BUSINESS LAWYERS LIBRARY

労災補償の行政審査と司法審査

発売日
2020年05月25日
出版社
弘文堂
編著等
中嶋士元也

行政機関が行う労災認定の可否をめぐる業務起因性判定に関する「行政審査」(労基署の決定→労働保険審査官の審査→労働保険審査会の再審査)による決定・裁決実務の実相を探るとともに、不支給処分を受けた被災者がその取消しを求める行政訴訟の「司法審査」の判断基準を考察します。また、「職業病=労災民事訴訟」事案の司法判断の理論的・実務的動向もあわせ検討・考察し、公平かつ公正な法的処理の実務的課題と目指すべき方向を提言しています。

目次

表紙

目次

はじめに

Ⅰ 労働災害(業務災害)補償の現況―厚生労働省の諸統計

Ⅱ 労災の行政審査―医学事項と法学事項の視覚

1 制度上の請求手続

2 行政不服審査法に伴う審査制度の変容

3 不服申立前置主義の一部廃止による被災者の選択

4 審査手続における質問権の法定と審理促進の危機

5 審査委員・嘱託医さまざま

6 審査対象―医学事項と法学事項

7 争訟事項―事業主の審査請求人適格・取消訴訟原告適格をめぐる難問の発生

Ⅲ 行政審査の医学事項と裁判所―業務上外・残存障害・治ゆ・再発の認定

A 業務上認定(職業性疾病)

1 じん肺・石綿肺

(1) じん肺とは

(2) じん肺事案の類型

(3) 石綿による疾病(石綿関連疾病)

2 脳血管疾患・虚血性心疾患(いわゆる脳・心臓疾患)

(1) 行政審査

(2) その後の取消判決

3 精神障害

(1) 行政審査と裁判所の概況

(2) 行政審査

(3) 関連統計―補償状況・行訴の帰趨

(4) 行政訴訟

B 治ゆ・障害・再発認定の骨格

1 治ゆ認定

2 障害認定

障害認定

3 再発認定

4 脳脊髄液減少症の行政裁判例

Ⅳ 行政審査の法学事項と裁判所―受給資格・業務性・通勤災害・治療機会の喪失理論

A 非労働者の受給資格

1 「海外出張者=労働者」か「海外派遣者=特別加入手続必要者」か

2 シルバー人材センター会員の作業事故

3 特別加入者の要件充足(業務性)

B 業務性(業務上の事由)

業務性(業務上の事由)

(1) 労災補償の対象としての「業務」(鯉のぼり掲揚事件)

(2) 不平的暴行に由来する災害

(3) 「宴会」参加と業務性

C 通勤災害の近況

1 2017年からの通勤災害

2 原則的要件

(1) 通勤の要件

(2) 具体的事案

D 脳・心「治療機会喪失」の理論による救済―地公災の枠組み

脳・心「治療機会喪失」の理論による救済

(1) 治療機会喪失の理論の拡大傾向

(2) 「致死寸前にまでは自然増悪していない既往症」の場合の取扱い

E 「業務の質的な面を加味し」という新手法―国公災を契機として

Ⅴ 労災民訴をめぐるいくつかの実務的課題―職業性疾病を中心に

1 因果関係

(1) 因果関係の個数

(2) 因果関係の立証の程度

(3) じん肺の認定手法

(4) 作業関連疾病

(5) 択一的損害惹起の因果関係

2 帰責事由(措置義務違反)

(1) 措置義務違反の構造

(2) 過労死・過労自殺の民事責任(典型例)

(3) じん肺・石綿肺の民事賠償・国家賠償

3 損害算定

(1) 算定例

(2) 過失相殺・損益相殺(調整)の様相

4 措置義務履行請求権・労務停止権・労務給付義務免責

(1) 必然性はあるか

(2) ドイツの議論(BGB改正前後)

(3) わが国学説・判例の現状

5 産業医制度の私法的意味

(1) 産業医制度の拡充と職務

(2) 産業医の過失(懈怠)による使用者の賠償責任

(3) 産業医が面接過程での不適切言動を理由に問責された事例

6 職業性疾病の時効問題

(1) 経緯と今日の状況

(2) 債務不履行による賠償請求権の時効

(3) 改正民法上の消滅時効

(4) 民法改正に伴う労災保険受給権の時効規定の改正

記録集

No.1 横浜南労基署長〔東京海上横浜支店〕事件

No.2 脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準

No.3 松本労基署長〔セイコーエプソン〕事件

No.4 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書

No.5 岐阜労基署長〔アピコ関連会社〕事件

判例索引

奥付

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