- 発売日
- 2021年06月30日
- 出版社
- 信山社
- 編著等
- 井上典之
日本のスポーツを法・ガバナンスの観点から解説。経済活性化というスポーツ目的と、本来のスポーツの目的を、法的視点から捉え直す。
目次
表紙
はしがき
目次
序 スポーツと法
1 はじめに
スポーツと法
2 スポーツの持つ二つの法的側面
考える視点
スポーツ固有法
一般的な市民法
二つのルールの関係
3 スポーツのグローバル化
広がる国際的な仕組み
選手の海外移籍:例①プロ野球
選手の海外移籍:例②サッカー
世界へ羽ばたく選手
4 スポーツにおける経済性と公共性の融合
スポーツの商業化
運営 ・組織面でのグローバル化
スポーツの文化 ・公共性
5 本書および続編・姉妹編としての『スポーツを法的に考えるⅡ─ヨーロッパ・サッカーとEU法』の構成
本第Ⅰ巻と第Ⅱ巻の狙い
日本の法制度(第Ⅰ巻)
欧州の法制度(第Ⅱ巻)
第一章 近代国民国家の形成とスポーツ
1 明治維新による近代の主権・国民国家の形成?
幕藩体制下での日本とは?
版籍奉還と廃藩置県
大日本国帝国憲法の制定
近代の主権・国民国家としての大日本帝国
欧米的意味での近代立憲主義からの逸脱:家族国家観の流行
2 日本「国民」の体力・精神強化のためのスポーツ活動
大日本体育協会の設立
オリンピックへの参加
学校教育としての体育
本来的趣旨から外れ始めた日本のスポーツ
この歴史的名残から
第二章 国家を背景にするスポーツ
1 近代オリンピック確立の背景
私的活動であるはずのスポーツ?
一九三六年の第一一回オリンピック・ベルリン大会とナチス・ドイツ
なんのためのオリンピック?
オリンピックの商業化
ビジネスとしてのスポーツ競技大会
2 日本でのオリンピックなどの世界大会
三回目になる東京オリンピック
一回目になるはずだった第一二回大会
第一八回大会も政府主導
第一八回大会開催とその後
その後の日本での世界大会
二〇〇二年サッカー日韓ワールドカップ開催
第三章 スポーツ法制度の整備とその実体
1 大会招致の相次ぐ失敗
長野以降は空振り続き
公的機関のサポートだけでは不十分
スポーツ基本法の制定
2 スポーツ立国戦略
スポーツ基本法によるスポーツの位置づけ
スポーツの基本理念
スポーツ立国戦略の策定
人の重視
連携 ・協働の重視
五つの重点的戦略
3 スポーツ振興基本計画からスポーツ基本計画へ
スポーツ基本法に先立つスポーツ振興基本計画
国際競技大会開催のための施策
二〇一二年スポーツ基本計画の策定
二〇一三年の決定
東京オリンピック ・パラリンピックの大会ビジョン
第四章 スポーツを冠にする法律
1 四つしかないスポーツを冠にする法律
スポーツは法律名称に使われにくい?
スポーツ競技自体の自主性 ・自律性
2 スポーツ振興投票(いわゆるサッカーくじ)の登場
サッカーくじを定める法律が一番古い
国を胴元にするサッカーくじ
最高ランクに格付けされた事業実績
メダリストの増加
結局は刑法の特例法
3 スポーツ関連事業実施のためのセンター
日本スポーツ振興センターの設置
広範囲にわたる業務内容
第二次スポーツ基本計画の実施
スポーツ振興投票業務は区別して
外郭団体としての天下り先
4 スポーツ活動の公正かつ公平性の担保のために
ドーピング防止のために
オリンピック委員会主導でのアンチ ・ドーピング活動
素早く反応した日本
ユネスコによる国際規約
スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律
国の役割を規定するための法律
第五章 日本のスポーツ法制の基本的内容
1 スポーツ立国のためのスポーツ基本法
国策としてのスポーツ立国
スポーツ立国が国策とされる理由
「体育の日」から「スポーツの日」へ
競技にまで関与するスポーツ立国
国策とされるスポーツの国際競技大会の招致 ・開催
2 手段化された日本でのスポーツ
スポーツの価値の発揮
スポーツが変革 ・創造するもの
人を中心にする基本計画
ライフステージに応じたスポーツ環境
学校の教育活動としてのスポーツ
みんなのスポーツを目指して
3 スポーツを通じた成長戦略
スポーツ市場の拡大
非営利活動から営利活動も含めた内容へ
広範囲にわたるスポーツ関連事業者
4 スポーツ立国戦略の基本に据えるべき視点
自由な市民のイニシアティヴが必要
「援助すれども支配せず」が基本
第六章 スポーツ立国の中心になるプロ・スポーツ
1 スポーツ市場の減退とプロ・スポーツ
プロ野球の栄枯盛衰?
ライバルの出現が原因?
スポーツ市場の減退
2 プロ・スポーツの市場活性化?
スポーツ基本法に取り入れられたプロ・スポーツ
プロ・スポーツ市場の現状認識
プロ・スポーツへの関心の喚起
人の養成も必要
プロである以上、経営能力も必要
ビジネス化のためのさらなる施策
3 国とのかかわりを深めるスポーツ団体とその自律化
国の支援の必要性
支配されずに自律性の確保
スポーツ団体の基本原則
スポーツを魅力あるものに
第七章 日本のプロ・スポーツの代表例としての野球
1 日本におけるプロ野球の展開
プロ野球誕生の歴史
アマチュアと競合するプロ
戦争による中断と復活
第1次プロ野球再編問題
2 プロ野球界の憲法とされる日本プロフェッショナル野球協約
協約に基づいて設置される日本プロフェッショナル野球組織
協約の目的
プロ野球を網羅する協約
野球協約の性質
3 野球におけるプロ・アマの関係
複雑怪奇な日本の野球組織
プロ ・アマの衝突
プロ ・アマの確執からの雪解け
4 ビジネスとしてのプロ野球の独自性
かつての球団経営の特徴
フランチャイズ制による興行権の保護
一二球団の共同事業?
プロ野球ビジネスの課題とその克服
第八章 日本のプロ野球選手をめぐる問題
1 選手生命の短さ
引退選手の平均年齢の低さ
解雇は球団の判断
本人の意思での引退
2 立場の弱いプロ野球選手
プロ野球選手の労働市場
選手契約の特殊性
プロ選手となるには契約締結だけではない
不安定な選手の地位(トレードの問題)
選手契約の性質
外国人選手の特例
3 選手の団結権の行使としての日本プロ野球選手会
球団経営者と対等な立場の要求
労働組合日本プロ野球選手会の誕生
日本プロ野球選手会とは?
選手のセカンド ・キャリアは?
第九章 二番煎じにはならなかった日本のプロ・サッカー
1 日本のサッカーの歴史
英国人により持ち込まれた外来文化
意外にも近畿が先進地
意外と早い組織の設立
最初からグローバルなサッカー
アジアサッカー連盟(AFC)の創設
2 日本のサッカー界を一本化して統括するJFA
日本蹴球協会の低迷期
日本サッカーリーグ(JSL)の開催
財団法人日本サッカー協会への改組
日本におけるアマチュアサッカーの形骸化
3 日本プロ・サッカーリーグ(Jリーグ)の出発
当初は失敗を懸念されたサッカーのプロ化
JSLではなく上部団体(JFA)で
ドイツ ・ブンデス・リーガをモデルに
Jリーグの理念と特徴
Jリーグ一年目の出来事(ドーハの悲劇)
第一〇章 日本のプロ・サッカーの仕組みとプロ・サッカー選手
1 サッカー人気の高まり
Jクラブの増加
プロ野球のライバルとなったプロ・サッカー
日本代表チームに引きずられたサッカー人気
2 Jリーグクラブライセンス制度
観客動員延べ人数は大きく増加する
プロ・サッカークラブとなるためには
Jクラブのクオリティー確保のために
中立的機関による五分野 ・三基準の審査
3 JFAが統括するサッカー選手の登録と移籍
プロ ・アマの壁のない一括管理
プロ選手とアマチュア選手の区別
JFAが規律するプロ選手
選手獲得はクラブ間の自由競争
4 選手だけではなく「支える」人もJFAが統括
審判員もJFAが統括
指導者もJFAの管理下にある
第一一章 日本のスポーツにおける紛争解決手段
1 選手の地位向上・発言権確保のために
非常に弱い選手の立場
サッカー界にもある労働組合
まだまだ不安定なプロ選手の法的地位
2 スポーツ界の紛争の特殊性(団体内部での紛争処理)
自律的団体内部の紛争?
一体いくらの年棒 ・報酬が妥当か?
選手の障害補償
各団体が紛争処理手続を定める
3 スポーツでの紛争処理において重要となる裁判外紛争解決手続
スポーツ仲裁裁判所(CAS)とは
日本国内のスポーツ仲裁機関
仲裁以外の紛争解決手段
弁護士会にもある紛争解決手段
表面化するスポーツ紛争の少なさ
第一二章 日本のスポーツの現状認識─オリンピック、プロ野球、Jリーグやその他
1 混沌とする日本のスポーツ事情─第三二回オリンピック・東京大会はどうなる?
二〇二〇年のコロナ感染症
相次ぐ予期せぬ事態
スポーツ立国戦略の一環としての世界大会
もし開催になれば
2 スポーツのない日常になった二〇二〇年
「見るスポーツ」が無くなった二〇二〇年の春
コロナの中のラグビー競技
コロナ禍の中のプロ野球は?
高校野球 ・甲子園大会は春夏共に中止
コロナ禍のJリーグは?
3 スポーツ立国の参考になるヨーロッパ
スポーツの先進地域としてのヨーロッパ
地方再生を可能にするスポーツの仕組み
ダイバーシティ社会の礎となった「女性スポーツ改革」
教育ではなく任意活動としてのスポーツの実践
EUという地域的国家連合体の存在
奥付