- 発売日
- 2020年04月14日
- 出版社
- 岩波書店
- 編著等
- 大塚 直
2020年4月より施行される改正民法において、不法行為法は改正の対象とはされなかったものの、時効制度や中間利息の控除など、不法行為に関連する事項が多くの改正を受けた。これらの改正は、不法行為に関する従来の判例理論・学説そして実務にどのような影響を及ぼすのか。改正の審議過程にまでさかのぼって検証、解明する。
目次
表紙
目次
はしがき
第1章 中間利息の控除
1 改正前規定(404条、419条)および従来の判例・学説
2 法制審議会民法(債権関係)部会での議論の展開
3 要綱案原案、改正規定
4 改正規定の評価と解釈
第2章 連帯債務
Ⅰ 序
Ⅱ 改正前規定および従来の判例・学説について
1 連帯債務
2 不真正連帯債務
3 法制審議会民法(債権関係)部会の審議に先立つ改正提案
Ⅲ 法制審議会民法(債権関係)部会における審議経過
1 第1ステージ:「民法(債権関係)の改正に関する 中間的な論点整理」までの議論
2 第2ステージ:「民法(債権関係)の改正に関する 中間試案」までの議論
3 第3ステージ:「民法(債権関係)の改正に関する 要綱」までの議論
Ⅳ 検討
1 【改正民法】の特徴
2 【改正民法】の評価
第3章 不法行為等による損害賠償請求権の消滅時効
Ⅰ 序
Ⅱ 改正前規定に関する従来の判例・学説と改正提案
1 短期消滅時効(改正前724条前段)に関する議論の概略
2 除斥期間(改正前724条後段)に関する議論の概略
3 法制審議会民法(債権関係)部会の審議に先立つ改正提案
Ⅲ 法制審議会民法(債権関係)部会での審議経過の整理
1 第1ステージ(【中間論点整理】の提示まで)
2 第2ステージ(【中間試案】の決定まで)
3 第3ステージ(【改正要綱】の決定まで)
Ⅳ 検討
1 起算点に関する規律の統一
2 時効期間の長さに関する差異
3 生命・身体侵害の場合の特則化
4 20年間を消滅時効期間と明確化したことの影響
第4章 不法行為債権等を受働債権とする相殺の禁止
Ⅰ 序
Ⅱ 改正前規定に関する従来の判例および学説と改正提案
1 立法趣旨
2 適用範囲に関する諸問題
3 法制審議会民法(債権関係)部会の審議に先立つ改正提案
Ⅲ 法制審議会民法(債権関係)部会での審議経過の整理
1 第1ステージ(【中間論点整理】の提示まで)
2 第2ステージ(【中間試案】の決定まで)
3 第3ステージ(【改正要綱】の決定まで)
Ⅳ 検討
1 相殺禁止の範囲について
2 改正条文の妥当性について
第5章 損害賠償の範囲
Ⅰ 序
Ⅱ 従来の判例・学説
1 改正前条文・起草者の見解
2 判例
3 学説
4 法制審議会・民法(債権関係)部会に先立つ改正提案
Ⅲ 法制審議会における議論の展開41)
1 第1ステージ(【中間論点整理】)までの議論
2 第2ステージ(【中間試案】)までの議論
3 第3ステージ(【改正要綱】)までの議論
4 改正要綱における提案
Ⅳ 検討
1 改正416条の理解
2 「予見すべきであった」という文言への変更による影響
3 最高裁判決と改正416条2項
4 過失における予見義務との関係
5 まとめ
第6章 原始的不能――改正が不法行為法に及ぼす影響
Ⅰ 序
Ⅱ 原始的不能と契約締結上の過失
1 学説における契約成立・無効型の展開
2 伝統的学説と裁判例のずれ
3 小括
Ⅲ 法制審議会以前の立法提案
1 「民法改正を考える」会
2 債権法改正の基本方針
3 国民・法曹・学界有志案
4 立法提案小括
Ⅳ 法制審議会における議論の展開
1 契約締結上の過失に関連する諸項目とそれらの概況
2 原始的不能の推移
Ⅴ 検討
1 原始的不能の原則の修正が契約締結上の過失に及ぼす影響
2 その他の契約成立・無効型の契約締結上の過失に及ぼす影響
3 結び
奥付