- 発売日
- 2022年06月01日
- 出版社
- 弘文堂
- 編著等
- 新井誠、友次晋介、横大道聡
国民の統合や再配分の問題に深く関心をもつ憲法学を中心に、多様な「分断」を描き出し、それらがもたらす諸問題を、具体的処方箋も示しつつ多角的に考察。「分断」問題に新たな視座を提供する一冊です。
目次
表紙
はしがき
目次
第Ⅰ部 〈分断〉と民主主義
アイデンティティ政治がもたらす分断―〈契約国家アメリカ〉のゆくえ[西山隆行]
1 アメリカ政治における分断
2 アイデンティティに基づく分断
3 左派によるアイデンティティ政治
4 右からのアイデンティティ政治
5 アイデンティティ政治の限界
6 アイデンティティ政治と契約国家アメリカのゆくえ
分断化する「中央」と「地方」―憲法の視点から改めて考えてみたいこと[新井誠]
1 具体的問題状況
2 国政レベルの政治的意思表示をめぐる憲法論
3 民主主義社会における決定と領域
4 まとめにかえて―ささやかな期待
サイバー空間における分断―インターネットによる民主主義の新たな可能性と民意の分断[湯淺墾道]
1 インターネットの夢と現実
2 代表民主主義と直接民主主義
3 サイバー攻撃やSNSを通じた世論誘導による分断
4 日本でも分断への対策は可能か
第Ⅱ部 〈分断〉と人権の諸相
新型コロナ対策における分断―日本型対策の諸問題[横大道聡]
1 感染症対策の枠組み
2 対策の対象をめぐる分断
3 物理的な分断
4 結びにかえて
社会の分断がもたらす人権の「武器化」―マイノリティの権利の観点から[森口千弘]
1 文化戦争と保守派の「敗北」
2 人権の「武器化」
3 「武器化」の問題
4 日本における「武器化」?
〈多文化主義による分断〉と多様性の管理―カナダにおける合理的配慮を中心に[山本健人]
1 多文化主義による分断?
2 合理的配慮の法理論
3 多様性の管理手法としての合理的配慮
共同体の分断と関係性の再構築―「結社による自由」の可能性[岡田順太]
1 「分断」の近代
2 「法人の人権」論
3 協同組合論の思想系譜と課題―オーエン主義と自給的内国植民地の構想
4 中間団体否認の法理と個人主義
5 関係性による「架橋」と「分断」の克服
6 「分断」から「再構築」の憲法論へ
第Ⅲ部 〈分断〉と立法・政策
職業・分断・憲法学―コロナ禍における性風俗業への持続化給付金不給付から考える[新井誠]
1 コロナ禍の中のレジャー産業
2 コロナ禍の事業者給付金制度
3 特定の性風俗業を不給付とする「合理的理由」とは何か
4 職業差別の憲法論
5 職業と国民の「分断」
6 性風俗業と憲法、あるいは(憲)法学
政治の分極化と外交政策―米国の対北朝鮮・イラン核兵器不拡散外交の振幅[友次晋介]
1 クリントン政権期の北朝鮮への核不拡散外交
2 ブッシュ(子)政権期の北朝鮮への核不拡散外交
3 イラン核危機と包括的共同行動計画(JCPOA)の成立
4 トランプ政権によるJCPOAの破棄
5 おわりに―揺れ動いた米国の核不拡散外交
「記録」がつなぐ「分断」―「過去、現在、未来をつなぐ国の重大な責務」としての「記録」[横大道聡]
1 公文書管理法の制定に至る道程
2 公文書管理と憲法学
3 統治情報の「公開」と「管理」
4 結びにかえて
行政法規をめぐる分断についての一考察―ローカルルールの意義に着目して[和泉田保一]
1 建築確認と日照
2 産業廃棄物処分場の設置許可
3 分断におけるローカルルールの可能性―まとめ
4 結びにかえて
第Ⅳ部 〈分断〉と社会
入会地紛争にみる差異と分断―人の移動の観点から金武町杣山訴訟を再考する[西山千絵]
1 金武町杣山訴訟
2 町面積の約五割強を米軍基地が占める町
3 入会地の公共性・共同性に立ち戻る
4 「二項対立」の分断にどう向き合うか
5 最後に
災害対策関係諸法制度の複雑さがもたらす分断―「社会的亀裂」を広げる要因の考察[向井洋子]
1 わが国の「社会的亀裂」と分断
2 用語の定義と「霞が関曼荼羅」
3 災害対策関係諸法の立法過程
4 東日本大震災後の被災地分断と被災地のチカラ
5 法改正後の大規模災害から―熊本地震の知見
事業継続とレジリエンス思考―災害による分断を乗り越える[吉川晃史]
1 経済社会の分断とレジリエンス
2 分断される経済社会と事業継続
3 分断を乗り越える取り組み事例
4 分断を乗り越えるレジリエンス思考
小水力発電技術の分断と再生―地域産業創生の取り組み[藤本穣彦]
1 小水力発電と地域社会
2 小水力発電技術の分断
3 産学連携―九州大学小水力エネルギープロジェクト研究コア
4 国際連携―インドネシアの技術者たち
5 小水力発電技術の再生
6 若手技術者の成長
7 時代の変化の中で、地域の水を問い直す
編者・執筆者紹介
奥付