- 発売日
- 2011年09月30日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 辻 雄一郎
情報流通の急速な拡大をふまえ、憲法学の表現の自由の原理・理念の今日的な意義を、米国の裁判例と理論に依拠して考察する。
目次
表紙
目次
はしがき
第一章 情報化社会における表現の自由を考える意味
はじめに
第一節 電脳世界における言論の自由を検討するための基本的姿勢
1 フランク・イースターブルックの「馬の法」――「情報化社会における言論の自由」という問題設定は成立するか?
2 イースターブルックについての検討と評価
第二節 「情報化社会における表現の自由」という問題設定は可能か?
1 トライブの講演を一つの素材として
2 ファーバーとサンスティンの議論
3 潜 在性の費用便益分析――ポズナーのインストゥルメンタル・アプローチ
4 インターネットについてのポズナーの検討
5 ポズナーについての検討と潜在性の評価――インターネットの四つの特性
6 日本憲法学とインターネット
第三節 プロバイダ責任制限法の論点
1 インターネットの特性と本法の概観
2 本法の憲法上の論点
第一章のまとめ
第二章 プロバイダ責任制限法についての憲法学的考察
はじめに
第一節 「出版者」対「配布者」
1 コンピュサーブ事件は、ISPを「配布者」と判断する
2 プロディジィ事件は、ISPを「出版者」と判断する
第二節 アメリカ版プロバイダ責任法
1 二三〇条プロバイダ責任法の登場
2 善きサマリア人の法理の運用「ゼラン対アメリカ・オンライン判決」
3 善きサマリア人の法理に対する裁判所の姿勢「ブリューメンタル対ドラッジ及びアメリカオンライン事件」
4 二三〇条についての評価
第三節 日本版プロバイダ責任制限法について
1 公然性を有する通信
2 国際的取り組み
3 電気通信事業者
4 日本版プロバイダ責任制限法の問題
第二章のまとめ
第三章 P2P の憲法学的考察
はじめに
第一節 米国著作権侵害の責任基準の概要
1 「公正な利用」(Fair use)
2 ソニー判決
第二節 メネル教授の意見――グロックスター事件とソニー判決の関係
1 裁判所の判例形成
2 著作権法と特許法の立法史の相違
3 ソニー判決の事実認定
4 ソニー判決――著作権法理と特許権法理の違い
5 著作権の聖域は存在しない
6 新P2P 規制と裁判所
7 なぜファイル共有システムに特許権法理を用いないか?――メネルの提唱する著作権侵害の基
第三節 サミュエルソン教授の意見
1 議会による解決
2 著作権法と特許権法の共通性――ソニー判決とP2P
3 マグナカルタとしてのソニー判決
4 特許権法における寄与責任誕生の経緯
5 主観性の要件・利害関係人の利益
6 司法府の立法府への敬譲
第四節 連邦最高裁判決の検討
1 ナップスター第九控訴巡回裁判所判決
2 エイムスター第七巡回裁判所判決
3 グロックスター第九巡回裁判所判決および最高裁判決
第五節 学説の評価――バークレーの意見の対立
1 メネルの意見:裁判所の判例形成――ハリウッドからみたファイル共有システム
2 サミュエルソン教授:議会による形成――シリコンバレーからみたファイル共有システム
第六節 バークレーの外の意見――第一修正の視点から
1 レイモンド・クー
2 ネタニエル教授のNUL
3 レシッグ教授のフリーコモンズ
4 ティモシー・ウー教授とEFF
第三章のまとめ
第四章 デジタル時代のメディアモデルと憲法学の考察
はじめに
第一節 デジタル放送と憲法理論
1 日本における通信と放送の融合
2 日米におけるケーブルテレビ放送を支える立法事実の共通点と相違点
第二節 レッドライオン判決の零落
1 マイアミヘラルド判決
2 レッドライオン判決
3 思想の自由市場の機能不全にどういったアプローチが考えられるか?――マディソニアンデモクラシーによるレッドライオン擁護の批判的検討
4 周波数の物理的・経済的希少性の批判的検討
5 情報の公共財的性質の批判的検討
第三節 ケーブル判決の成否――レッドライオン判決の復活?
1 ターナーⅠ・Ⅱにおける立法事実についての最高裁の態度
2 マディソニアンデモクラシーによるターナー判決の批判的検討
3 ピュルラリズムによるターナー判決の批判的検討
4 公共選択論によるターナー判決の批判的検討
5 デンバー判決
6 デンバーにおける編集権││トーマス対ケネディ論争
7 トーマスとケネディに対するスーターの応答
第四節 インターネットと第一修正の基本原則
1 リノⅠ――稀少性の存在しないインターネット
2 リノⅡ――連邦議会の逆襲
3 二〇〇五年デジタルテレビ法?――ターナー判決のその後
第四章のまとめ
第五章 情報プライバシーを考えるための米国連邦憲法修正九条の考察
はじめに
第一節 情報プライバシーに関する連邦最高裁判決の今日的意義
1 患者リストと情報プライバシーに関する判例
2 ウェーレンの今日的意義
第二節 米国連邦憲法史の若干の考察
1 権利のカタログと第九修正の沿革
2 独立宣言における自然権思想とコモンロー――マコネルの批判的検討
3 独立宣言と連邦規約と「幸福追求」の文言
4 権利カタログの歴史的背景
第三節 マディソンの演説と妥協――修正九条の制定過程
1 起草期の分析から修正九条をどのように理解するべきか?
2 権利のカタログ起草期における第九修正の議論のまとめ
3 奴隷解放宣言・一四修正の制定と自然権思想
4 一四修正の解釈――南北戦争後、見捨てられた修正一四条一項P&I条項
5 スラウターから一四修正の組み入れ理論へ
第四節 第九修正の解釈上の争い(一)
1 なぜ第一四修正と比較して第九修正か?――連邦政府との関係
2 スカリアのフォーマリストアプローチの批判的検討
3 第九修正は単なるガイドラインではない――スカリアの批判的検討
第五節 妊娠中絶に関する判例と第九修正の再考
1 「自由」の確定作業――半影理論
2 ロー再考――政治プロセスと第九修正
3 ローレンスにおけるケネディの基準
第六節 第九修正の解釈上の争い(二)――スカリアの批判的検討
1 「伝統」の解釈における歴代の最高裁裁判官の立場の整理
2 強固なオリジナリストであるスカリアの批判的検討
3 シェリーのスカリア、マコネルに対する批判的検討
4 ファーバーアプローチ――裁判官が新しい権利を認める際の考慮要素
第五章のまとめ:第九修正の基本的立場の整理―― 米国での議論から学べること
第六章 ネット上の不特定多数者に対する情報発信についてのブランデンバーグテストの批判的考察
はじめに
第一節 「明白かつ現在の危険」の起源
1 マッシィズのハンドの公式
2 シェンクの「明白かつ現在の危険」
3 第一次世界大戦期に下された有罪判決
第二節 第一次世界大戦期のホームズ意見はネット上の表現に適用できるか?
1 エイブラムズ判決
2 ホームズを中心とする第一次世界大戦期の判例理論はネット上の表現に現在でも適用可能か?
第三節 ブランダイス意見はネット上の表現に適用できるか?
1 ホイットニー判決におけるブランダイス意見
2 ホイットニーにおけるブランダイス意見に対する批判的考察
第四節 第二次世界大戦後のブランダイスとホームズの見解の利用可能性
1 ハンドの公式の復活
2 小括――これらの諸判決がインターネット上の言論に与える意味
第五節 ブランデンバーグテストとインターネット上の言論
1 ブランデンバーグの概要
2 ブランデンバーグテストの評価
第六節 ネット上の言論の先例となる物理世界の判決――脅迫の成否
1 「思想の自由市場」論の限界論に対する連邦最高裁の応答
2 フランクファーター反対意見に対する批判的考察
第七節 情報化社会における問題状況――ニュルンベルグファイル
1 ニュルンベルグ判決の概要
2 ニュルンベルグ判決の反対意見
3 ニュルンベルグ判決に対する批判的考察
第六章のまとめ
第七章 児童ポルノとわいせつ規制に関する若干の憲法学的考察
はじめに
第一節 児童ポルノ規制に関する一九六〇〜八〇年代の問題――児童ポルノの自己所持規制の合憲性に係る議論
第二節 コンピュータ擬似ポルノの問題
1 二〇〇二年判決と一九八二年判決の整合性
2 二〇〇二年判決に対する批判的評価
第三節 二〇〇八年ウィリアム判決に対する批判的考察
1 ウィリアム判決に対する批判的考察
2 二〇〇二年判決とウィリアム判決の整合性
第四節 二〇〇〇年前後で並行する問題――一九九七年の下品な表現事件
1 一九九七年判決に対する連邦最高裁の姿勢
2 二〇〇四年「子どもをオンラインから保護する法律」に関する判決について
3 二〇〇八年ウィリアム判決以降の下級裁判決の動向
第五節 アメリカのわいせつ概念
1 イギリス法の継受に対する批判的考察
2 ロス判決に対する考察
3 ミラー判決のわいせつ要件に対する批判的考察
4 ミラー判決に「例外」を付け加えたパリアダルトシアター判決の評価
5 ミラー判決に例外を加えることに反対する「チャタレー夫人の恋人」映画判決
6 内容中立規制としてのゾーニング規制の妥当性
第六節 アメリカ憲法上の議論の日本での適用可能性
1 アメリカ憲法学の何を参考にできるのか?
2 残された課題――女性蔑視の差別的表現との関係
3 日本の児童ポルノ法案
第七章のまとめ
第八章 選挙活動と表現の自由に関する考察――二〇一〇年シティズンユナイテッド判決を中心に
はじめに
第一節 シティズンユナイテッド判決
1 事案の概要
2 審級関係と法廷意見の概要
3 法廷意見Part Ⅳ(BCRA Section 201 とSection 311 の適用違憲について)
第二節 各裁判官の意見
1 ロバーツ同意意見とスカリア同意意見
2 スティーブンズ反対意見
第三節 政治活動に関する連邦法、シティズンユナイテッドの先例となる諸判決の概要
1 連邦法の歴史とFEC
2 ベロッティー
3 マコネル
4 オースティン
5 デービス
6 441(b)とNRWC
7 441(b)とMCFL
8 441(b)とWRTL
第四節 考 察
1 Section 441 について
2 企業と個人の属性についての起草者の理解
3 マコネル、オースティンからシティズンユナイテッドまで
4 学説の整理
第八章のまとめ
奥付