- 発売日
- 2014年07月15日
- 出版社
- 青林書院
- 編著等
- 佐村浩之、内田博久
裁判実務の実際を理解するための必読の書。民事再生の制度・論点・運用を、東京地裁破産再生部に在籍した裁判官が明快に解説。法科大学院生から第一線の実務家まで、幅広い読者層に対応した、民事再生の体系書の決定版。 【制度の説明】制度の基本理念と全体構造を明快に提示しつつ、個々の手続きを丁寧かつ簡潔に説明。 【論点の解説】基礎的論点から今日的な論点まで、過不足なく盛り込み、整理してわかりやすく解説。【実務の紹介】実務の運用や工夫を、東京地裁を中心に、全国の運用まで視野に入れて紹介。
目次
表紙
目次
第1章 民事再生手続の特色
Ⅰ 民事再生手続とは
1.民事再生手続の位置づけ
2.倒産処理手続としての特色――個別的権利行使の禁止と平等弁済
3.再建型手続としての特色――債権の変更と清算価値保障原則
4.民事再生手続の会社更生手続との相違
5.小括
6.民事再生手続の利用状況
7.民事再生法の制定の経緯
Ⅱ 再建型・DIP型手続としての特色
1.再建型・DIP型手続のメリットとリスク
2.再生債務者の適正な業務遂行を確保するための規定と運用
Ⅲ 民事再生手続の進行の概観
1.DIP型と管理型
2.民事再生手続の標準的な進行とそこで行われる作業
3.標準スケジュール
第2章 再生手続の機関
Ⅰ 再生債務者
1.再生手続における再生債務者の地位
2.再生債務者の公平誠実義務
3.再生債務者の職務
4.再生債務者の行為の制限
5.再生債務者の第三者性
6.再生債務者代理人の立場
Ⅱ 監督委員
1.意義
2.監督委員の選任
3.監督委員の職務
4.監督委員に対する監督
5.監督委員の報酬
6.公認会計士による調査
7.積極的監督委員像と消極的監督委員像(監督の程度)
Ⅲ 調査委員
1.意義
2.調査委員の選任
3.調査委員の権限
4.調査委員の監督,報酬
Ⅳ 管財人
1.意義
2.管財人の選任
3.管財人の権限
4.管財人代理
5.管財人に対する監督
6.管財人,管財人代理の報酬
Ⅴ 保全管理人
1.意義
2.保全管理人の選任
3.保全管理人の権限
4.保全管理人代理,保全管理人の監督,保全管理人及び保全管理人代理の報酬
Ⅵ 債権者集会
Ⅶ 債権者委員会
1.意義
2.要件
3.承認の手続
4.債権者委員会の権限・活動
第3章 再生手続の選択と申立ての準備
Ⅰ 手続の選択
1.手続選択の重要性
2.再建か清算か
3.私的整理か法的手続か
4.民事再生か会社更生か
Ⅱ 再生手続開始の申立ての準備
1.事業の状況の正確な把握
2.資金繰りの確保
3.再生計画案の基本的枠組みの検討
4.債権者等への対応の準備
5.取締役会決議等
6.裁判所への情報提供
第4章 再生手続開始の申立て
Ⅰ 再生能力
1.再生債務者になることができる者の範囲
2.再生手続を利用する法人の規模
Ⅱ 申立権者
1.概要
2.債務者
3.債権者
4.その他
Ⅲ 再生手続開始の要件
1.形式的要件
2.実質的要件の定めとその特色
3.手続開始原因
4.申立棄却事由
Ⅳ 申立書の記載事項と添付書類
1.必要的記載事項
2.実質的記載事項
3.添付書類
Ⅴ 管轄
1.専属管轄
2.事物管轄
3.土地管轄
4.管轄の特例等
5.国際再生管轄
6.移送
Ⅵ 費用の予納
1.意義
2.予納金額の基準
3.分割納付
4.追加予納
第5章 再生手続開始に関する審理,決定とこれに伴う手続
Ⅰ 開始申立て後の実務の流れ
1.監督命令等の発令
2.監督命令が発令されない場合
3.債権者に対する説明
4.労働組合等からの意見の聴取
5.監督委員等による調査,報告
6.再生債務者の事業の継続と一定の債権の共益債権化
Ⅱ 保全処分
1.意義
2.保全処分の内容
3.審理
4.効力
5.変更・取消し,送達,即時抗告等
Ⅲ 他の手続の中止命令
1.意義
2.中止命令の対象となる手続
3.要件
4.効力
5.中止した強制執行等の取消し
6.変更・取消し,即時抗告
Ⅳ 包括的禁止命令
1.意義
2.要件
3.手続
4.効力
5.変更・取消し,解除
6.公告・通知,即時抗告等
Ⅴ 担保権の実行手続の中止命令
1.意義
2.要件
3.中止命令の対象となる手続
4.手続
5.効力
6.変更・取消し,送達,即時抗告
Ⅵ 開始申立ての取下げの制限
1.趣旨
2.許可の手続
Ⅶ 開始決定と付随する処分等
1.開始申立てに係る決定
2.再生手続開始と同時に定めるべき事項(同時処分)
3.裁量的に定められる事項
4.東京地方裁判所破産再生部における標準スケジュール
5.公告・通知
6.登記
Ⅷ 不服申立て
1.再生手続における不服申立ての方法
2.再生手続開始の申立てについての裁判に対する即時抗告
Ⅸ 再生事件に関する文書の閲覧等
1.趣旨
2.請求権者
3.閲覧等の対象となる文書
4.閲覧等の請求に対する制限
5.再生債務者の営業所での閲覧等
第6章 再生手続開始の効力
Ⅰ 再生債権の弁済禁止と他の手続の中止等
1.再生債権の弁済等の禁止
2.再生債権に基づく強制執行等の禁止・中止
3.他の倒産手続の禁止・中止・失効
Ⅱ 訴訟手続等の取扱い
1.訴訟手続の中断
2.再生債権に関する訴訟手続の中断後の取扱い
3.再生債権に関する事件が行政庁に係属している場合の取扱い
4.再生債務者の財産関係の訴えで再生債権に関するもの以外の訴訟手続の取扱い
5.詐害行為取消訴訟等の中断と受継
Ⅲ 再生債務者等の行為に対する規制
1.再生債務者等の行為の制限
2.事業譲渡に関する規律
Ⅳ 再生手続開始後の法律関係に関する諸規定
1.再生手続開始後の権利取得
2.再生手続開始後の登記・登録
3.再生手続開始後の手形の引受け又は支払
4.共有関係
Ⅴ 双務契約の取扱い
1.双方未履行の双務契約の取扱いの一般原則
2.賃貸借契約
3.請負契約
4.労働契約・労働協約
5.継続的給付を目的とする双務契約
6.市場の相場がある商品の取引に関する契約
7.交互計算
8.倒産解除条項による契約解除の可否
Ⅵ 取戻権
1.一般の取戻権
2.特別の取戻権
3.代償的取戻権
Ⅶ 再生債務者の事業の継続
第7章 再生債務者の財産の調査・確保等
Ⅰ 財産評定
1.意義
2.財産評定の実施
3.財産目録及び貸借対照表の作成
4.財産目録及び貸借対照表の再生債権者への開示
Ⅱ 再生債務者等の報告書
1.民事再生法125条1項に基づく報告書
2.その他の報告義務
Ⅲ 財産状況報告集会
1.意義
2.手続
3.代替措置
Ⅳ 否認制度
1.意義
2.否認の類型
3.否認権の行使権者
4.監督委員に対する否認権限の付与
5.否認権の行使方法
6.否認権行使の効果
7.否認の請求,否認決定に対する異議の訴え
8.否認権限を有する監督委員の訴訟参加等
9.詐害行為取消訴訟等の取扱い
10.監督命令等が取り消された場合の否認に係る訴訟手続の帰すう
11.再生手続が終了した場合の否認に係る訴訟等の手続の帰すう
12.否認権行使の期間
13.否認権保全のための保全処分
Ⅴ 法人の役員の責任の追及
1.意義
2.対象となる役員の範囲,責任原因
3.手続
4.役員の財産に対する保全処分
第8章 再生債務者に対する債権の取扱い等
Ⅰ 再生債権
1.再生債権の意義と再生債権者の地位
2.再生債権の弁済等の禁止
3.弁済禁止の例外
4.再生債権を自働債権とする相殺
5.再生債権を受働債権とする相殺
6.再生債権の届出
7.再生債権の調査
8.再生債権に異議等がある場合の手続
9.債務者が複数いる場合の再生債権の取扱い
10.罰金等の債権の取扱い
11.劣後的に扱われる再生債権
12.約定劣後再生債権の取扱い
13.代理委員
Ⅱ 共益債権
1.共益債権の意義と範囲
2.共益債権の取扱い
3.共益債権について再生債務者のために弁済をした第三者がこれにより代位取得した債権を共益債権として再生手続によらずに行使することの可否
Ⅲ 一般優先債権
1.一般優先債権の意義と範囲
2.一般優先債権の取扱い
3.一般優先債権について再生債務者のために弁済をした第三者がこれにより代位取得した債権を一般優先債権として再生手続によらずに行使することの可否
Ⅳ 開始後債権
1.開始後債権の意義と範囲
2.開始後債権の取扱い
Ⅴ 株主と労働組合
1.株主
2.労働組合等
第9章 再生手続における担保権の取扱い
Ⅰ 別除権に関する制度の概要
1.別除権の意義
2.制度の概観
3.別除権の行使と受戻し
4.対抗要件具備の必要性
5.再生計画の影響
Ⅱ 各種の担保権の再生手続中での扱い
1.別除権となる担保権
2.特別の先取特権
3.質権
4.抵当権
5.民法上の留置権(民事留置権)
6.商法又は会社法上の留置権(商事留置権)
7.仮登記担保
8.譲渡担保
9.所有権留保
10.ファイナンス・リース
Ⅲ 別除権で担保された再生債権の行使
1.再生債権の届出と不足額責任主義
2.再生債権の内容と議決権額の確定
3.再生計画における別除権付き再生債権の扱い
4.不足額の確定
5.再生債権の行使
6.根抵当権についての特則
Ⅳ 別除権協定
1.意義
2.別除権協定の内容
3.別除権協定のメリット
4.別除権協定締結に当たっての留意点
5.別除権協定に基づく支払
Ⅴ 担保権消滅許可の制度
1.意義
2.類似の制度との比較
3.対象となる財産
4.対象となる担保権
5.担保権消滅許可の申立てとその裁判
6.価額決定請求
7.価額に相当する金銭の納付
8.配当
9.再生手続が終了した場合
第10章 再生計画案の策定
Ⅰ 再生計画の意義等
Ⅱ 絶対的必要的記載事項
1.意義
2.全部又は一部の再生債権者の権利の変更に関する定め
3.共益債権及び一般優先債権の弁済に関する定め
Ⅲ 相対的必要的記載事項
1.意義
2.知れている開始後債権の内容に関する定め
3.債権者委員会の費用の負担に関する定め
4.債務の負担及び担保の提供に関する定め
5.未確定の再生債権に関する定め
6.別除権付き再生債権の未確定不足額に関する定め
7.再生計画によって影響を受けない権利の明示
Ⅳ 任意的記載事項
1.意義
2.資本金の額の減少等に関する定め
3.募集株式を引き受ける者の募集に関する定め
4.根抵当権の極度額超過額の仮払いに関する定め
Ⅴ 説明的記載事項
Ⅵ 再生計画の実際
1.弁済の原資と再生計画
2.再生債務者の将来の事業収益を弁済原資とするスキーム
3.再生債務者以外の者が拠出する資金を弁済原資とするスキーム
4.再生債務者の財産を換価,処分して弁済原資を得るスキーム
第11章 再生計画の成立
Ⅰ 再生計画案の提出
1.提出権者
2.提出時期
3.提出期間の伸長
4.再生計画案の事前提出
5.再生計画案草案の提出
6.再生計画案に対する監督委員の意見書の提出
7.再生債権者に対する再生計画案の説明
8.再生計画案の修正
Ⅱ 再生計画案の決議
1.再生計画案の付議
2.議決権行使の方法
3.決議のための債権者集会
4.書面等投票のみによる場合
5.社債権者の取扱い
6.再生計画案が可決された場合の法人の継続
Ⅲ 再生債権者から再生計画案が提出された場合の諸問題
1.実務の現状
2.再生債権者が再生計画案を提出する場合の法的制約
3.複数の再生計画案の間の調整
4.再生債務者による再生債権者提出案の拒絶と遂行可能性
5.決議の工夫
Ⅳ 再生計画の認可
1.不認可事由
2.決定の手続
3.即時抗告
Ⅴ 再生計画の効力
1.再生計画の効力発生時期と効力の及ぶ範囲
2.再生債権の変更と再生債務者の免責
3.再生債権者表の記載の効力
4.相対的必要的記載事項及び任意的記載事項の効力
5.中止していた手続の失効
Ⅵ 再生計画の不認可
第12章 再生計画成立後の手続
Ⅰ 再生計画の遂行とその監督
1.再生計画の遂行
2.再生計画遂行の監督
3.担保提供命令
Ⅱ 再生計画の変更
1.意義
2.要件
3.手続
4.即時抗告
5.効力
Ⅲ 再生手続の終結
1.再生手続終結決定の時期
2.手続
3.再生手続終結決定の効力
第13章 再生手続の廃止と再生計画の取消し
Ⅰ 再生手続廃止の意義
Ⅱ 再生計画成立前にその成立の可能性がなくなった場合の廃止
1.廃止の事由
2.手続
Ⅲ 再生計画成立前に再生手続開始の原因がないことが明らかになった場合の廃止
1.趣旨
2.手続
Ⅳ 再生債務者の義務違反による廃止
1.趣旨
2.廃止の事由
3.手続
Ⅴ 再生計画成立後にその遂行の見込みがないことが明らかになった場合の廃止
1.趣旨
2.再生計画の「遂行」の意味
3.手続
Ⅵ 再生手続廃止の効力等
1.再生手続廃止決定の公告,即時抗告
2.再生手続廃止の効力
3.破産手続への移行
Ⅶ 再生計画の取消し
1.意義
2.取消しの事由
3.手続
4.再生計画の取消しの効力
5.破産手続への移行
6.実務の現状
第14章 簡易再生,同意再生
Ⅰ 簡易再生
1.意義
2.簡易再生の申立て
3.簡易再生の決定
4.債権者集会
5.再生計画の認可
6.簡易再生の運用
Ⅱ 同意再生
1.意義
2.同意再生の申立て
3.同意再生の決定
4.同意再生の運用
第15章 他の倒産手続と再生手続との関係
Ⅰ 清算型倒産処理手続から再生手続への移行
1.清算型倒産処理手続に対する再生手続の優先
2.清算型倒産処理手続の係属中に再生手続が開始された場合の規律
Ⅱ 再生手続から更生手続への移行
1.再生手続に対する更生手続の優先
2.再生手続係属中に更生手続が開始された場合の規律
Ⅲ 再生手続から破産手続への移行
1.再生手続から破産手続へ移行する場合
2.保全管理命令,包括的禁止命令,その他の保全処分
3.再生債権の破産手続における取扱い
4.共益債権の破産手続における取扱い
5.一般優先債権の破産手続における取扱い
6.否認権,相殺に関する調整
7.係属中の各種手続の帰すう
第16章 住宅資金貸付債権に関する特則
Ⅰ 特則の意義,概要
1.特則の意義
2.特則の概要
Ⅱ 特則が利用できる場面
1.一般的要件
2.住宅資金特別条項が定められない場合
3.住宅資金特別条項の適用が問題となる例
Ⅲ 住宅資金特別条項の類型
1.概説
2.各類型の内容
Ⅳ 住宅資金貸付債権の調査・確定
Ⅴ 住宅資金特別条項を定めた再生計画
1.再生計画案の提出
2.再生計画案の決議
2.再生計画の認可
4.再生計画の効力
Ⅵ 保証会社の代位弁済がある場合の処理(いわゆる巻戻し)
1.趣旨
2.巻戻しが認められる場合
3.巻戻しの効果
Ⅶ 抵当権の実行手続の中止命令等
1.抵当権の実行手続の中止命令
2.住宅資金貸付債権の一部弁済許可
第17章 個人再生手続
Ⅰ 個人再生手続の概要
1.個人再生手続の意義
2.通常の再生手続と小規模個人再生の相違点
3.給与所得者等再生と小規模個人再生の相違点
4.手続の選択と実務の現状
5.手続の流れと標準スケジュール
6.個人再生委員
Ⅱ 小規模個人再生
1.再生手続の開始
2.再生債権の調査
3.再生債務者の財産の調査・確保
4.再生計画案の決議
5.再生計画の認可
6.再生手続の終結
7.再生手続の廃止
8.再生手続終結後の措置
9.小規模個人再生において適用が除外される規定
Ⅲ 給与所得者等再生
1.再生手続の開始
2.再生債権の調査と再生債務者の財産の調査
3.再生計画案に対する意見の聴取
4.再生計画の認可
5.再生手続の終結
6.再生手続の廃止
7.再生手続終結後の措置
8.給与所得者等再生において適用,準用が除外される規定
事項索引
判例索引
奥付