義務が消滅し得る例外的な場合に当たらないとして同義務違反を認めた事例
⑧ かばんの外ポケット内に十徳ナイフを隠匿携帯した事案につき、①何かのときに持っていたら便利だからといった程度の漠然とした目的では、「正当な理由」があるとはいえない、②自己の意思により十徳ナイフを隠された状態にして携帯していた以上、「隠して」携帯したことに当たるとして、軽犯罪法違反(同法1条2号)の成立を認めた事例
⑨ 監護者と共謀して、わいせつ行為をした非監護者について、刑法65条1項により監護者わいせつ罪の共同正犯が成立するとした事例
⑩ 建物の構造部分である床板が炎を上げずに燃焼を継続し、いずれは炎を上げて更なる燃焼に至る程度に達していたと認められることをもって現住建造物等放火罪の「焼損」に当たることを認めた事例
【刑事訴訟法】
① 捜索・差押えの現場において、被告人のスマートフォンが既に差し押さえられていた状況下で、警察官が、被告人に対し、弁護人を含め誰とも同スマートフォンで通話することはできない旨説明するなどしたことが、弁護人に依頼して適切な助言等を受ける権利の侵害に当たらないとされた事例
② 自首の要件である「捜査機関に発覚する前」の解釈について、捜査機関全体における犯人特定のための捜査活動の進捗状況に基づいて判断すべきであるとして、自首の成立を否定した事例
③ 逮捕された被疑者から当番弁護士の派遣要請を受けた警察官はできる限り速やかに弁護士会にその旨を通知する義務を負うところ、これを怠った過失があるとした事例
④ 警察官が無令状で被告人の承諾なくホテル客室に立ち入った行為には重大な違法があるとした上で、その後の強制採尿令状請求にも、疎明資料に虚偽を記載した可能性がある点で、重大な違法があるとして、強制採尿によって得られた被告人の尿の鑑定書の証拠能力を否定した事例
⑤ 侵入盗2件の事案において、犯人を撮影した防犯カメラ映像につき、静止画のみを採用し、動画の証拠請求を却下したほか、被告人をよく知る刑務官らの証人尋問等を却下して、全部無罪とした原判決を破棄して、当審で実施した事実取調べの結果を踏まえ、各事件とも有罪とした事例
⑥ 覚醒剤取締法違反等を被疑事実とする捜索の際に、立会人が一時的に捜索等の様子のすべてを視認することが不可能ないし困難な状況があったとしても、立会人が捜索等の過程を概観し得る状況、あるいは全体的な把握が可能な状況が確保されていたとして、刑訴法222条1項が準用する同法114条2項に違反しないと判断した事例
⑦ 被告人が個人経営者として宅地建物取引業法違反した旨の旧訴因と、被告人が法人の代表者として同法違反を行った旨の新訴因との間に公訴事実の同一性が認められるとして、訴因変更手続の適法性を肯定した事例
⑧ 覚醒剤使用の疑いがある被疑者に対する強制採尿令状発付までのいわゆる留め置きの適否が争われた事例
第2編 組織犯罪対策・生活安全
【組織犯罪関係】
① 下請の利益を賄賂とする収賄等事件において、下請報酬に係る預金債権について、組織的犯罪処罰法違反(帰属仮装罪)により生じた犯罪収益等とした上で、同預金債権相当額の任意的追徴を認めた事例
② SNSを利用し、「闇バイト」と称して特殊詐欺の受け子・出し子等を募集した行為が「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」での「職業紹介」に該当するとした事例
③ 暴力団組員に係る被告等事件の弁護人等である弁護士が、勾留中である同組員と共謀の上、同組員の元妻に対し、捜査機関の取調べに応じないよう要請するなどした行為につき、証人威迫罪が成立するとされた事例
④ 特定抗争指定暴力団の組員が警戒区域内に事務所を設置した事案について、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律を適用した事例
【薬物関係】
① コカイン施用事案において、被告人の尿の鑑定が一部適切な方法で行われなかったこと並びに鑑定書における鑑定の経過及び結果の記載が一部欠落し、また正確性を欠いていたことを理由に、同鑑定書は、刑訴法326条1項の相当性の要件を欠き、証拠能力を有していない合理的な疑いがあると判断された事例
② 覚醒剤自己使用事案において、採取した被告人の尿を入れた容器に貼付した立会人票の発送番号を警察官が書き換えた行為について、当該尿の鑑定書等の証拠能力に影響を及ぼすような重大な違法行為とまでは評価されなかったものの、手続に疑義を生じさせかねない不適切な行為であったとの評価がされた事例
③ 覚醒剤密輸入事案において、被告人には、覚醒剤が隠匿された貨物を密輸組織が海外から発送した時点において、それが海外から輸入されるものであるとの認識があったとは認められないとして、覚醒剤営利目的輸入罪の成立を否定したものの、その後同貨物が搬入された日本国内の保税蔵置場における覚醒剤営利目的所持罪の成立を認めた事例
④ 密輸入された大麻の一部を購入する合意をしていた顧客を当該大麻の輸入の共謀共同正犯として起訴した事案につき、輸入の共謀の成立を否定した事例
【風俗関係】
① 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律5条1項等の規定について、憲法22条1項に違反しないとした原審の判断が是認された事例
② 海外に設置されたサーバー上のオンラインカジノサイトにおいて、賭客が日本円を賭博に使用するポイントに交換する決済システムを企画、開発し、賭客らに、当該システムを利用して各種賭博ゲームをさせた事案において、被告人に常習賭博罪の共同正犯が成立するとした事例
第3編 交通
【交通】
① 被告人の運転状況からアルコール影響運転困難危険運転とその故意を認めた事例
② 2条4号(妨害目的直前進入)の危険運転致傷罪の成立を否定し、2条5号(妨害目的著しく接近)の危険運転致傷罪の成立を認めた事例
③ 眠気を感じたことを否定した否認事件について、居眠り運転による過失であったことを推認して有罪とした事例
④ 長野県スキーバス崖下落下事故
⑤ 赤信号殊更無視共謀共同正犯肯定事例
⑥ 狭隘な道路を大型貨物自動車で運転中、車道に進出した同方向進行自転車への衝突の予見可能性を肯定して逆転有罪とした事例
⑦ 救護義務違反を否定し逆転無罪とした事例
⑧ 赤信号に従わないで直進する車はないと信頼したことに過失はないとして無罪とされた事例
⑨ 時速16kmの後退進行を重大な交通の危険を生じさせる速度と認めた事例
⑩ 被害者の死亡結果は被告人両名の過失による車両の衝突が持つ危険が実現したものであるとして因果関係を肯定した事例
第4編 公安・外事
【労働関係】
① 労働組合が事業者団体である協同組合に対して抗議活動を行った事案において、同労働組合の組合員の中に同協同組合又はその運営者に雇用されている者がいなかったとしても、同労働組合と同協同組合は労働関係上の当事者に当たるため、抗議活動の目的が正当なものであり、その手段が暴力を伴うなど不当な行為に及ぶものでない限り、労働組合が団結権を守ることを目的とした正当な行為として労働組合法1条2項の適用又は類推適用を受け、正当行為となることが否定できないとした事例
【公安関係】
① 公判審理から50年以上前に発生した大規模暴動の際に警察官を殺害するなどした事案について、捜査段階で作成された目撃者らの検察官調書に信用性を認め、有罪判決を言い渡した事例
【外事関係】
① 新型コロナウイルス感染症に係る水際対策措置のために来日できない者の検察官調書について、刑訴法321条1項2号前段により証拠能力を認めた原審の判断が是認された事例
第5編 憲法・行政法
【行政法】
① 酒気帯び運転を理由とする懲戒免職処分を受けて公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例
② 性同一性障害者の庁舎内女子トイレ使用にかかる国公法上の行政措置要求を認めない人事院判定が違法とされた事例
奥付