表紙

はじめに

本書の構成とその要点

目次

第1章 国際標準の競争法制へ

Ⅰ 修業時代と国際標準の競争法制

1 修業時代

2 武者修行

Ⅱ 過去15年間の進展

1 15年間の動き

2 一橋大学退官後6年間の動き

3 個人的な取組み

Ⅲ 行為類型ごとの単一ルールの確立

Ⅳ 解釈論として国際標準の競争法へ

Ⅴ 立法論として国際標準の競争法制へ

1 国際標準の競争法制とは

2 これから10年間への期待

Ⅵ 基本体系と公権解釈

1 公権解釈

2 裁判所による判例法

3 公正取引員会の公式解釈

4 司法試験管理委員会による公権解釈

第2章 行為類型ごとの単一ルールと単独行為規制および共同行為規制

Ⅰ 最後の課題

1 行為類型ごとの単一ルール

2 競争法・独占禁止法の体系

3 競争法の比較法的分析

4 行為類型ごとの単一ルール形成における判審決分析の役割

Ⅱ 排他的取引

1 狭義の排他的取引

2 個別事例

Ⅲ 抱き合わせ

1 2種類の抱き合わせ

2 タイイング市場とタイト市場

3 特定機器向けの保守サービス市場等

Ⅳ 低価格設定

1 略奪的価格設定と差別的価格設定

2 略奪的価格設定

3 差別的価格設定

Ⅴ 単独の取引拒絶

1 典型事例

2 不可欠施設の法理

3 継続的取引関係の解消

4 交換部品の供給制限

Ⅵ 一連の行為・非定型行為

1 分類方法

2 非定型行為

3 一連の行為

4 一連の行為と複合行為

Ⅶ カルテル

1 不当な取引制限の禁止とカルテル

2 独占禁止法における主要なカルテル事件

Ⅷ 共同の取引拒絶

1 不公正な取引方法と不当な取引制限

2 共同の取引拒絶の個別違反行為

Ⅸ 垂直的価格制限

1 比較法的分析――垂直的制限規制の国際ルール

2 垂直的価格制限の概要

3 再販売価格の拘束の形式要件の欠陥

4 垂直的価格制限の実質要件

5 再販売価格の拘束の形式要件に該当するとされた行為――典型的垂直的制限行為

6 垂直的価格制限の実効性確保手段を独立した違反行為とした事例――法適用の誤り

7 実質的な垂直的価格制限行為

Ⅹ 垂直的非価格制限

1 垂直的非価格制限規制の概要

2 販売地域に関する制限

3 取引先に関する制限――選択的流通制度

4 販売方法に関する制限――対面販売条項

XI 3条による事後規制を

1 あるべき競争法制のもとでの法適用

2 単独行為

3 共同行為

第3章 日本固有の規制と不公正な取引方法の禁止

Ⅰ 競争ルールと各国固有の規制の峻別

1 競争ルールと各国競争法

2 不正競争行為の禁止

3 優越的地位の濫用

Ⅱ 独占禁止法における日本固有の規制

1 独占禁止法の原罪としての不公正な競争方法の禁止

2 1953年の不公正な取引方法の禁止

3 1982年一般指定の改訂

4 2009年改正

5 今後の課題

Ⅲ 優越的地位の濫用の禁止

1 日本固有の規制としての優越的地位の濫用規制

2 公正取引委員会による法的措置

3 民事訴訟での係争事件

Ⅳ 下請法

1 下請法の特質

2 違反行為

3 手続――実効性確保手段

4 下請法違反と民事訴訟・私法上の効力

Ⅴ 不正競争行為の禁止

1 不正競争行為

2 競争者に対する取引妨害――不公正な競争手段型の公正競争阻害性

3 並行輸入不当妨害行為

4 関連商品購入強制型抱き合わせ

5 小売段階の不当廉売

Ⅵ 日本固有の規制と自由競争減殺型の峻別

1 日本固有の規制である優越的地位の濫用と不正競争行為の区別

2 優越的地位の濫用と垂直的制限・単独の取引拒絶との区別

第4章 行政制裁金制度の導入と防御権の保障

Ⅰ 二段階方式での課徴金制度改革

1 制裁金としての課徴金制度

2 独占禁止法研究会報告書

Ⅱ 次回の改正事項

1 全体的考察

2 改正内容その1――カルテルに係る制裁金額算定ルールの見直し

3 改正内容その2――カルテル立証に役立つ課徴金減免制度へ

4 改正内容その3――カルテル事件調査における適正手続の保障の実現

5 改正内容その4――売上額のない事業者に対する課徴金賦課

6 次回改正作業の進行状況

Ⅲ 次々回の法改正に向けての課題――抜本的改革の必要性

Ⅳ 長期的課題

1 長期的課題その1――大陸法系の行政制裁金制度の導入

2 カルテルに対する行政制裁金制度

3 カルテル以外の3 条違反行為に対する行政制裁金制度

4 長期的課題その2――国際標準の行政調査への移行

5 最後に

第5章 日本音楽著作権協会事件と排除型私的独占

Ⅰ 事件の経緯と概要

1 事件の経緯

2 事件の概要

Ⅱ 事件の開始

1 日本音楽著作権協会事件排除措置命令

2 東日本電信電話会社事件最高裁判決の悪影響

Ⅲ 文化庁研究会報告書と本件事件の結論

1 文化庁研究会報告書

2 本件事件の主要関連事実とその分析

3 競争法上の評価

Ⅳ 審判審決、東京高裁判決、最高裁判決

1 排除行為をめぐる争い

2 審判審決

3 東京高裁判決

4 最高裁判決

5 先例価値

Ⅴ 最高裁判決以降の状況

1 高まった期待

2 5社合意と期待外れな本件事件の終了

Ⅵ 競争の実質的制限と自由競争減殺型の不公正な取引方法の公正競争阻害性の同一性

1 同一行為についての3条違反事件と19条違反事件との併存

2 手続的な調整の困難さ

第6章 ブラウン管国際カルテル事件と域外適用

Ⅰ 本件事件の経緯と意義

1 本件事件の経緯

2 本件最高裁判決の意義と今後の課題

Ⅱ 最高裁判決までに実現した事項――域外適用の対象となる措置および実体規定

Ⅲ 日本市場をターゲットとする国外でのカルテル合意

1 最高裁判決による最大の貢献

2 違反行為の事実認定と一定の取引分野の画定

3 需要者概念の使用の否定

Ⅳ 課徴金と制裁金との金額算定の基礎――制裁金額算定に係るルールの在り方

1 個人的取組みと制裁金制度における制裁金額算定の基礎

2 過去の課徴金制度の法的性格とその独自性

3 今後の対応

Ⅴ 国際標準のカルテルに対する競争法の域外適用

1 域外適用と立法管轄権に関する基本先例

2 検討課題となる国際カルテルと域外適用の意味

3 製品価格協定および部品価格協定

4 国際市場分割協定

5 制裁金額の算定基礎に関する国際ルールと制裁金の二重賦課の回避

6 企業結合に対する域外適用

Ⅵ 本件最高裁判決の独占禁止法改正作業への影響

1 独占禁止法研究会報告書の提言

2 ブラウン管国際カルテル事件最高裁判決との調整

Ⅶ まとめ――国際標準の域外適用を

第7章 業務提携と司法試験経済法科目

Ⅰ 司法試験経済法科目に採用された意義

Ⅱ 業務提携

1 業務提携の内容とその分類

2 ｢業務提携と企業間競争に関する実態調査報告書」

3 事前相談事例集による回答事例の分析

4 技術取引に関するガイドラインの見直し

5 共同行為の行為類型としての業務提携

Ⅲ 平成28年度および平成29年度経済法科目出題問題と解答

1 概要

2 平成28年度第1問と解答

3 平成28年度第2問と解答

4 平成29年度第1問と解答と出題の趣旨

5 平成29年度第2問と解答

第8章 『独占禁止法』の版を重ねて

Ⅰ 概要

Ⅱ 過渡期としての初版と第2版

1 初版・第2版の刊行目的

2 初版・1996(平成8)年

3 第2版・2000(平成12)年

Ⅲ 第2版と第3版との間の断絶

1 断絶の原因

2 内容的な相違点

Ⅳ 第3版から第6版まで

1 第3版・2010(平成22)年

2 第4版・2011(平成23)年

3 第5版・2012(平成24)年

4 第6版・2014(平成26)年

Ⅴ 体系論の完成

1 最終目標

2 第7版・2016(平成28)年

3 第8版・2017(平成29)年

4 第9版

Ⅵ 国際標準の競争法へ

1 基本的課題の捉え方

2 行為類型概念の位置付け

3 行為類型ごとの単一ルール

4 不公正な取引方法の解体への取組み――立法論と解釈論

第9章 一橋大学退官から70歳まで

Ⅰ 理想の学者生活――人生設計

Ⅱ 執筆活動

1 最大の時間配分

2 著書の刊行――単行本

3 論文執筆

Ⅲ 退官後の独占禁止法の動向と執筆活動等

Ⅳ 生活の三本柱――退官後の主要な活動

Ⅴ 社会的貢献、社会的活動

第10章 もう1つのライフワーク――法律の高度専門職業人の養成

I 一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻の挑戦

1 法律の高度専門職業人養成

2 取組みの概要

Ⅱ 前提としての教訓および外国での状況

1 専修課程失敗の教訓――日本における修士課程専修コース

2 海外事情――米英における法律の高度専門職業人養成の在り方

Ⅲ その成果と評価

1 基本構想と最終プロクラム

2 一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻――本専攻の修士課程、博士課程の実態

3 到達点――2007年3月時点の評価

4 補足――法科大学院のインパクトとその後の動き

おわりに：歴史的認識――競争法の将来

事項索引

奥付