- 発売日
- 2021年09月30日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 大久保紀彦
「契約侵害による不法行為」に学説史、ドイツ法・フランス法・英米法にわたる比較法、裁判例分析からアプローチした研究書。
目次
表紙
目次
細目次
第1章 序論――契約侵害による不法行為
第1節 序
第2節 類型化
第3節 契約を尊重すべき第三者の範囲
第2章 「債権侵害」の伝統的通説形成――ドイツ法の視座
第1節 本章の目的と検討内容
第2節 イギリス判例法の理解を基盤とする民法709条の立法者意思と大審院大正4年判決
1. 立法者意思
2. 大審院大正4年判決
第3節 ドイツ法の理解を基盤とする伝統的通説の形成
1. ドイツ法
2. 伝統的通説の形成
第4節 本章のまとめ
1. 第三者による債権侵害と709条の根本的課題
2. 学説史におけるドイツ法の影響
3. 次章以降に向けて
第3章 「契約の尊重」と不法行為責任――フランス法の視座
第1節 本章の目的と検討内容――イギリス法、ドイツ法からフランス法へ
1. 前章までの振返り
2. フランス法
第2節 フランス債務法改正における「契約の尊重」
1. フランス債務法の改正
2. 2016年改正における契約contrat
3. 2016年改正における契約の「有効性」
4. 2016年改正における「第三者による契約の尊重」
5. 小括
第3節 不法行為責任――「尊重されるべき契約」保護の論理
1. 2016年債務法改正における条文の再配置
2. 「契約存在の認識」の必要性
3. 2017年民事責任法司法省草案における条文再構成
4. 2017年民事責任法司法省草案における「差止請求」
5. 2017年民事責任法司法省草案を前提とする「契約の保護」
6. 小括
第4節 第三者による「契約の尊重」義務とその法哲学的意義
1. 新1200条は、「意思自治の原理」の「例外」なのか
2. ルソーの「社会契約論」
3. ルソー哲学の文脈における新1200条の意義
第5節 本章のまとめ
1. 本章の振返り
2. 次章以降に向けて
第4章 侵害類型化で焦点となる「間接損害型」――諸学説の視座
第1節 本章の目的と検討内容
第2節 侵害の類型化分析
1. 不法行為法における伝統的通説の形成
2. 伝統的通説における類型化分析
3. 伝統的通説への批判的検討による類型化分析
4. 伝統的通説の大枠で故意・過失要件を明示する類型化分析
5. 三つの類型化から浮かび上がるもの
第3節 間接損害型
1. 企業損害――確立してきている一連の裁判例の立場
2. 福島原発事故――「中間指針」とその影響
第4節 本章のまとめ
1. 本章の振返り
2. 次章以降に向けて
第5章 「契約に近接する第三者」の不法行為責任――裁判例検討と関係的契約の視座
第1節 本章の目的と検討内容
1. 契約に近接する第三者の注意義務
2. 「間接損害型」と契約侵害
3. 関係的契約の視座
第2節 2010年代「間接損害型」の裁判例
1. 平成27年大阪地裁判決
2. 平成25年東京地裁・東京高裁判決
3. 平成31年京都地裁判決
4. 小括
第3節 「間接損害型」における当事者間関係
1. 三つの裁判例から
2. X・A間の契約
3. 第三者YによるX・A間契約の認識
4. 直接損害構成から「契約侵害」へ
第4節 被侵害契約と近接する別契約
1. 高速道路供用契約
2. 建物賃貸借契約
第5節 本章のまとめ
第6章 結論
第1節 本書の振返り
1. 第1章 序論――契約侵害による不法行為
2. 第2章 「債権侵害」の伝統的通説形成――ドイツ法の視座
3. 第3章 「契約の尊重」と不法行為責任――フランス法の視座
4. 第4章 侵害類型化で焦点となる「間接損害型」――諸学説の視座
5. 第5章「契約に近接する第三者」の不法行為責任――裁判例検討と関係的契約の視座
第2節 見解
1. 「不法行為」の判例展開と伝統的通説の形成における「債権侵害」の影響
2. 被侵害利益である債権の発生原因である「契約」を考慮する「契約侵害」視点の必要性
3. 「間接損害型」に焦点を当てた福島原発賠償中間指針第8
4. 契約に近接する第三者の契約尊重義務と不法行為責任
あとがき
引用・参照文献
事項索引
判例索引
奥付