BUSINESS LAWYERS LIBRARY

アメリカにおける第二の親の決定

発売日
2020年02月21日
出版社
弘文堂
編著等
山口真由

日本より父子関係の多様化が進んでいるアメリカを題材にして、父、すなわち、第二の親の要件について、子との血縁や母との婚姻により父を決定する伝統法理から、それに代わって親となる意思や親としての機能を基準にして父を決定しようとする新しい理論までを検討し、普遍的な「父の要件」を探ります。従来とは異なる親子関係の決定に関する法は、アメリカにおいて、いかなる起源を有し、どのように発展し、現状はどうなっているのか。そして、その現状は、法の想定する親子の概念に今後どのような変化をもたらすのか。家族の普遍を問い直す一冊。

目次

表紙

はしがき

目次

凡例

序章 父子の本質的な要件とは何か

Ⅰ 問題

Ⅱ 問題の背景 ――わが国における従来の議論

1 婚姻親子における父子関係

2 非婚姻親子における父子関係

Ⅲ 方法 ――アメリカにおける議論の概観

1 アメリカの親子法を題材とする理由

2 アメリカにおける親子関係決定法理の発展

3 判例法調査の方法

Ⅳ 対象

Ⅴ 先行研究

第1章 親子関係をめぐる基本構造

Ⅰ 本書の対象となる争訟類型

Ⅱ 親の子どもに対する権利

1 Troxel判決

2 親の権利

3 子の利益

4 州の介入

Ⅲ 親の子どもに対する義務

Ⅳ 争訟の形態

Ⅴ 小括

第2章 Equitable Estoppel

Ⅰ 血縁のない親子関係におけるEquitable Estoppel

Ⅱ 親の義務に関するEquitable Estoppel

1 Clevenger判決

2 表明

3 依存

Ⅲ 親の権利に関するEquitable Estoppel

1 Equitable Estoppel と Equitable Parent

2 表明

3 依存

4 Equitable Parentに対する批判

Ⅳ 婚姻という分水嶺

1 婚姻による推定を超えて

2 義務としてのEquitable Estoppel

3 権利としてのEquitable Estoppel

4 Equitable Parent

Ⅴ 小括

1 表明および依存

2 婚姻の意義

第3章 Voluntary Acknowledgement of Paternity

Ⅰ 福祉法の観点からの親の確保

Ⅱ Voluntary Acknowledgement of PaternityとHolding Out Presumption

1 Stanley判決

2 1973年Uniform Parentage Act

Ⅲ 血縁の証拠

1 コモンローのもとでの扶養料請求訴訟

2 血液型検査の発達

3 DNAによる親子鑑定

4 立法への影響

Ⅳ Voluntary Acknowledgement of Paternity制度の変容

1 連邦による扶養料の強制徴収プログラムの導入

2 子の福祉の観点からの制度の強化

3 手続保障の観点からの制度の修正

4 Voluntary Acknowledgement of Paternity制度の本質

Ⅴ Holding Out Presumption

Ⅵ 小括

第4章 Intent-Based Parenthood

Ⅰ 意思による親の概念

Ⅱ 人工授精による精子提供

1 初期の人工授精

2 人工授精に対する各州の反応

3 1973年Uniform Parentage Act

Ⅲ 体外受精による精子提供

1 体外受精と中絶論争

2 1988年Uniform Status of Children of Assisted Conception Act

3 離婚後または死後の懐胎

Ⅳ 生殖補助医療に関する行為規制

1 連邦法・州法による行為規制

2 専門家団体等による規制

3 対価の規制

4 精子や卵子ドナーの情報開示

Ⅴ シュルツの提唱

Ⅵ Intent-Based Parenthoodの拡張

1 未婚女性への拡張

2 未婚カップルへの拡張

Ⅶ Intent-Based Parenthoodの拡張の限界

1 同性カップルへの適用可能性

2 Intent-Based Parenthoodによる親子関係の決定

Ⅷ 小括

第5章 サイコロジカルペアレント

Ⅰ 子の監護者との関係の維持

Ⅱ 監護権紛争の手続き

1 合意による決定

2 子どもの代理

3 専門家による事実認定

Ⅲ In Loco Parentis

1 コモンローにおける In Loco Parentisとその受容

2 In Loco Parentisの要件

3 In Loco Parentisの効果

4 In Loco Parentisの要件の厳格化

Ⅳ Parent Preference Doctrine

1 厳格基準――適格性基準

2 緩和基準

Ⅴ サイコロジカルペアレント

1 “Beyond the Best Interests of the Child”

2 サイコロジカルペアレントの受容

3 サイコロジカルペアレントの限界

Ⅵ 小括

1 In Loco Parentis

2 サイコロジカルペアレント

3 親と第三者の中間的な地位

第6章 デファクトペアレント

Ⅰ 機能による親の理論

Ⅱ 判例によるデファクトペアレントの精緻化

1 デファクトペアレント

2 H.S.H.-K.基準

3 ALI’s Principles

4 ALI’s Restatement

Ⅲ デファクトペアレントの州法への導入

1 面接交渉権から監護権へ

2 司法裁量の限界

3 デラウェア州法

4 メイン州法

5 2017年Uniform Parentage Act

Ⅳ 小括

終章 普遍的な「第二の親の要件」を探る

Ⅰ 前提

Ⅱ 婚姻の意義

Ⅲ 血縁の意義

Ⅳ 意思の意義

Ⅴ 機能の意義

Ⅵ 意思と機能の意義

Ⅶ 第二の親の要件

Ⅷ 第二の親の要件に関する今後の動向

Ⅸ わが国への示唆

資料編

事項索引(欧文・和文)

人名索引(欧文・和文)

奥付

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