- 発売日
- 2023年01月21日
- 出版社
- 経営書院(産労総合研究所)
- 編著等
- 芦原一郎
労働判例を、労働法の勉強のためだけにしか使わないのはもったいない! リアルな事例から、重要なルールだけでなく、経営上の工夫や失敗も一緒に学べるじゃないか! ということで、社内弁護士出身の著者が、労働判例という具体的な事例を題材に、労働法の観点から“経営”にぐいぐいと切り込んでいきます。法律ルールという枠組みと、経営という活動の関係をダイナミックに理解することができる内容です。
目次
表紙
目次
第1講 基本
本書で学ぶこと
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 法律はルールである
2. 抽象と具体
3. 3段論法
III. 法的な検討
IV. リスクと経営
1. リスクは避けなければならないか
2. 博打ではない
3. 衆議独裁
4. コーポレートガバナンスと内部統制
5. 法律と経営
6. まとめ
第2講 解雇①
今日の労働判例 山崎工業事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 契約
2. 解約
3. 労働契約
4. 解雇
III. 法的な検討
1. 解雇
2. その他の問題
IV. リスクと経営
1. リスクを取らなければならないのか
2. 振り返り・PDCA
3. 経営者の決断力
4. 解雇リスク
5. おわりに
第3講 解雇②
今日の労働判例 PwCあらた有限責任監査法人事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 判断枠組み
2. 能力不足・欠如
3. 企業秩序違反
4. プロセスその他
5. 天秤の図
III. 法的な検討
1. ストーカー行為
2. 人事考課
IV. リスクと経営
1. 人事制度と経営戦略
2. 問題社員対応
第4講 雇止め
今日の労働判例 高知県公立大学法人(第2)事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 「雇止めの自由」の制限の背景
2. 労契法19条の構造
3. 1号2号と本文(合理性)の関係
4. 合理性
III. 法的な検討
1. 1号2号
2. 合理性
3. 無期転換(労契法18条)
IV. リスクと経営
1. プロジェクト体制の設計と人材の獲得
2. 外部人材のマネージメント
3. ガバナンスと内部統制
第5講 人事権濫用①
今日の労働判例 野村不動産アーバンネット事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 人事権
2. 人事権の濫用
3. 本事案の位置付け
III. 法的な検討
1. 判断枠組み
2. 従業員側の事情
3. 会社側の事情
IV. リスクと経営
1. 競争政策と組織論
2. リスクコントロール
3. 企業の成長と人事制度
4. 企業の成長と人材の変化
5. 人事制度変更に伴うリスクのコントロール
第6講 人事権濫用②
今日の労働判例 安藤運輸事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 配置転換権
2. 職種限定合意・地域限定合意
3. 配置転換権の濫用
III. 法的な検討
1. 職種限定合意
2. 配置転換権の濫用の判断枠組み
3. 職種限定合意と配置転換の関係
4. 事実認定
IV. リスクと経営
1. 中途採用者とミスマッチ
2. 業務管理の精度
3. 人手不足
4. 経営改革
第7講 リストラ①
今日の労働判例 森山(仮処分)事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 整理解雇の特徴
2. 判断枠組み
III. 法的な検討
1. 整理解雇の無効
IV. リスクと経営
1. 事業継続の選択
2. ビジネスモデルの転換
3. 社風
4. 経営と従業員の関係
第8講 リストラ②
今日の労働判例 学校法人奈良学園事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 有期雇用契約の解雇(労契法17条1項)
2. 定年
III. 法的な検討
1. ①無期雇用契約者の解雇(整理解雇、無効)
2. ③有期雇用契約者の雇止め(有効)
3. ②有期雇用契約者の解雇(無効)
4. 高年法との関係
IV. リスクと経営
1. ガバナンス
2. 内部統制
3. 実務上のポイント
第9講 労働者性
今日の労働判例 国・津山労基署長(住友ゴム工業)事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 多様な「労働者」概念
2. 判断枠組み
III. 法的な検討
1. プロなのに労働者?
2. 実務上のポイント
IV. リスクと経営
1. 品質へのこだわり
2. 業者との関り
3. まとめ
第10講 パワハラ
今日の労働判例 鑑定ソリュート大分ほか事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 民事責任の法律構成
2. 他のハラスメント
3. メンタルとの関係
III. 法的な検討
1. パワハラ
2. 実務上のポイント
3. Xの従業員性
IV. リスクと経営
1. コーポレートガバナンス
2. 名目取締役
3. 組織構造
第11講 メンタル①
今日の労働判例 国・京都上労基署長(島津エンジニアリング)事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. ハラスメントとメンタル
2. 行政労災と民事労災
3. メンタルの種類
4. 業務起因性の判断枠組み
5. 裁判所による修正
III. 法的な検討
1. 判断の分かれ目
2. 実務上のポイント
IV. リスクと経営
1. 労務管理上の問題
2. 社長の役割
3. 子会社の人事
4. 会社の魅力
第12講 メンタル②
今日の労働判例 マツヤデンキほか事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 電通事件と基本ルール
2. 法律構成
3. 要件
4. 従業員側の過失
5. 休職と復職
6. メンタル問題はなぜ難しいのか
III. 法的な検討
1. 暴行の認定
2. うつ病
3. 実務上のポイント
IV. リスクと経営
1. 従業員のクオリティー
2. 組織の余力
第13講 内部通報
今日の労働判例 ソニー生命保険ほか事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 内部通報制度の必要性
2. 内部通報制度の在り方
III. 法的な検討
1. 事案の特徴
2. 実務上のポイント
IV. リスクと経営
1. 組織論上の位置づけ
2. インセンティブと競争
第14講 同一労働同一賃金・高齢者
今日の労働判例 名古屋自動車学校(再雇用)事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 同一労働同一賃金の規定
2. 同一労働同一賃金の判断枠組み
3. 高齢者
III. 法的な検討
1. 裁判例の位置付け
2. 基本給・賞与
3. 皆精勤手当・敢闘賞と家族手当
4. 実務上のポイント
IV. リスクと経営
1. 高齢者の活用
2. ビジネスモデルの転換
3. 今後の労働市場
4. コストカットの意味
第15講 最近の問題
今日の労働判例 淀川交通(仮処分)事件
I. 事案の概要
II. 労働法
1. 付帯決議
2. LGBTとSOGI
3. カスハラ、シュウハラ
III. 法的な検討
1. 乗客の苦情という口実
2. 身だしなみ規定に関する判断枠組み
3. 身だしなみ規定の運用
4. 実務上のポイント
IV. リスクと経営
1. お客様は神様?
2. 社風
3. 社会との関り
奥付