- 発売日
- 2021年01月01日
- 出版社
- 勁草書房
- 編著等
- 菅原貴与志
現代企業が直面する法的問題が多様化・複雑化するなかで、企業の法務部にも幅広い対応力が求められる。経験豊富な企業法務のスペシャリストが、日常業務に欠かせない基礎知識のみならず、法務担当者としての心得まで余すところなく伝える渾身の入門書。考えながら読み進められる各種工夫のほか、パンデミック対応など最新のテーマも。
目次
表紙
はしがき
目次
第1講 企業法務とは
本講のポイント
解説
1 企業法務とは
(1) 企業活動と法律
(2) 多義的な企業法務の概念
2 企業法務の機能
(1) 紛争解決
(2) 予防法務
(3) 戦略法務
3 企業法務の担い手
(1) 企業内
(2) 企業内弁護士
(3) 企業外専門家との協働
4 企業活動をめぐる法律の俯瞰
(1) 民法・商行為法
(2) 会社法
(3) 民事手続法,倒産法
(4) 労働法
(5) 経済法・競争法
(6) その他の法分野
(7) 相次ぐ立法・法改正と企業法務への影響
第2講 法律知識の基礎
本講のポイント
解説
1 条文の読み方
(1) 法律用語の特殊性
(2) 定義規定の存在
(3) 要件と効果
(4) 虚偽表示の読み方
2 法の体系的理解
(1) 自分なりの体系的理解
(2) 株式会社の基本構造
3 判例の読み方
(1) 判例の意義
(2) 判例を読むときの姿勢
(3) 判例の射程
(4) 重要な財産の処分
第3講 契約と契約書
本講のポイント
解説
1 契約の成立
(1) 契約の成立要件
(2) 契約書を作成する理由
2 契約書の実務
(1) 契約書の形式
(2) LOIと秘密保持条項
(3) 契約書の名義
3 契約書作成時の注意事項
(1) 契約交渉と契約書作成
(2) 有利な特約条項の作成
4 国際取引契約
第4講 国際取引・英文契約
本講のポイント
解説
1 国際取引の基本──契約観の違い
(1) 国際取引と英文契約
(2) 疑義解決条項とEntire Agreement Clause
(3) 「信頼の証し」か「不信感の象徴」か
2 法律英語の特色
(1) shall,will,mayの用法
(2) 数字・日付・期間の表示
(3) 頻出用語の例
(4) 例示する場合
(5) 古語・ラテン語の多用
(6) 類義語の重複
3 主要条項と一般条項
第5講 予防法務演習
本講のポイント
解説
1 契約条項の読解
(1) 責任と保険
(2) 責任条項の読下し
(3) 責任制限条項の検討
2 契約審査の実務
(1) 責任の空白部分の補充
(2) 条項修正の例
(3) 保険条項について
3 ビジネス法務の担い手として
第6講 株式会社のガバナンス
本講のポイント
解説
1 取締役と取締役会
(1) 取締役・代表取締役
(2) 取締役会
2 任務懈怠責任と経営判断原則
(1) 取締役と会社の関係
(2) 任務懈怠責任の要件事実
(3) Caseの検討
(4) 経営判断の原則
(5) 経営判断原則に関する司法判断
3 監査役と監査役会
第7講 戦略法務演習
本講のポイント
解説
1 株式会社の機関構成
(1) 機関設計の類型
(2) 会社類型と選択肢
(3) Caseの要点
2 取締役会設置会社と取締役会を設置しない会社の検討
(1) 取締役会非設置と総会万能主義
(2) 中央集権型かシナジー追求型か
(3) 戦略法務の在り方
3 まとめ
第8講 株主総会の運営
本講のポイント
解説
1 株主総会事務局の役割
2 株主総会をめぐる会社法上の重要論点
(1) 株主総会の権限
(2) 株主提案権をめぐる諸問題
(3) 議決権代理行使をめぐる諸問題
3 事前準備
(1) 事前準備の俯瞰
(2) 株主総会事務日程
(3) 招集通知,事業報告,参考書類の作成実務
(4) 想定問答・シナリオの作成,リハーサルの実施
4 当日対応
(1) 来場株主の受付
(2) 議事運営をめぐる諸問題
(3) 取締役の説明義務
(4) 表決をめぐる諸問題
5 新型コロナ下の株主総会(補論)
(1) 2020年の状況
(2) バーチャル株主総会の活用
第9講 株式会社のファイナンス
本講のポイント
解説
1 資金調達
(1) 総説
(2) 直接金融と間接金融
(3) 株式と社債
(4) 授権株式制度
(5) 株式募集の手続
2 会社の計算
(1) 計算の意義
(2) 利益と報酬
(3) 剰余金の配当
(4) 計算書類と決算公告
3 粉飾決算
(1) 粉飾決算とは
(2) 粉飾の原因と手法
(3) 粉飾の予防策
第10講 情報法務
本講のポイント
解説
1 情報管理の基本
(1) 情報法務の特殊性
(2) 情報管理体制の構築・整備
(3) 情報管理の要点
2 個人情報の保護
(1) 個人情報保護法の目的
(2) 個人情報保護法の枠組み
(3) 実務的に重要な第三者提供の制限
(4) 改正法の概要
(5) 外国法制への注意
3 営業秘密の管理
(1) 不正競争防止法と営業秘密の管理
(2) 営業秘密の3要件
(3) 法的保護の概要
4 情報管理コンプライアンスの最新動向
(1) SNS不正書込みへの対応
(2) 情報管理コンプライアンスの最新動向
第11講 独禁法・競争法
本講のポイント
解説
1 独禁法の目的
(1) 独禁法の枠組み
(2) 自由経済と独禁法の趣旨
2 私的独占
3 不当な取引制限(カルテル)
(1) カルテルとは
(2) なぜ価格カルテルに注意を払うのか
(3) コンプライアンスの観点から
4 不公正な取引方法
(1) 不公正な取引方法とは
(2) 不公正な取引方法の類型
(3) 優越的地位の濫用
5 景品表示法
第12講 労働法務
本講のポイント
解説
1 労働関係法令の遵守
2 労働時間の管理
(1) 労働時間とは
(2) 労働時間の法規制
(3) 時間外労働・休日労働
(4) 安全配慮義務,労働時間の把握義務
3 休日・休暇
(1) 休日とは
(2) 休暇と休日の異同
(3) 有給休暇
4 懲戒
(1) 懲戒処分の目的
(2) 懲戒の種類
(3) 懲戒と就業規則
(4) 懲戒に際しての留意点
5 労災の基礎知識
(1) 労働災害
(2) 労災保険
第13講 ハラスメント,集団的労使関係
本講のポイント
解説
1 ハラスメント
(1) 差別禁止とハラスメント
(2) セクハラ
(3) パワハラ
2 集団的労使関係
第14講 消費者対応
本講のポイント
解説
1 消費者保護法制
(1) 消費者・顧客との関係
(2) 消費者契約法
(3) 特定商取引法
(4) 製造物責任法
2 顧客からのクレーム
(1) Caseの検討
(2) 悪質クレーマー対策
第15講 贈賄防止,インサイダー取引,その他の法務リスク
本講のポイント
解説
1 贈賄防止
(1) 外国公務員への贈賄行為
(2) 贈賄による企業リスク
(3) 贈賄行為の構成要件
(4) FCPAの適用範囲について
2 インサイダー取引
3 その他の法務リスク
(1) 知的財産権の侵害
(2) 社会に対するコミットメント
(3) 日本版司法取引
第16講 紛争解決・訴訟についての法律知識
本講のポイント
解説
1 内容証明郵便
(1) 意義と性質
(2) 内容証明の活用法
(3) 内容証明の書き方
(4) 内容証明を出すことが適当でない場合
2 示談
(1) 意義と性質
(2) 示談の効用
(3) 示談書の作成
(4) 示談の無効,取消し
3 民事調停
(1) 調停の意義
(2) 調停制度の利点
(3) 調停の手続と効力
4 公正証書
(1) 意義
(2) 利点と限界
(3) 公証役場
5 その他の法的手段
(1) 仲裁
(2) 少額訴訟
(3) 支払督促
(4) 起訴前の和解
(5) その他の法的手段
第17講 紛争解決演習
本講のポイント
解説
1 内容証明による督促
(1) 内容証明の効果
(2) 時効の更新・完成猶予
(3) より心理的な圧力をかけるために
(4) 内容証明を出すことが適当でない場合
2 示談交渉
(1) 示談の効用
(2) 有利な示談交渉の進め方
(3) 示談書の作成
(4) 示談の不調,不成立の場合
3 公正証書化
(1) 公正証書の利点
(2) 公証役場への出頭
4 民事調停
(1) 調停の意義
(3) 調停向きの紛争と不向きな紛争
(4) 調停の手続
5 通常訴訟
6 小括
第18講 リスク・マネジメントとコンプライアンス
本講のポイント
解説
1 内部統制
(1) 内部統制とは
(2) 会社法における内部統制の意義
2 内部統制,リスク・マネジメント,コンプライアンス
(1) リスクとは
(2) リスク・マネジメントとコンプライアンス
3 コンプライアンス概念の再考
(1) 内容の分かりにくさ
(2) 会社法条文からの説明
(3) ステークホルダー経営とコンプライアンス
(4) コンプライアンスとCSRの関係
(5) 企業行動基準の誤謬
(6) コンプライアンス研修
4 小括
第19講 パンデミックと企業法務
本講のポイント
解説
1 危機管理
(1) 感染症法と企業実務
(2) 感染拡大防止策の実例
(3) 感染症対応の基本的な選択肢
(4) 感染症確認時の対応手順
2 感染症と個人情報・プライバシー保護
(1) 感染等の情報取得
(2) 利用目的との関係
(3) 企業内での情報共有
(4) 社外への情報提供
3 人事労務関係
(1) 休業手当と労働者への配慮
(2) テレワーク
4 取引関係への影響
(1) 債務不履行と不可抗力の主張
(2) 独禁法・下請法関係
5 小括
第20講 局中法度〜よき法務担当者となるために
本講のポイント
解説
1 よきビジネス・パーソンであれ
2 誠実であれ
3 忠実であれ
4 謙虚であれ
5 己を賭けよ
6 感謝の気持ちを忘れない
事項索引
奥付