BUSINESS LAWYERS LIBRARY

社会の多様化と私法の展開

発売日
2024年02月20日
出版社
法律文化社
編著等
滝沢昌彦、中村肇、中川敏宏、田中謙一、山本弘明

民法が対峙する現代社会の多様な課題に、私法学はどのように取り組み、未来への道筋を示すべきか。社会のグローバル化と法/取引の多様化と法/現代社会と法/法の歴史的展開の4部構成29論考を収録。

目次

表紙

献呈の辞

目次

I 社会のグローバル化と法

R. レオンハルトの意思表示理論について(滝沢昌彦)

1 はじめに

2 従来の研究におけるR. レオンハルトの意思表示理論

3 レオンハルト説の検討

法と心理学―契約法学への応用(笠井 修)

1 契約法と心理学

2 契約法学の論点に関わる心理学の知見

3 損害賠償額の予定条項の効力――法と心理学の1つの応用例

4 人間の「意思」なるものの危うさと契約の拘束力の根拠としての限界

損害賠償種類論における損害現象論的区分説の骨子(髙田 淳)

1 問題提起・本稿の構成

2ドイツ損害賠償種類論の概要

3 損害現象論的区分説の基本方針

4 損害現象論的区分説の具体的主張内容

5 検討

6 私見(損害内容基準説)

ドイツの倒産外取消法11条(返還請求権)に関する考察―財産引受との比較と執行忍容訴訟の特質(江島広人)

1 はじめに

2 財産引受

3 執行忍容訴訟の特質

4 法律構成の比較

5 おわりに

ドイツ民法における給付調整条項の機能と規制について(中村 肇)

1 はじめに

2 給付調整条項の機能と規制

3 給付の類型と期待可能性の判断基準

4 むすびに代えて

オーストリアにおける契約引受論とハインツ・クレイチ(Heinz Krejci)―その学問的貢献と新たな法定契約引受の創造(佐藤秀勝)

1 はじめに

2 ハインツ・クレイチについて

3 法律行為に基づく契約引受に関するクレイチの見解

4 企業譲渡における契約引受に関するクレイチの見解

5 むすび

ウィーン国際物品売買条約における売主の契約不適合追完権と買主の修補費用相当額の賠償請求(松井和彦)

1 はじめに

2 判例・学説の状況――主にドイツ語圏の国における

3 ドイツ民法における議論状況

4 売主の追完利益に対する配慮の違い

5 CISG諮問会議の意見書

6 むすびに代えて

イギリスにおける不当利得法と契約法のリステイトメントについて(木原浩之)

1 はじめに

2 不当利得法リステイトメント

3 契約法リステイトメント

4イギリス法リステイトメントの位置づけ

5 おわりに

ドイツにおける消費者個人による私法上の権利の実現―ディーゼル排ガス不正事件とUWG9条2項(寺川 永)

1 はじめに

2 裁判例の展開

3 消費者個人による損害賠償請求権(UWG9条2項)

4 結びにかえて

Ⅱ 取引の多様化と法

宅地建物取引業法に違反する名義貸しの合意と利益分配の合意の効力―複数の契約の相互依存関係(契約アプローチ・全体アプローチ)の視点から(小林和子)

1 問題提起

2 本判決の概要

3 名義貸しの合意や利益分配の合意の私法上の効力

4 公序良俗違反による複数契約の無効の例

5 考察

情報化社会における意思表示の到達(山本弘明)

1 序論

2 意思表示の到達に関するドイツの議論状況

3 BGH2022年10月6日判決

4 まとめに代えて

不動産賃借人による不動産賃貸人の敷地所有権に関する取得時効の援用について(山田創一)

1 はじめに

2 時効の援用権者である「当事者」の解釈による従来の議論

3 債権者代位権の転用によるアプローチ

4 民法145条の「当事者」論からのアプローチ

5 終わりに

事業者ファクタリングの「貸付け」該当性(石田 剛)

1 はじめに

2 最三小決令和5年2月20日刑集77巻2号213頁

3 事業者ファクタリング

4 検討

5 おわりに

取引的不法行為における「信頼」による過失相殺の制限(小笠原奈菜)

1 はじめに

2 ドイツ法における事案の類型化

3 助言義務違反・情報提供義務違反における共働過失

4 検討

アレルギー被害の賠償における「日常生活上の不利益」―「茶のしずく石鹸」製造物責任訴訟をめぐって(神田 桂)

1 はじめに

2 「茶のしずく石鹸」製造物責任訴訟における原告らの主張とその背景

3 「茶のしずく石鹸」製造物責任訴訟における裁判所の判断

4 若干の検討

Ⅲ 現代社会と法

司法判断における人工知能の使用―革新的テクノロジーが問いかけるもの(角田美穂子)

1 歴史を刻むコロンビア共和国の裁判官

2 衝撃的な判決文

3 何が問われているのか

4 テクノロジーが進化すれば解消する問題か

5 テクノロジーで解決したい問題は何か

再生可能エネルギーの供給システムと法―FIT,FIPそしてPPAへ(高橋寿一)

1 はじめに

2 再エネの供給

3 PPAについて

4 若干の検討と今後の展望

韓国大法院判決における少数意見の多様性―共有物を単独占有する共有者に対する明渡請求に関する事件を素材に(中川敏宏)

1 本稿の考察対象――韓国司法の特徴とそのダイナミズム

2 2020年全員合議体判決

3 少数意見の多様性がもたらす意義

共同漁業権・組合員行使権の法的性質をめぐる一考察―行政作用により設定される私法上の権利の法的構成・序(宮澤俊昭)

1 はじめに

2 共同漁業権・組合員行使権をめぐる立法・議論の経緯

3 考察

配偶者居住権についての考察(大沼友紀恵)

1 序

2 夫婦財産制と法定相続

3 配偶者居住権

4 考察

5 さいごに

韓国の自治警察制度(李 淳東)

1 はじめに

2 韓国警察の歴史

3 大韓民国警察の実状と課題

4 韓国の自治警察制度

5 おわりに

IV 法の歴史的展開

法律進化論と開発法学(松尾 弘)

1 はじめに――問題の所在

2 法律進化論の進化

3 祖先祭祀論と五人組制度論

4おわりに――制度変化の連続性と日本の法学

ノルウェー財団法の概要とその歴史的背景―国と慈善団体との関係という視点から(田中謙一)

1はじめに

2 国と慈善団体との関係に対する つの理解

3 ノルウェー財団法(Lov om stiftelser)の概要とその歴史的背景

4 小括

オーストリア法における暴利行為論の成立について―1877年暴利法からABGB第3次部分改正(1916年)まで(堀川信一)

1 はじめに

2 数額的規制の時代――1751年暴利禁止令から1811年ABGBの制定

3 数額的規制から「暴利行為論」への転換――1866(1868)年法から1914年法

4 ABGB第3次部分改正における暴利行為規定の導入

5 結語

20世紀初頭のドイツにおける状態債務説の通説化とライヒ裁判所による受容―学説の展開と判例形成の過程でエルトマンが果たした役割(大窪 誠)

1 はじめに

2 BGB旧571条の成立とショルマイヤーによる状態債務説の提唱

3 状態債務説をめぐる学説の展開

4 ライヒ裁判所の判例

5 状態債務説の通説化と判例形成の過程でエルトマンが果たした役割

6 おわりに

イギリス近代契約法におけるコモン・ロー上の雇用契約法について―特に農業労働の場合についての考察(向田正巳)

1 はじめに

2 囲い込みと農業における自由な雇用契約について

3 終わりに

モハトラ契約における正義と隣人愛―パスカル『プロヴァンシアル』第八書簡の学説史的背景(藤田貴宏)

1 はじめに

2 モハトラとは何か

3 隣人愛,正義,原状回復,内的法廷

4 イエズス会士のモハトラ論

5 パスカルの批判は妥当か?

相続開始前の遺留分の放棄(羽生香織)

1 将来の権利放棄

2 遺留分制度の2つの系統からみた遺留分の放棄

3 日本民法における遺留分の放棄

4 相続期待権の事前放棄

民法923条,921条および937条の解釈―出発点としての我妻説に関する覚書(川 淳一)

1 本稿の目的

2 本稿の構成

3 現時点における標準的理解

4 「解説」における我妻の記述

5 「コンメ」における我妻の記述

6 まとめ

小野秀誠先生 略歴・主要業績

執筆者紹介

奥付

BUSINESS LAWYERS LIBRARYに登録すると
3,000冊以上の本を読むことができます。

10日間無料
お試しいただけます。

法人利用のお問い合わせ

閉じる