BUSINESS LAWYERS LIBRARY

判例から探る不利益変更の留意点[第2版]

発売日
2023年02月20日
出版社
経団連出版
編著等
河本 毅、弁護士法人番町総合法律事務所

本書は、一体どのような場合に、どういったプロセスを踏み、どの程度会社のルールを変えていいのか、という疑問について、できるだけ背景事情も含め紹介を試みました。その前提としての、労働関係法にかかる原則論はもちろんのこと、近時の働き方改革関連法、同一労働・同一賃金にかかわる事例も取り上げており、労働条件変更を検討する際の参考書として好適です。不利益変更法理の実務上の取り扱い、どうすれば合理性ありと判断されるのか、労使トラブルを未然に防止する手段など、170のQ&Aで紛争回避の具体例を詳説します。

目次

表紙

はしがき

はじめに[第1版はしがき]

凡例

目次

Ⅰ 労働契約法の概要と制定に至る歴史的変遷

Q1 労働契約法 労働契約法とはどのような法律か

Q2 江戸時代の労働契約法制 江戸時代の労働契約法制はどのようになっていたか

Q3 江戸時代の集団的労使関係法制 江戸時代の集団的労使関係法制はどのようになっていたか

Q4 明治期の労働契約法制 明治期の労働契約法制はどのようになっていたか

Q5 旧民法 旧民法で労働契約はどのように定められていたか

Q6 法典論争 法典論争とはどのようなものであったか

Q7 現行民法 現行民法の労働契約はどのように定められているか

Q8 戦前の労働者保護法 戦前の労働者保護法はどうなっていたか

Q9 戦後の労働者保護法 戦後の労働者保護法はどのようになっているか

Q10 強制労働 強制労働とは何か。どのように規制されているか

Q11 芸娼妓契約 芸娼妓契約とは何か。どのような法律問題があるか

Q12 明治以降の集団的労使関係法制 明治以降の集団的労使関係の規制はどのようだったか

Q13 戦後の集団的労使関係法制 戦後の集団的労使関係法制はどのようになっているか

Q14 比較法 諸外国では労働契約はどのように扱われているか

Ⅱ 労働契約の規制

Q15 労働契約の規制態様 労働契約の規制は何によってなされるか

Q16 法令上の規制 労働契約の法令上の規制には、どのようなものがあるか

Q17 労働協約上の規制 労働協約とは何か。どのような法規制がなされているか

Q18 労使協定・労使委員会決議 労使協定、労使委員会決議とは何か。労働協約とどんな違いがあるか

Q19 労働協約の法的性格 労働協約に法的効力が認められる根拠として、どのようなものがあるか

Q20 労働協約の効力 法令や就業規則との対比で、労働協約の形式的効力はどうなるか

Q21 労働協約の要式性 労働協約の要式性とは何か。なぜ求められているのか

Q22 労働協約の書面化または記名押印の存否 書面化または記名押印がなされている場合とそうでない場合とをどのように見分けるか

Q23 「往復文書」「議事録確認」の取扱い 往復文書や議事録確認は労働協約といえるか

Q24 法的効力 書面化または記名押印を欠く労使合意に

Q25 労働協約の失効 労働協約の法的効力を失わせるにはどうするか

Q26 解約の範囲 労働協約の解約事由に制限があるか。また一部解約が許されるか

Q27 就業規則上の規制 就業規則とは何か。どのような法的規制があるか

Q28 就業規則の記載事項 就業規則にはどのような事項を定めるのか

Q29 就業規則の法的性格 就業規則に法的効力を認めるのは、どのような根拠があるか

Q30 就業規則の効力 法令や労働協約および労働契約との対比で、就業規則の形式的効力はどうなるか

Q31 就業規則作成の必要性 就業規則を作成する必要があるのはどのような場合か

Q32 就業規則の範囲 就業規則本体以外に付属規定、内規等の規定形式がある場合、これらに法的効力はあるか

Q33 同意の要否 就業規則の作成に従業員の同意は必要か

Q34 意見表明拒否 従業員代表が意見表明や署名・記名押印を拒否した場合の対応はどうするか

Q35 従業員代表適格 従業員代表になるにはどのような要件が必要か

Q36 意見聴取の欠缺 従業員代表の意見聴取がなされなかった就業規則の効力はどうなるか

Q37 就業規則届出の必要性 就業規則の届出手続きを欠いた場合の就業規則の効力はどうなるか

Q38 就業規則周知の必要性 就業規則の周知がなされなかった場合の就業規則の効力はどうなるか

Q39 周知の方法・程度 就業規則の周知の方法・程度はどのようであるべきか

Q40 労働契約上の規制 労働契約上、従業員の処遇をするにあたって留意すべき点は何か

Q41 労働契約の方式 労働契約にはどのような類型が考えられるか

Q42 労働契約の内容 労働契約の内容的な有効要件は何か。また労働契約に明確性が欠けている場合はどうするか

Q43 労使合意の範囲 労使合意の範囲で問題になることはあるか

Ⅲ 労働条件の不利益変更

Q44 労働協約の不利益変更 労働協約により労働条件を不利益に変更することはできるか

Q45 判断基準 労働協約による労働条件の不利益変更に際して、どのような点を配慮したらよいか

Q46 有利原則 労働協約より有利な労働契約上の合意は有効か

Q47 労働協約の拡張適用論 労働協約の不利益変更は非組合員にも効力が及ぶか

Q48 その余の限界 多数組合が締結した労働協約の効力(別組合の組合員または出向中の非組合員に対する効力)

Q49 手続き的合理性 労働協約の不利益変更について、当該労働協約の作成過程が斟酌されることはあるか

Q50 使用者の関与 使用者は不利益変更を内容とする労働協約の成立過程に関与できるか

Q51 数量的合理性 労働協約の不利益変更の合理性判断に際し、その賛否の人数比を斟酌できるか

Q52 余後効論 労働協約が失効した場合に、それまでの労働条件はどうなるのか

Q53 就業規則の不利益変更 就業規則による労働条件の不利益変更は許されるか

Q54 合理性の判断基準 就業規則による労働条件不利益変更を適法化する合理性の判断基準はどのようなものか

Q55 不利益変更の必要性 労働条件不利益変更が適法と評価されるための「使用者側の変更の必要性」について、裁判例はどのように判断しているか

Q56 不利益の存否・程度 労働条件不利益変更の不利益について、裁判例はどのように判断しているか

Q57 代償措置 代償措置とは何か。限界はあるか

Q58 経過措置 経過措置とは何か。限界はあるか

Q59 手続き的合理性 就業規則の手続き的合理性とは何か

Q60 近時の裁判例 就業規則不利益変更を争った近時の裁判例は、どのように判断しているか

Q61 公営企業 公営企業の場合、就業規則の不利益変更はどのような法理で対応されるか

Q62 労働契約の不利益変更 労働契約の内容を一方的に変更することはできるか

Q63 労働契約の瑕疵 労働契約の変更に関する当事者の意思表示に瑕疵があった場合に、その法的効力はどうなるか

Q64 労使慣行による不利益変更 労使慣行とは何か。それが法的拘束力を有するにはどのような要件が必要か

Q65 不利益変更例 労使慣行の不利益変更は許されるか。どのような要件が求められるか

Q66 労使慣行の改廃 労使慣行の改廃は許されるか。その場合に手続き的制約はあるか

Q67 労使慣行の法適合性 労使慣行の法適合性とは何か

Q68 黙示の合意による不利益変更 黙示の合意とは何か。就業規則と抵触しないか

Q69 賃金引下げ(減額) 賃金引下げ(減額)はできるか

Q70 対象者の同意 賃金引下げ(減額)に労働者の同意はどのような意味をもつか

Q71 書面化の要請 賃金引下げ(減額)の同意書を徴取する必要はあるか。徴取できなかった場合どうするか

Q72 近時の裁判例 賃金引下げ(減額)について、近時の裁判例はどのように判断しているか

Q73 変更解約告知論 変更解約告知とは何か。裁判例ではどのように扱われているか

Q74 身分の変更 労働者の労働契約上の身分を変更し、これによって間接的に賃金引下げ効果を生じさせることは許されるか

Q75 留保付き承諾 留保付き承諾とは何か。どのように対応すべきか

Q76 固定残業代 固定残業代とは何か。有効要件は何か

Q77 固定残業代制度の導入 固定残業代制度を新たに導入することができるか

Ⅳ 賃金の不利益変更

Q78 昇給(昇格)の停止 昇給・昇格の抑制または停止、すなわち賃金の現状維持や据置きは自由にできるか

Q79 管理職賃金の引下げ 管理職賃金の引下げ(減額)は自由にできるか。自主返上・管理職手当の放棄は可能か

Q80 降格・降職の意義、類型 降格・降職とは何か。どんな類型があるか

Q81 懲戒処分としての降格・降職 懲戒処分としての降格・降職で注意すべきことは何か

Q82 人事権行使としての降格・降職 人事権行使としての降格・降職で注意すべきことは何か

Q83 資格等級の降格 資格等級の降格について裁判例はどのように判断しているか

Q84 職制上の役職降格 職制上の役職降格について裁判例はどのように判断しているか

Q85 役員報酬の減額 会社役員の報酬の決定・減額について、裁判例ではどのように取り扱われているか

Q86 従業員兼務役員 従業員兼務役員の報酬の減額は自由になしうるか

Q87 賞与・一時金の抑制、減額 賞与・一時金の抑制、減額は自由になしうるか

Q88 人事院勧告の拘束力 人事院勧告は私企業における賞与支給(減額)の目安になるか

Q89 能力給の導入 年齢給、年功序列型賃金制度から能力給、職能給型賃金制度への変更は不利益変更の問題を生じさせるか

Q90 裁判例 能力給型賃金制度への変更について、裁判例はどのように判断しているか

Q91 運用上の合理性 能力給型賃金制度の運用において留意すべきことは何か

Q92 年俸制 年俸制で、期間途中の賃金額の変更はできるか

Q93 合意の未成立 年俸額で労使合意に至らない場合、どうするか

Q94 合意の存否 年俸制の従業員が出向後に賞与差額を請求したり、賃金差額を請求することはできるか

Q95 減額の限界 年俸制で年俸額の減額はできるか

Q96 懲戒処分としての減給 懲戒処分として減給を行う場合に限度はあるか

Q97 減給の効力 減給の効力を判断する留意点は何か

Ⅴ 退職金の不利益変更

Q98 退職金請求権の存否 退職金とは何か。使用者が支払義務を負うのはどんな場合か

Q99 退職金の不利益変更 退職金の不利益変更は許されるか

Q100 近時の裁判例 退職金の不利益変更に関する近時の裁判例はどのようなものか

Q101 退職金の法的性格 退職金の法的性格に関する議論とは何か

Q102 発生時期論 退職金の発生時期に関する議論とは何か

Q103 退職金の確定性 退職金は労基法11条所定の「賃金」や同法24条所定の「臨時の賃金等」に当たるか

Q104 執行役員等の退職金 執行役員等の退職金で留意すべきことは何か

Q105 役員の退職慰労金 役員の退職慰労金を内規によって減額することはできるか

Ⅵ 企業年金の不利益変更

Q106 企業年金 企業年金とは何か。どのような種類があるか

Q107 確定拠出年金 確定拠出年金とはどのようなものか

Q108 確定給付企業年金 確定給付企業年金とはどのようなものか

Q109 企業年金の法的性格 企業年金の法的性格をどう考えたらよいか

Q110 企業年金の不利益変更 企業年金の不利益変更に関する裁判例には、どのようなものがあるか

Q111 自社年金の変更 企業年金の不利益変更例のうち、自社年金に関してどのような紛争があるか

Q112 退職者の請求 自社年金の不利益変更例で、退職者の請求事案としてどのような紛争があるか

Q113 年金の清算 年金を廃止し、その際に一時金で清算することは許されるか

Q114 減額規定の不存在 企業年金の改廃規定が存在しない場合に、その改廃は許されるか

Q115 受給権の侵害 企業年金の受給権が侵害された場合はどうなるか

Q116 公的年金の不利益変更 公的年金の不利益変更に関する紛争の特色は何か

Q117 調整規定の効力 公的年金の重複支給の調整規定の効力はどうか

Q118 公的年金の不利益変更例 公的年金の平均3割の年金水準の引下げと受給者・受給待機者の支給額減額は許されるか

Q119 処分係争例 公的年金規約の変更に不服がある場合に、どのような訴訟が生じるか

Q120 年金制度の移換 公的年金制度の移換に伴う紛争にはどのようなものがあるか

Q121 適格退職年金の解約・廃止 適格退職年金の解約、廃止に伴う紛争ではどのような点が争点になるか

Q122 契約当事者性 契約当事者性を争う裁判例には、どのようなものがあるか

Q123 解約の限界 解約の限界を争う裁判例には、どのようなものがあるか

Q124 解約返戻金の調整 解約返戻金の調整に関する裁判例には、どのようなものがあるか

Q125 年金資産の管理運用 企業年金資産の管理運用に関する争訟とは何か。どのような点が争われるか

Q126 企業年金保険契約の成否 企業年金保険契約の成否に関する裁判例には、どのようなものがあるか

Q127 合同運用義務 合同運用義務には、どのような裁判例があるか

Q128 適切な助言をする義務 適切な助言をする義務には、どのような裁判例があるか

Q129 ガイドライン遵守義務 ガイドライン遵守義務には、どのような裁判例があるか

Ⅶ 定年制の不利益変更

Q130 定年制 定年制は法律ではどうなっているか

Q131 定年制と就業規則 定年制は就業規則に定める必要があるか

Q132 定年制の合理性 定年制に合理性はあるか

Q133 定年制に関する裁判例 裁判例は定年制の合理性について、どのような判断をしているか

Q134 定年制の変更 定年制の不利益変更とは何か。どのように判断されるか

Q135 定年制の新設 定年制の新設は許されるか

Q136 合理性がなく違法とされた例 定年制の不利益変更に合理性がなく、違法・無効とされた裁判例には、どのようなものがあるか

Q137 合理性があり適法とされた例 定年制の不利益変更に合理性があり、適法・有効とされた裁判例には、どのようなものがあるか

Q138 役職定年制 役職定年制は合理的か

Q139 その他の裁判例 高齢従業員の処遇に関する裁判例には、そのほかにどのようなものがあるか

Q140 高年法と定年制 高年法は定年制についてどのような定めをしているか。どのように改正されてきたか

Q141 雇用延長義務の法的性格 高年法の雇用延長義務の法的性格はどのようなものか

Q142 高年法の改正 高年法の令和3年改正の骨子は何か

Q143 制度の合理性 雇用延長ないし継続雇用制度に限界はあるか

Q144 運用の適正性 雇用延長制度の運用上の限界はあるか

Q145 高年法違反の効力 高年法違反の法的効力はどのようになるか

Ⅷ その他の労働条件の不利益変更

Q146 労働時間の変更 労働時間の不利益変更は許されるか

Q147 試用期間の新設 試用期間の新設は許されるか

Q148 人事異動規定の新設 配転、出向、転籍等人事異動の規定の新設は許されるか

Q149 競業避止条項の新設 競業避止義務規定の新設は許されるか

Q150 勤務体制の変更 勤務体制の変更は一方的に行えるか

Q151 地方公務員等の勤務変更 地方公務員や地方公営企業職員の二交替勤務制の導入は許されるか

Q152 休職要件の変更 休職要件の変更は許されるか

Q153 服務規律に関する取扱いの変更 服務規律に関する取扱いの変更は許されるか

Q154 賃金計算方法等の変更 賃金の計算方法の変更は一方的に行えるか

Q155 諸手当等の変更 諸手当等の支給要件や支給率、支給額の変更は許されるか

Q156 退職金不支給、減額事由の新設 退職金不支給、減額事由の新設は許されるか

Q157 懲戒処分規定の新設・変更 懲戒処分規定の新設・変更は許されるか

Q158 降格・降職規定の新設 人事異動としての降格・降職規定の新設は許されるか

Q159 就業時刻の変更 就業時刻の変更は許されるか

Q160 変形労働時間制の勤務変更 変形労働時間制下で、いったん特定した労働時間を事後に変更することはできるか

Q161 就業時間の繰上げ、繰下げ 就業時間の繰上げ、繰下げは許されるか

Q162 休憩時間の変更 休憩時間の変更は許されるか

Q163 休日の変更 休日の変更は許されるか

Q164 休日の振替え 休日の振替えは許されるか

Q165 休日振替制度の変更 休日振替制度の振替休日の期間短縮は許されるか

Q166 生理休暇の取得要件 生理休暇の取得要件は何か

Q167 生理休暇の不利益変更 生理休暇の不利益変更は許されるか

Q168 特別休暇の取得要件 特別休暇の取得要件は何か

Q169 褒賞休暇の不利益変更 褒賞休暇の不利益変更は許されるか

Q170 福利厚生の変更 独身寮の利用や食事補助等の福利厚生の不利益変更は許されるか

あとがき

おわりに[第1版あとがき]

判例索引

項目索引

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