- 発売日
- 2023年02月01日
- 出版社
- 勁草書房
- 編著等
- 田村善之
知的財産法の世界では、近年のめざましい技術の進歩を背景として、パブリック・ドメインとの境界線上における紛争が多発している。本書では、従来あまり重視されてこなかったパブリック・ドメインを中心に据えて、創作の奨励や産業・文化の発展のため、いかにしてパブリック・ドメインを豊かにし、その利用を確保するのかという観点から、各種の知的財産法の構築を目指す。
目次
表紙
はしがき
目次
第1部 総論
第1章 特許制度における創作物アプローチとパブリック・ドメイン・アプローチの相剋 田村善之
Ⅰ 問題の所在:創作物アプローチvs. パブリック・ドメイン・アプローチ
Ⅱ 特許制度における課題
Ⅲ 権利の入口の場面における相剋
Ⅳ 権利の出口の場面における相剋
Ⅴ 結びに代えて:権利の出口と入口のインタラクティヴな関係
第2部 特許要件
第2章 特許適格性要件の機能と意義に関する一考察 田村善之
Ⅰ 関連規定
Ⅱ 自然法則の利用の要件の淵源
Ⅲ 事例研究
Ⅳ 解釈論の構築
Ⅴ 新規性・進歩性要件との関係
Ⅵ 結び
第3章 用途発明の意義――用途特許の効力と新規性の判断 前田 健
Ⅰ はじめに
Ⅱ 用途発明の意義
Ⅲ 用途発明の特許権の効力
Ⅳ 用途発明の新規性
Ⅴ おわりに
第4章 パブリック・ドメイン保護要件としての新規性/進歩性の再構成――内在的同一について特許を認めたロシュv. アムジェン事件を端緒として 吉田広志
Ⅰ 特許要件は何のために存在するか?
Ⅱ 内在的同一におけるPDと特許権の調整
Ⅲ 従来の裁判例
Ⅳ 検討
Ⅴ 終わりに代えて
第5章 AIと進歩性――若干の問題提起 中山一郎
Ⅰ はじめに
Ⅱ 従来の議論
Ⅲ 問題の所在
Ⅳ 米国の先行研究
Ⅴ 若干の検討
Ⅵ おわりに
第3部 侵害の成否
第6章 「 広すぎる」特許の規律とその法的構成――クレーム解釈・記載要件の役割分担と特殊法理の必要性 前田 健
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「広すぎる」特許はどのように処理されてきたか
Ⅲ 「広すぎる」特許はどのように処理すべきか
Ⅳ 保護の限界としての「明細書に開示された技術的思想」
Ⅴ おわりに
第7章 クレイム制度の補完としての均等論と第5要件の検討――第4要件との関係から考えるコンプリート・バーとフレキシブル・バーの相克 吉田広志
Ⅰ 方法論としてのクレイム制度とその功罪
Ⅱ マキサカルシトール最高裁判決
Ⅲ 補正・訂正と第5要件――コンプリート・バーかフレキシブル・バーか
Ⅳ 第5要件と第4要件との関係
Ⅴ コンプリート・バー/フレキシブル・バーに関する裁判例──その1・否定例
Ⅵ コンプリート・バー/フレキシブル・バーに関する裁判例――その2・肯定例
Ⅶ 試論・あるべきフレキシブル・バーの高さを巡って
Ⅷ 結びに代えて
第8章 特許法の先使用権に関する一考察――制度趣旨に鑑みた要件論の展開 田村善之
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 先使用権制度の趣旨
Ⅲ 発明の完成・事業の準備
Ⅳ 発明の同一性
Ⅴ 実施形式の変更の可否
Ⅵ 結びに代えて
第4部 救済
第9章 特許権侵害に対する差止請求権の制限に関する一考察 鈴木將文
Ⅰ 本稿の目的
Ⅱ 特許制度における差止請求権の意義
Ⅲ 我が国の動向と課題
Ⅳ 国際的動向
Ⅴ 検討
第10章 COVID-19パンデミックにおける公衆衛生と特許――TRIPS協定ウェイバー提案を踏まえて 中山一郎
Ⅰ はじめに
Ⅱ 公衆衛生と特許権の関係
Ⅲ COVID-19パンデミック下での医薬品アクセスと特許をめぐる動向
Ⅳ 今後の展望
Ⅴ おわりに
第11章 Kimble最高裁判決を通して見る米国における特許権のミスユースの展開――財産権・反トラスト・パブリックドメインという観点から 橘 雄介
Ⅰ はじめに
Ⅱ Kimble事件
Ⅲ 特許権とミスユースの関係史
Ⅳ 反トラスト法とミスユースの関係史
Ⅴ おわりに:Kimble判決の意義と特許権の外延論への示唆
索引
初出一覧
執筆者紹介
奥付