- 発売日
- 2024年12月14日
- 出版社
- 慶應義塾大学出版会
- 編著等
- 柳瀬 房子
共に働き、共に暮らし、共に支え合う社会へ。長らく難民支援に携わっている著者が、いま、若者に伝える。多くの外国人がなぜ日本に来るのか、なぜ来ない(来られない)のか、何を求めているのか、私たちはそれに応えられているのか、日本の難民支援の歴史と現状、そして多文化共生に向けた課題を語る。
目次
表紙
はじめに【アクティブ】
目次
序章 難民を助ける会と私【鼓舞】
海を渡ってきた、「パスポート」を持たない外国人たち
カナダからの一通の手紙「日本は世界で最も恥ずべき国」
ラオス人ダラセンさんとの出会いと別れ
タイの難民キャンプへ
悪平等ではなく、良き不平等を
若い? 二代目次事務局長
当時の通信手段
ザンビアの「じゃがいもクリニック」
きれいな水を求めて
難民一人ひとりと日本人一人ひとりが理解しあう
和菓子作りの名人になったカンボジア難民
ミャンマーで「障がい者のための職業訓練校」を!
これらの経験を多文化共生社会の実現に役立てたい
第1章 外国人とは誰のこと?【恩恵】
1 日本人って誰?
あなたは日本人ですか?
多様な日本人、多様な外国人から成る日本
日本人であることの、ありがたい特権
2 日本を目指す人々
世界中から訪れる外国人
日本に在留している人々
3 外国人が日本で滞在するための資格
在留資格とは?
「活動」と「身分・地位」による在留資格
第2章 外国人労働者とは誰のこと?【軌跡】
1 日本で働く「外国人労働者」
200万人を超える「働く外国人」
日本で働くための入管法上の在留資格
2 労働者の送り出し国から受け入れ国へ
戦前の日本は移民の送り出し国
日本を目指す中南米の日系人
アジア諸国からの労働者
「3K」の担い手となった外国人労働者
外国人労働者受け入れ「第9次雇用対策基本計画」
3 移民政策なき日本の外国人労働者
移民政策は断じてとらない?
移民なき日本の「移民政策」?
日本は「ステップアップ型」移民政策
技能実習から育成就労へ
日系四世の長期滞在、受け入れ新制度がスタート
4 「外国人材」受け入れの拡大と課題
「外国人材」受け入れの拡大へ
「特定技能」資格の新設
外国人との共生や受け入れ環境の整備
第3章 難民とは誰のこと?【不条理】
1 難民の定義とは?
難民条約の成立
難民条約の概要
2 難民受け入れに関する国際制度
インドシナ難民
アフリカ統一機構(OAU)からアフリカ連合(AU)へ
カルタヘナ宣言(El Manifesta de Cartagena)
アジア地域の難民保護は?
補完的保護
難民なのか、移民なのか
3 難民の認定と保護
難民の「保護」と「支援」
難民認定は法的な手続き
4 日本に逃れてきた人々
難民認定申請者が日本を選んだ理由
日本への難民認定申請者
日本における難民認定者
ミャンマーの特別な事情
トルコからの難民認定申請者
アフガニスタンからの避難者
シリア人の庇護の状況
スーダン人の庇護の状況
ウクライナ避難民などの受け入れと支援
5 「第三国定住」
「第三国定住」とは?
日本の「第三国定住」政策の開始
足りない「第三国定住受け入れ人数枠」
第4章 日本の難民受け入れ政策は?【含羞】
1 日本における難民受け入れの歴史
50年近い経験
第1段階:インドシナ難民の受け入れ
第2段階:難民条約への加入と難民認定手続きの実施
第3段階:難民認定手続きに関する法改正
第4段階:正規在留の申請者の就労を可能に
難民受け入れ組織の拡充
2 「難民」一人ひとりの思い、さまざまな人生
ベトナムからの危険な賭け
日本での「初めの一歩」
家族との再会
再び、日本に
3 難民認定申請と難民審査参与員制度
難民認定の手続き
審査請求の現状
難民審査参与員の仕事
口頭意見陳述の不実施
背景にある問題に目を向ける
4 日本の労働市場の欠陥が生み出す「難民認定申請者」
留学生・技能実習生による難民認定申請の急増
「特定活動(就労可)」による職業選択と居住移転の自由
放棄される口頭意見陳述の権利
人手不足の日本企業と仲介業者の存在
ほかに日本に残るための方法がありますか?
5 就労を制限するための新たな難民認定制度の開始
旧西ドイツの教訓
新運用による難民認定申請者数の減少
6 労働力不足の解消から多文化共生へ
労働力不足をどう解決するか?
「特定技能」のスタート
第5章 難民に選ばれない国? ニッポン 【邂逅】
1 「日本は冷たかった~」
一人ひとりの狭量さが作り出す心の傷
「もっと手厚く」を積み重ねる
2 難民はどこへ行くのか?
たしかに少ない日本の難民認定者数
偏る難民受け入れ国
3 なぜ難民は日本に来ないのか?
世界の多くの人々は日本という国を知らない
日本には移民・難民受け入れの歴史的な蓄積が少ない
海の向こう、遠い日本
日本語はコスパが悪い?
自国で培ったキャリアや取得した資格を活かせない
初等・中等教育では優れた面も
4 外国人材から選ばれるニッポンへ
第6章 「入管」とはどんなところ?【浮石沈木】
「国境」に囲まれて暮らす私たち
1 入管の組織と5つの業務
入管の正式名称は?
入管の組織
入管の職員
5つの業務
2 退去強制制度とは?
日本に留まれない外国人
人手不足でも社会秩序の維持は重要
退去強制令書の発付
自費による出国
収容から出国へ
米国や欧州での強制送還
退去強制送還でも出直しは可能
3 退去強制手続きに伴う問題
退去強制手続きの開始
航空券が買えない
チャーター機による強制送還
難民認定申請による送還停止
刑事犯の送還忌避をどう考えるか?
収容・送還に関する専門部会
4 収容施設の目的と長期収容問題
収容施設とは
収容所は拘置所でも刑務所でもありません
収容所の役割は?
収容は絶対ではありません
仮放免・監理措置とは?
収容所の生活
収容所の1日
病気や歯の治療
収容所の待遇改善と入国者収容所等視察委員会
新型コロナウィルスへの対応
ウィシュマ・サンダマリさんのこと
背景にある入管施設での収容長期化
5 「入管問題」の中の本当の課題
入管の裁量処分はブラックボックス?
法律、ガイドライン、裁量と世論
収容・送還の費用負担
国民が創り上げる「社会の価値観と許容度」
入管行政の前に横たわる「移民」問題
第7章 多様な人々が共生できる社会へ【凡事徹底】
1 共に働くために
まず、関心を持つこと
「共に働く人々」への差別を、いかになくすか
「技能実習から育成就労へ」で、日本人が変われるか?
2 共に暮らすために
多様な「多文化共生」を知る
『生活・就労ガイドブック』を使いまくる
負担も共に分かち合う
3 共に助け合うために
学びを支援する(特に日本語教育を!)
「環境難民」のために何ができるか
ジャン・ピクテ、再び
4 おしまいに、ヴー・ヴァン・カウさんのことを
おわりに【レジリエンス】
主な参考文献
Column
技能実習制度はそんなに悪い制度だったのか?
東西冷戦期の「難民」と、現代の「難民」
生命(いのち)がけで海を渡る難民たち
ドイツにおける移民/難民との共生
「難民」という新しい言葉
「誰が難民か」を誰が決めるのか?
「助ける側」と「助けられる側」は一瞬の巡り合わせ
聴覚障がいをもつウクライナ避難民の受け入れ
試案――在留資格を復活させる
ワールドカップと亡命
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奥付