- 発売日
- 2015年06月30日
- 出版社
- 東京大学出版会
- 編著等
- 松下 満雄、米谷 三以
国境を超える経済活動が増加するグローバル社会に対応し、WTO協定、投資協定を中心として国際経済に関わる法を包括的に解説した概説書。国際法および国内法を包含する国際経済法を動態的に描き出し、その全体像を提示するとともに世界経済システムのガバナンス原理を明らかにする。
目次
表紙
はしがき
目次
細目次
凡例
第1章 国際経済法の歴史と政策
一 本章の対象事項
1 国際経済法の範囲
2 問題の所在
二 国際経済法の歴史的発展
1 ブレトン・ウッズ体制
2 その他の分野の国際的調和
3 国際経済法の構造変化
三 国際経済法の政策原理
1 貿易自由化の政策根拠
2 投資保護の政策根拠
3 国内政策措置とその政策根拠
4 国際経済法の構造変化に対する「国際競争論=共存モデル」と「比較優位論=協力モデル」のアプローチの違い
四 国際経済法の基盤たる一般国際法及び国際私法
1 主権平等原則
2 管轄権の配分
3 国際私法
五 国際経済法の静態的構造
1 概観
2 WTO協定
3 投資協定
4 その他の国際経済法
第2章 国際経済法のガバナンス構造
一 本章の対象事項
1 ガバナンス論の政策的意義
2 問題の所在
二 WTO協定のガバナンス
1 組織法
2 WTOの機関の権能
3 紛争解決手続
4 他の国際機関との関係
三 その他の国際経済法のガバナンス
1 経済連携協定
2 投資協定
3 その他の国際ルールにおける実施・紛争解決手続
4 実施・紛争解決手続間の調整
四 WTO協定の国内的実施
1 国際経済協定の国内的実施
2 WTO協定の国内的実施
3 WTO協定と国内法との効力関係
4 国際経済法と国内法との相互関係
五 国際経済条約相互の関係
1 WTO協定と他の国際条約との関係
2 投資協定と他の国際条約との関係
六 国際経済法における私人の地位・役割
1 国内法における私人の地位・役割
2 国際法における私人の地位・役割
3 企業等私人の関与の意義
4 経済活動の主体としての地位・役割
第3章 通常の関税
一 本章の対象事項
1 関税の政策根拠
2 関税の種類
3 問題の所在
二 各国の関税制度
1 日本の関税制度
2 米国の関税制度
3 欧州の関税制度
4 中国の関税制度
三 関税措置に関する国際ルールの発展
1 関税協力理事会
2 GATT/WTOにおける関税引き下げ交渉
3 譲許表の改正
四 関税措置に対するWTO 協定及び投資協定上の規律
1 概観
2 関税率の規律
3 関税評価に対する規律
4 原産地規則に対する規律
5 輸入課徴金に対する規律
6 国境税調整に対する規律
7 輸入独占に対する規律
8 関税割当に対する規律
9 輸出関税に対する規律
10 透明性
11 投資協定上の規律
第4章 セーフガードその他関税譲許の修正
一 本章の対象事項
1 セーフガード措置/関税譲許の修正の政策根拠
2 問題の所在
二 各国の緊急関税制度
1 日本の緊急関税制度
2 米国の緊急関税制度
3 EUの緊急関税制度
三 セーフガード措置等に関する国際ルールの発展
1 GATT19条
2 セーフガード協定
3 譲許表の修正
四 セーフガード措置等に対するWTO協定上の規律
1 GATT19条及びセーフガード協定
2 関税交渉と関税譲許の修正手続の関係再考
第5章 安全保障貿易管理・投資規制
一 本章の対象事項
1 安全保障貿易管理・投資規制の政策根拠
2 問題の所在
二 各国の安全保障貿易管理制度
1 日本
2 外国における輸出貿易管理
三 安全保障貿易管理・投資制限に関する国際ルールの発展
1 輸出貿易管理の国際的調整
2 国連による経済制裁その他
四 輸出貿易管理・投資制限に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 WTO協定
2 投資協定
第6章 税関手続・検疫手続
一 本章の対象事項
1 税関手続の政策根拠
2 検疫手続の政策根拠
3 問題の所在
二 各国の税関手続・検疫手続
1 日本
2 諸外国の税関手続
三 税関手続及び検疫手続等の水際措置に関する国際ルールの発展
1 税関手続
2 検疫手続
3 薬物取引の規制
4 銃器取引の規制
5 知的財産権侵害物品の水際規制
6 原産地表示
7 その他
四 税関手続及び検疫手続等の水際規制に対するWTO協定及び国際投資協定上の規律
1 税関手続の規律
2 検疫手続の規律
第7章 その他の貿易・投資制限
一 本章の対象事項
1 輸出入制限・投資制限の政策根拠
2 問題の所在
二 日本の輸出入制限・投資制限
1 基本構造
2 輸入貿易管理
3 輸出貿易管理
三 その他の輸出入制限に関する国際ルールの発展
1 概観
2 人権保護
3 環境保護
4 文化財
5 投資制限
6 通過の自由
7 民間の認証制度
四 輸出入制限・投資制限に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 輸入制限の規律
2 輸出制限の規律
3 投資制限の規律
4 PPM措置の規律
5 GATT10条及び8条
6 通過の自由
第8章 租税・課徴金・社会保険料
一 本章の対象事項
1 租税・課徴金・社会保険料の政策根拠
2 租税の分類
3 問題の所在
二 各国の租税制度
1 直接税と間接税
2 所得課税制度
3 租税条約
三 租税に関する国際ルールの発展
1 規律管轄権の調整
2 執行管轄権の調整
3 国際的租税回避行為への対応
4 グローバルタックスの動き
5 社会保障制度の国際的調整
6 WTO協定及び投資協定
四 租税・社会保障負担に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 概観
2 WTO協定
3 投資協定
4 財政規律
第9章 内国規制
一 本章の対象事項
1 内国規制の政策根拠
2 問題の所在
二 国内規制に関する国内法
1 国内規制
2 国内規制に対する実体的規制
3 国内規制に対する手続的規制
三 内国規制に関する国際ルールの発展
1 貿易自由化・投資保護
2 管轄権の調整
3 実体規制の調和
4 手続規制の調和
四 国内規制に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 WTO協定上の規律
2 投資協定による規律
第10章 基準・認証
一 本章の対象事項
1 基準・認証の政策根拠
2 問題の所在
二 各国の基準・認証制度
1 日本の基準・認証制度
2 米国・EC・中国の規格
三 基準・認証に関する国際ルールの発展
1 相互承認
2 国際標準化
3 国際標準の促進
四 基準・認証に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 概観
2 内国民待遇義務(GATT3条4項)
3 TBT協定
4 SPS協定
5 相互承認の規律
6 政府調達協定
7 投資協定
第11章 補助金・政府調達
一 本章の対象事項
1 補助金及びその規律の政策根拠
2 政府調達及びその規律の政策根拠
3 問題の所在
二 各国の補助金・政府調達規律
1 補助金規制
2 政府調達規制
三 補助金及び政府調達に関する国際ルールの発展
1 GATT/WTO
2 OECD
3 政府調達に対する規律
四 補助金に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 内国民待遇義務とその例外
2 補助金協定
3 投資協定
五 政府調達の規律
1 内国民待遇義務
2 最恵国待遇義務
3 政府調達例外の範囲
4 政府調達協定
第12章 アンチダンピング関税及び相殺関税
一 本章の対象事項
1 AD関税及び相殺関税の政策根拠
2 問題の所在
二 各国の不当廉売関税及び相殺関税
1 日本
2 外国の不当廉売関税及び相殺関税
三 AD関税及び相殺関税に関する国際ルールの発展
四 AD関税及び相殺関税に対するWTO協定上の規律
1 概観
2 ダンピングマージンの計算
3 損害・因果関係の認定
4 調査手続・証拠
5 AD関税措置の発動
6 AD関税措置の拡大・終了
7 第三国におけるAD関税
8 相殺関税との重複
五 相殺関税に対する規律
1 相殺関税の性質
2 補助金の存在
3 損害・因果関係
4 相殺関税措置の発動・見直し
5 第三国における相殺関税
六 自由貿易協定における規律のGATT整合性
第13章 国有企業その他公私の機能分担と境界問題
一 本章の対象事項
1 政府部門と民間部門との境界の流動化
2 国有企業の政策根拠
3 問題の所在
二 政府部門と民間部門との境界問題とその規律
1 政府と私企業
2 競争法の適用範囲
三 国有企業その他に関する国際ルールの発展
1 WTO協定
2 OECD
3 ICN
4 自由貿易協定における規律
5 外国の政府関連法人に対する競争法の適用
四 国家の経済活動に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 政府部門と民間部門との境界
2 国有化/民営化に対する規律
3 国営企業・国有企業への優遇措置に対する規律
4 政府の経済活動及び規制に対する競争政策の適用
5 国有企業等の輸出及び海外投資
第14章 国際的経済活動と競争政策
一 本章の対象事項
1 競争政策の政策根拠
2 問題の所在
二 各国の競争政策
1 域外適用
2 国際カルテルその他の規律
3 企業結合と競争法
4 政府措置に対する規律
三 競争政策・競争法に関する国際ルールの発展
1 国際的競争政策推進の沿革
2 ICN(International Competition Network)
四 競争政策・競争法に対するWTO協定及び投資協定等上の規律
1 競争政策の不存在
2 差別取扱いの問題
3 域外適用の規律
第15章 国際収支・金融監督・財政金融
一 本章の対象事項
1 財政金融分野の政策概観とその政策根拠
2 問題の所在
二 各国の通貨・金融監督・金融政策・財政政策
1 日本
2 各国の通貨制度・政策
三 為替・金融監督・財政金融に関する国際ルールの発展
1 対外決済制度と政策調整
2 金融監督制度
3 金融サービス自由化
4 資本自由化
5 財政活動に対する規律
6 開発援助
7 分野ごとの資金メカニズム
四 対外決済・金融監督制度に対するWTO協定及び投資協定等上の規律
1 対外決済制度・送金規制の規律
2 金融サービス・金融監督制度の規律
3 財政・金融政策に対する規律
4 国際金融・援助に対する規律
5 為替操作に対する対抗措置
第16章 農業その他の特定産業分野の経済・社会ルール
一 農業
1 農業における措置の政策根拠(農業の特殊性)
2 農業及び農産品に関する国際ルールの発展
3 農業分野の政策の規律
二 水産業
1 水産業の特殊性
2 水産業及び水産品に関する国際ルールの発展
3 水産業分野における政策の規律
三 林業
1 林業の特殊性
2 林業・林産物に関する国際ルールの発展
3 林業における政策の規律
四 繊維
1 繊維貿易の特殊性・国際的枠組み
2 繊維分野における政策の規律
五 造船/海運
1 船舶貿易/海運業の特殊性・国際ルールの発展
2 造船及び海運分野における政策の規律
六 航空機/航空運送
1 航空機貿易/航空運送の特殊性・国際ルールの発展
2 航空機製造分野における政策の規律
七 エネルギー
1 エネルギー分野の特殊性・国際ルールの発展
2 エネルギー分野における政策の規律
八 音響・映像サービス
1 音響・映像サービスにおける措置の政策根拠(音響・映像産業の特殊性)
2 問題設定
3 音響・映像製品・サービスに関する国際ルールの発展
4 音響・映像分野における政策の規律
九 医薬品・医療サービス
1 医薬品・医療サービスにおける措置の政策根拠(医療分野の特殊性)
2 国際ルールの発展
3 医薬品・医療サービスの供給等に対する規律
第17章 サービス貿易
一 本章の対象事項
1 サービス産業の特色とサービス規制の政策根拠
2 問題の所在
二 日本におけるサービス産業の規制
1 政府独占
2 外資規制
3 規模の経済性
4 資格制・免許制
5 ユニヴァーサル・サービス
6 線路敷設権(公用特権)
7 その他の規制
三 サービス貿易に関する国際ルールの発展
1 国際協力体制
2 サービス貿易の自由化
四 サービス規制に対するWTO 協定及び投資協定上の規律
1 GATS
2 特定サービス分野の規律
3 投資協定
第18章 知的財産権及び技術貿易
一 本章の対象事項
1 知的財産権制度その他技術政策の政策根拠
2 問題の所在
二 各国の知的財産権制度・科学技術政策
1 日本の知的財産権法
2 外国の知的財産権法
3 共通の国際的問題
4 科学技術政策
三 知的財産権・技術貿易に関する国際ルールの発展
1 パリ条約
2 特許協力条約(PCT)
3 その他著作権・著作隣接権に関する条約
4 標識に関する条約
5 UPOV条約
6 TRIPS協定
7 ACTA
8 自由貿易協定・投資協定など
9 公衆衛生その他の観点
10 科学技術協力
四 知的財産権・技術貿易に対するWTO協定及び投資協定上の規律
1 知的財産権制度の導入等に対する規律
2 知的財産権・技術貿易の規制に対する規律
第19章 自由貿易協定・途上国に対する特恵関税
一 本章の対象事項
1 特恵関税制度の政策根拠
2 問題の所在
二 各国の自由貿易協定等の特恵関税制度
1 日本の特恵関税制度
2 主要な自由貿易協定
3 欧米の一般特恵関税制度
三 自由貿易協定その他の特恵関税制度に関する国際ルールの発展
1 自由貿易協定に関するハーモニゼーション
2 途上国対象の特恵制度に関するハーモニゼーション
四 特恵関税に対するWTO協定上の規律
1 自由貿易協定例外
2 授権条項
3 手続的規律
事項索引
条文索引
奥付