- 発売日
- 2017年07月15日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 水島朝穂
日本国憲法の平和主義、グローバル化した安保体制、自衛隊・軍事問題を総合的に探究し、これからの憲法的平和政策のあり方を示す。
目次
表紙
序章
目次
第Ⅰ部 ポスト冷戦期の「安全保障環境」の変化と憲法
第一章 安全保障と憲法・憲法学――腰をすえた議論のために
一 はじめに
二 いま、なぜ、安全保障か
三 憲法から安全保障を診る
四 日本国憲法の安全保障設計
第二章 自衛隊の平和憲法的解編構想
一 はじめに
二 「ポスト冷戦」と自衛隊の変容
三 自衛隊の平和憲法的解編に向けて
四 自衛隊解編のための指針(ガイドライン)
五 むすび
第三章 平和政策への視座転換――自衛隊の平和憲法的「解編」に向けて
一 はじめに
二 自衛隊をめぐる環境変化――新たな「軍拡」へ
三 自衛隊から軍隊への離陸
四 自衛隊の平和憲法的「解編」に向けて
五 むすびにかえて――まず発想の転換から
第四章 史上最大の災害派遣
一 被災地で見た自衛隊
二 史上最大の災害派遣
三 初動の人命救助と被災者救援
四 阪神・淡路大震災後の「変化」
五 原発事故と自衛隊
六 「トモダチ」という作戦
七 まともな「トモダチ」関係と言えるか
八 脱原発と脱軍事化へ
第五章 東日本大震災後のアジアと日本
一 東アジアをめぐる状況
二 憲法から外交権を考える
三 東日本大震災後のアジアと日本
四 新しい連帯への芽生え――社会学者U・ベックの主張から
第Ⅱ部 「人権のための戦争」と「戦争の民営化」
第六章 「平和と人権」考――J・ガルトゥングの平和理論と人道的介入
一 「平和と人権」の問題状況
二 J・ガルトゥングの議論
三 「人道的介入」について
四 「介入」と非暴力
第六章補論 「人道的介入」の問題性――「軍事介入主義」への回廊
一 「人道的介入」の論理と形態
二 「人道的介入」の実態――ソマリアと旧ユーゴの事例から
三 「人道的介入」の機能とその問題性
四 「人道的介入」と「軍事介入主義」
五 平和的紛争解決と「非暴力的介入」
第七章 人間と平和の法を考える
一 はじめに
二 「戦争と平和の法」から
三 二一世紀における戦争の変容と法
四 平和的生存権と「人間の安全保障」
五 むすび――「人間と平和の法」ヘ
第八章 国家の軍事機能の「民営化」と民間軍事会社
一 はじめに
二 軍事機能の民営化現象をどう診るか
三 民間軍事会社現象の背景と要因
四 民間軍事会社の実態
五 軍事機能の「民営化」への法的アプローチ
六 ドイツ基本法と軍事機能の「民営化」
七 むすび――日本国憲法の平和主義的秩序と民間軍事会社
第Ⅲ部 日本型軍事・緊急事態法制の展開と憲法
第九章 テロ対策特別措置法
一 「ショー・ザ・フラッグ」
二 米軍活動支援法の言い換え
三 活動範囲と支援対象・内容の拡大
四 武器使用の拡大
五 グローバル安保体制へ
第一〇章 ソマリア「海賊」問題と海賊対処法
一 はじめに
二 「海賊」の「言い分」と「一分」?
三 海洋覇権をめぐる相剋――海軍力活用の道
四 海上警備行動による駆け込み派遣
五 海賊対処新法の問題点――自衛隊海外派遣恒久法にスライド
第一一章 日本型軍事法制の変容
一 はじめに
二 「ひねくれた」軍事法制の展開
三 本格的な「国防」官庁への道程
四 自衛隊海外出動の本来任務化
五 自衛隊から「軍」への変容
六 軍事法制の最終指標──軍事裁判所
七 むすび――「普通」になるとは
第一二章 「7・1閣議決定」と安全保障関連法
一 はじめに――「政府の行為」による戦争
二 はじまりは「7・1閣議決定」――その評価をめぐって
三 「平和安全法制整備法」による自衛隊法改正
四 「重要影響事態法」と「国際平和支援法」
五 グレーゾーン事態対処
六 むすびにかえて
第一三章 安保関連法と憲法研究者――藤田宙靖氏の議論に寄せて
一 はじめに
二 「公理」?――「自衛隊は合憲」であるならば、「集団的自衛権」は認められない
三 「変更⑴」――論理の出発点のすり替え
四 「変更⑵」――立法事実はあるか?
五 「変更⑶」――「先に攻撃」は、「微妙」でなく明瞭に違憲
六 おわりに――「後始末」と憲法研究者の一分
第一四章 緊急事態条項
一 はじめに
二 憲法と緊急事態条項――どこの国の憲法にもあるから日本にも、なのか?
三 緊急事態条項の問題点――饒舌の向こうにある危うさ
四 むすびにかえて
第Ⅳ部 日米安保体制のグローバル展開
第一五章 安全保障体制
一 安全保障の方式
二 日本国憲法の想定する安全保障
三 日米安保条約と憲法
四 二一世紀の「安全保障環境」と憲法
第一六章 日米安保体制のtransformation と軍事法の変質
一 「新安保条約」半世紀を前に
二 日米安保体制のtransformation の背景
三 軍事法制の変質
四 むすびにかえて
第一七章 米軍transformation と自衛隊の形質転換
一 はじめに――「普通の軍隊」の前駆症状
二 「防衛同盟」から「介入同盟」へ――NATOとAMPO
三 海外権益保護型への転換
四 海外派遣型自衛隊の行方
五 むすびにかえて
第一八章 「日米同盟」と地域的集団安全保障
一 はじめに――北緯二七度線から見えるもの
二 国際連合と「日米同盟」
三 憲法と地域的集団安全保障
四 地域的集団安全保障モデルのOSCE
五 北東アジアの協調的安全保障への道
六 むすびにかえて
第Ⅴ部 ドイツ軍事・緊急事態法制の展開
第一九章 緊急事態法ドイツモデルの再検討
一 はじめに
二 一〇年かけた「憲法的妥協」
三 緊急権濫用を防ぐ憲法的安全装置
四 「有事法制」論議への視点
第二〇章 ドイツにおける軍人の「参加権」――「代表委員」制度を中心に
一 はじめに――転換期の連邦軍とその内部組織
二 「代表委員」制度の生成と展開
三 軍隊における「軍人参加」
四 むすびにかえて
第二〇章補論 「軍人デモ」と軍人法
一 「史上初の軍人デモ」
二 防衛予算削減の抵抗
三 国防相にブーイング――最後は拍手
四 連邦軍協会とは
五 軍人法一五条と「軍人デモ」
第二一章 軍隊とジェンダー――女性の戦闘職種制限を素材として
一 軍隊社会とジェンダー力学
二 ドイツ基本法と女性の戦闘職種禁止
三 欧州司法裁判所クライル判決
四 ドイツ基本法改正による「決着」
五 フェミニズムの勝利か、平和主義の敗北か
六 日本における女性自衛官の問題
七 むすびにかえて
第二二章 「新しい戦争」と国家――U・K・プロイスのポスト「9・11」言説を軸に
一 序――APO憲法理論の転換?
二 「国家なくして戦争なし、国家なくして平和もなし」
三 「悪」の概念と寛容の戦略
四 疑惑の戦争か、帝国創設戦争か
五 プロイスの議論の検討
六 むすびにかえて
第二三章 戦争の違法性と軍人の良心の自由
一 現代安全国家の役割
二 軍人・個人の権利――ドイツ連邦行政裁判所判決(二〇〇五年六月二一日)
三 平和国家の理念と現実
四 むすびにかえて
第二四章 日独における「普通の国」への道――一九九四年七月と二〇一四年七月
一 はじめに――二つの七月
二 「NATO域外(out of area)派兵」の展開
三 連邦憲法裁判所一九九四年七月一二日判決
四 「国防」の変容――「国土」防衛から「国益」防衛へ
五 むすび――日独の「普通の国」化
あとがき
事項索引
奥付