- 発売日
- 2017年09月05日
- 出版社
- 信山社
- 編著等
- 加納雄大
人類が生み出した核・原子力をいかに制御するかは人類自身の課題である。とりわけ外交の力が大きなウェートを占める。その「光」と「影」の原子力外交を、街の魅力と共に紹介する。混迷する国際社会と平和利用への道。IAEA発足60周年を迎え、いま、核・原子力を考える。
目次
表紙
はしがき
目次
序章 原子力外交の都,ウィーン
外交の都,ウィーン
IAEAの誕生
IAEAの概要と役割
原子力外交と日本
第1章 「核の番人」IAEA
イランの核問題とIAEA
イラン核合意の概要
イラン核問題のその後の動き
米トランプ政権の登場とイラン大統領選挙
「核の番人」としてのIAEAのあゆみ
「NPT・IAEA体制」の成立
冷戦後の保障措置:イラク,北朝鮮の教訓と追加議定書の策定
近年の保障措置の課題:効率化の取り組み
「核不拡散はNPTの要」,「IAEAは核不拡散の要」
第2章 原子力の平和的利用
「奪い得ない権利」としての原子力の平和的利用
原子力の平和的利用の様々なかたち
IAEAの役割:「平和のための原子力」から「平和と開発のための原子力」へ
新たな開発目標へのIAEAの貢献
原子力の平和的利用の代表例:保健分野での貢献
IAEA in Africa
原子力の平和的利用における課題と日本の貢献
第3章 原子力安全
原子力安全とIAEA
「スリーマイル」と「チェルノブイリ」:原子力事故関連2条約の策定
IAEA原子力安全基準,原子力安全条約,放射性廃棄物等安全条約
原子力損害賠償制度に関する諸条約
福島第一原発事故を受けた原子力安全強化のための取り組み
原子力安全条約の改正問題
「原子力損害の補完的な補償に関する条約」(CSC)の発効
総合規制評価サービス(IRRS)ミッション
IAEA理事国関係者の訪日招聘
原子力安全の強化は終わりなき課題
第4章 2つの福島第一原発事故報告書
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)
UNSCEAR福島報告書
IAEA福島報告書
IAEA事務局長報告の全体構成
1 はじめに
2 事故とその評価
3 緊急時への備えと対応
4 放射線の影響
5 事故後の復旧
6 IAEAの事故への対応
第5章 核セキュリティ
核セキュリティ:ポスト冷戦期における原子力外交の課題
核セキュリティにおける国際的な法的枠組み
核セキュリティ・サミット
IAEAの役割
核セキュリティと核軍縮
2016年IAEA核セキュリティ国際会議
第6章 ウィーンの四季,日本政府代表部の一年
秋:「原子力の祭典」IAEA総会
IAEA総会での日本の対外発信
冬:クリスマス市とコンサート,舞踏会シーズンの中での原子力外交
原爆被害常設展示コーナーの設置
年末年始の風物詩:オペレッタ「こうもり」とニューイヤー・コンサート
IAEA舞踏会と日本
春:新緑のなか,原子力外交は続く
G7議長国日本とIAEA
夏:一年の締めくくりと次のシーズンに向けて
第7章 オーストリア・ハンガリー原子力事情
オーストリアとハンガリー:美しく青きドナウでつながる二重帝国の末裔
オーストリア:原子力外交の都を擁する脱原発の国
ハンガリー:小さな原子力大国
第8章 環境外交と原子力外交
地球温暖化問題と原子力
米国新政権の登場
環境外交と原子力外交:幾つかの共通点
環境外交と原子力外交:共通する「強み」と「弱み」
「強み」:「ルールに基づく国際秩序」への人々の希求
「弱み」:「内的脆弱性」と「外的脆弱性」
既存の国際枠組みに内在する「内的脆弱性」
外部環境・要因に左右される「外的脆弱性」
米国の環境外交と原子力外交
1990年代の米国の環境外交と原子力外交
オバマ政権の環境外交と原子力外交
「米国と世界をつなぐ」「米国と向き合う」ことの重要性
第9章 原子力外交の「皇帝」,IAEA事務局長
皇帝(カイザー)の都,ウィーン
原子力外交の「皇帝」:IAEA事務局長
「選帝侯」:IAEA理事国
「武器なき継承戦争」:IAEA事務局長選挙
歴代の「皇帝」たち
〈1〉「草創期の議会人事務局長」:スターリング・コール(初代:1957-1961)
〈2〉「長期政権の科学者事務局長」:シグヴァード・エクルンド(第2代:1961-1981)
〈3〉「第三の男」:ハンス・ブリックス(第3代:1981-1997)
〈4〉「途上国初の事務局長」:モハメド・エルバラダイ(第4代:1997-2009)
〈5〉天野之弥(第5代:2009-現在)
おわりに
奥付