- 発売日
- 2024年05月05日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 日本社会保障法学会
憲法や行政・生活保障等を視点に置き、密接な諸学との学際的協働の可能性を探りつつ、学会活動の現在の到達点を示す。
目次
表紙
刊行の趣旨
目次
第1章 社会保障法の目的・理念と体系 菊池馨実
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会保障法学の展開と基礎理論
1 草創期
2 形成期
3 発展期
Ⅲ 主な基礎理論
1 荒木説
2 倉田説
3 河野説
4 菊池説
Ⅳ 関連分野と社会保障法
1 医療保障法・健康保障法
2 住宅保障法・住居保障法
3 生活保障法
Ⅴ 基礎理論の意義と可能性
Ⅵ むすびにかえて
第2章 社会保障法と憲法 丸谷浩介
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会保障法における憲法の展開
1 生存権論
2 裁判規範としての憲法25条
3 平等
4 個人の尊重
5 財産権
6 財政立憲主義
Ⅲ 裁量統制規範としての憲法
1 行政裁量と立法裁量
2 行政裁量統制規範としての憲法
3 立法裁量統制規範としての憲法
Ⅳ 立法政策策定指針としての憲法
1 憲法価値を実現する立法裁量
2 ライフスタイル中立性
Ⅴ おわりに
第3章 社会保障制度の設計主体と実施主体 太田匡彦
Ⅰ はじめに―社会保障制度の設計と実施、主体の区分
1 社会保障制度
2 設計と実施
3 設計主体と実施主体―考察対象の特定
4 二つの主体区分の関係と交錯
Ⅱ 社会保障制度の設計主体
1 国
2 地方公共団体―「地域における事務」としての社会保障
3 社会保障制度独自の実施主体
4 設計権限行使の前提としての財源
Ⅲ 社会保障制度の実施主体
1 通覧
2 特色
第4章 生活保障における公私の役割 笠木映里
Ⅰ はじめに―課題の設定
Ⅱ 公的生活保障と私的生活保障の関係・調整
1 多様な私的生活保障の類型と公的生活保障との関係・調整
2 稼働所得・資産
3 過失責任を基礎とする損害賠償・補償請求権
4 家族による扶養・ケア
5 私的生活保障としての地域社会?
Ⅲ 公的生活保障の内部への私的主体の参加
1 公的組織と私的主体の協働
2 サービス提供主体に対する多様な法規制
3 社会保障給付の内容・水準の決定への私的主体の参加
Ⅳ おわりに
第5章 社会保障の権利 山下慎一
Ⅰ 本章の目的
Ⅱ 「権利」行使の前提―社会保障の情報提供義務
1 沿革―永井訴訟控訴審
2 「条理」に基づく情報提供
3 医療法人のケアマネジャーの説明義務
4 小括―「実態」に基づく情報提供義務
Ⅲ 「権利」解釈の他分野への滲出―「配偶者」概念
1 沿革―農林漁業共済と重婚的内縁
2 中小企業退職金共済法上の「配偶者」概念
3 小括―実態の重視と他領域の法原理との抵触
Ⅳ 「実態」への行政的適応―労災保険と震災・感染症
1 沿革―労災保険と天災地変
2 東日本大震災
3 新型コロナウイルス感染症
4 小括―行政による災害「実態」への機動的対応
Ⅴ 「実態」への対応と司法的統制―生活保護基準をめぐる訴訟
1 沿革―朝日訴訟から堀木訴訟へ
2 老齢加算廃止訴訟
3 生活保護基準減額改定訴訟
4 小括―朝日最判傍論・堀木最判の克服と手続的統制
Ⅵ 総括―「社会保障の権利」の現在と将来
1 社会保障の権利の現代的特質
2 社会保障法学に求められること
第6章 社会保障の被保障者 片桐由喜
Ⅰ はじめに―「被保障者」とは
Ⅱ 救貧立法における被保障者
1 近代国家における救貧立法
2 日本国憲法と生活保護法
Ⅲ 社会保険制度における被保障者
1 医療保険制度の被保障者
2 年金制度の被保険者
3 勤労者皆保険制度に向けて―非正規労働者の包摂
Ⅳ 社会保障受給権の主体
1 受給権の性質―恩恵から権利へ
2 受給権の主体
Ⅴ おわりに
第7章 社会保障の保障方式 国京則幸
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会保障の保障方式
1 保障方式とは
2 社会保険方式と社会扶助方式
Ⅲ 社会保障の給付と保障方式
1 医療保障における保障方式
2 所得保障における保障方式
Ⅳ 新しい保障方式の展開?
1 給付付き税額控除
2 社会保障と税制―保障方式の議論の一環として
Ⅴ おわりに
第8章 社会保障の給付 中野妙子
Ⅰ はじめに
Ⅱ 普遍主義と選別主義―社会保障の方法との関連性
1 普遍主義と選別主義
2 社会保険と普遍主義
Ⅲ 社会保険の給付要件としての所得・資産の考慮とその問題点
1 介護保険における所得段階別の利用者負担
2 介護保険の補足給付における資産の考慮
Ⅳ おわりに
第9章 社会保障サービスの提供組織 石田道彦
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会保障サービス提供体制の展開
1 医療
2 福祉サービス
3 サービス提供組織の規整
Ⅲ 医療提供組織の法的規整
1 医療機関に対する法的規整
2 公的医療機関の役割
3 機能分化と連携のための法的規整
Ⅳ 介護サービス提供組織の法的規整
1 介護サービスの質の確保における重層構造
2 社会福祉法人の役割
3 介護サービス供給確保のための法的規整
Ⅴ 社会保障サービスの提供組織に関わる横断的課題
1 地域医療連携推進法人と社会福祉連携推進法人
2 社会保障サービス提供組織のガバナンス
第10章 社会保障の財政 嵩さやか
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会保険料と負担能力
1 検討の枠組み
2 保険料と応能負担
3 保険料の軽減・免除
Ⅲ 社会保険における公費負担
1 社会保険方式と税方式
2 社会保険における公費負担の意義
3 公費負担の限界
Ⅳ 社会保険における財政調整
1 社会保険における財政調整をめぐる問題性
2 財政調整に充てられる保険料と租税法律主義による規律
3 一方的な財政調整の合理性
Ⅴ おわりに
第11章 社会保障と行政計画 田中伸至
Ⅰ 本章の目的と構成
Ⅱ 視点と検討対象
Ⅲ 現況
1 介護保険法
2 老人福祉法
3 障害者総合支援法
4 子ども・子育て支援法
5 医療法
6 医療介護総合確保法
7 高齢者医療確保法
8 政策的意義と特徴
Ⅳ 歴史
1 略史
2 背景と歴史的意義
Ⅴ 論点
1 医療法
2 介護保険法
3 医療介護総合確保法
4 高齢者医療確保法
5 法的効果
Ⅵ 課題
第12章 社会保障における権利擁護・救済 西田和弘
Ⅰ 総論的検討
1 はじめに
2 社会保障における権利擁護の概念
3 権利擁護のシステム
Ⅱ 各論的検討
1 狭義の権利擁護システム
2 広義の権利擁護システム
3 地域における権利擁護の基盤整備(重層的支援体制)
Ⅲ 権利救済手続
1 行政不服審査
2 訴訟
Ⅳ むすび
第13章 社会保障と情報 原田啓一郎
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会保障における情報提供
1 社会保障における情報提供の意義
2 社会保障制度に関する情報の提供
3 社会保障サービスに関する情報の提供
4 加入者個人に関する情報の提供
5 情報提供と情報アクセシビリティ
Ⅲ 社会保障における個人情報とプライバシー保護
1 社会保障と個人情報・プライバシー
2 社会保障における個人情報の保護
3 社会保障における情報共有と個人情報の保護
4 社会保障における個人情報とプライバシー保護の意義
Ⅳ デジタル社会における社会保障と情報―現在地と今後の課題
1 健康・医療・介護情報の利活用
2 プッシュ型の情報提供・行政サービスと社会保障
3 社会保障におけるAI の利活用
Ⅴ おわりに
第14章 社会保障法に関連する法領域 小西啓文
Ⅰ はじめに
Ⅱ 行政法は社会保障法の覇者か?
1 行政法と社会保障法の関係性
2 社会保障法における行政法の課題
3 塩野宏「補助金交付決定をめぐる若干の問題点」からみる議論の神髄
Ⅲ 民法は社会保障法の救世主か?
1 従来からの議論
2 社会福祉基礎構造改革
3 福祉契約に対する行政法学者からのアプローチ
4 福祉契約に対する民法学者からのアプローチ
5 福祉契約に対する社会保障法学者からのアプローチ
Ⅳ 労働法が社会保障法の生みの親か?
1 介護労働者と法
2 ホームヘルパー国賠訴訟
Ⅴ 学際的協同の可能性―若干の検討
1 守備範囲の確認
2 「相談支援」について
3 諸法からみた「相談支援」試論
4 むすびにかえて
第15章 社会保障法に隣接する諸学 西村淳
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会福祉学
1 社会福祉学の方法
2 具体的な研究事例
3 社会福祉学と社会保障法学
Ⅲ 経済学
1 経済学の方法
2 具体的な研究事例
3 経済学と社会保障法学
Ⅳ 哲学
1 法哲学の方法
2 具体的な研究事例
3 哲学と社会保障法学
執筆者紹介
奥付