- 発売日
- 2021年02月25日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 上林陽治
官製ワーキングプアを一層深める会計年度任用職員制度等、社会を支える不可欠な存在である非正規公務員の深刻な現実を抉り出す。
目次
表紙
はじめに
目次
凡例
第一部 非正規公務員のリアル
第1章 ハローワークで求職するハローワーク職員──笑えないブラックジョークに支配される現場
一 期間業務職員制度と公募試験
二 仕事と切り離された資格
三 ハローワーク職員の三人に二人は非正規公務員
四 仕事は増えている中での非正規相談員の大量雇止め
五 誰かが雇止めになるという修羅場
六 コロナ禍のハローワークと非正規相談員
七 求められる「公共サービスの動機」
第2章 基幹化する非正規図書館員
一 職務無限定=ジェネラリスト型人事運用の限界
二 図書館の臨時・非常勤職員、非正規労働者
三 急速に進む図書館の非正規化
四 専任職員の素人化、非正規の図書館員の基幹化
五 戦力化・基幹化する非正規図書館員
第3章 就学援助を受けて教壇に立つ臨時教員──教室を覆う格差と貧困
一 進む教員の非正規化と雇用劣化
二 劣悪な処遇であることの要因
三 教員定数に生じた空白を埋める
四 定数内臨時教員
五 定数崩し
六 年齢構成是正の調整弁
七 生活保護を受給して教壇に立つ非常勤講師
第4章 死んでからも非正規という災害補償上の差別
一 ある女性家庭児童相談員の自死
二 複雑な非正規公務員の災害補償の仕組み
三 死んでからも非正規という差別構造
四 負担金逃れの制度化──公務災害実務担当者を支配する公法私法二元論
五 災害補償・労働安全衛生における正規・非正規間格差
第5章 エッセンシャルワーカーとしての非正規公務員──コロナ禍がさらす「市民を見殺しにする国家」の実像
一 シュール(不条理)なほど低所得の仕事
二 コロナ感染リスクと非正規公務員・労働者
三 相談崩壊
四 新型コロナ対策における制度上・運用上の問題の露呈
五 市民を見殺しにする国家
第二部 自治体相談支援業務と非正規公務員
第6章 自治体相談支援業務と専門職の非正規公務員
一 地方自治体に押し寄せる相談窓口
二 社会の危機と相談支援業務
三 専門職化・非正規化する相談員
四 地方自治体側の対応
五 周辺化された相談業務、非正規化する相談員
六 迫られるメンバーシップ型人事制度の変更
第7章 非正規化する児童虐待相談対応──ジェネラリスト型人事の弊害
一 市町村児童虐待担当窓口と家庭児童相談員
二 市区町村の児童虐待対応という新規行政需要
三 市区町村児童虐待対応と専門職としての非正規公務員という問題
四 非専門的で業務経験の浅い正規職員で構成される児童相談所
五 二〇一六年改正児童福祉法──市区町村の「子ども家庭総合支援拠点」
六相談支援業務が非正規化する理由
第8章 生活保護行政の非正規化がもたらすリスク
一 市民を死に追いやる情報共有の欠落
二 非正規化する生活保護行政の面接相談員
三 生活保護担当面接相談員──非正規化の実情
四 生活保護面接相談員の非正規化、なぜ
五 日本型雇用システムがもたらす専門職の非正規化
六 非正規化が拡張する生活保護行政
第9章 相談支援業務の専門職性に関するアナザーストーリー
一 見聞きすれど認識せず──秋田県藤里町社会福祉協議会の取り組み
二 抱える困難を腑分けする──滋賀県野洲市市民生活相談課の取り組み
三 全庁的総合相談の進化系──足立区の自殺対策の取り組み
四 韓国・ソウル市の「出かける福祉」という選択肢
五 専門職公務員の再評価
第三部 欺瞞の地公法・自治法改正、失望と落胆の会計年度任用職員制度
第10章 深化する官製ワーキングプア──とまらない非正規化、拡大する格差
一 政府方針としての「同一労働同一賃金」
二 官製ワーキングプアの拡大
第11章 隠蔽された絶望的格差──総務省「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」報告
一 地方の非正規公務員の任用・処遇をめぐる検討経過
二 総務省「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」報告
三 欺瞞を生んだ絶望的な格差
第12章 欺瞞の地方公務員法・地方自治法改正
一 幻の地公法等改正原案──給与体系の統一
二 変節過程
三 労働時間差別の合法化
四 権利剥奪の立法化
五 希求される事業主たる地方自治体への処遇改善の義務付け
第13章 不安定雇用者による公共サービス提供の適法化
一 会計年度任用職員とはなにか
二 自治法上の常勤・非常勤の区分要素
三 特別職非常勤職員、臨時的任用職員、一般職非常勤職員はどうなるのか
第14章 失望と落胆の会計年度任用職員制度
一 パート化圧力
二 パートの会計年度任用職員だけ異なる給与体系
三 期末手当支給分の月例給を下げる措置
四 公募試験による雇止め──制度化されたパワハラ
五 「職」の整理という名の排除
六 地方交付税措置による財源の流用
七 似非同一労働同一賃金を促進した国(総務省)のマニュアル
八働かせる側の改革の必要性
第四部 女性非正規公務員が置かれた状況
第15章 女性活躍推進法と女性非正規公務員が置かれた状況
一 女性活躍推進法・特定事業主行動計画から抜け落ちる女性非正規公務員
二 女性非正規公務員に依存する地方自治体
三 ケアワークと女性の非正規公務員の親和性──性別・職種別非正規公務員割合
四 間接差別
五 マタニティーハラスメントの制度化
第16章 女性を正規公務員で雇わない国家の末路
一 日本型雇用システムの下での女性の正規公務員の離職
二 非正規公務員増加の理由
三 女性職種化を伴う非正規化
四 女性を正規で雇わない国家の末路
五 社会改革の肝としての非正規公務員問題
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