- 発売日
- 2025年03月25日
- 出版社
- 慶應義塾大学出版会
- 編著等
- 松尾 弘
物権変動の本則――意思主義、有因主義・無因主義、「何ぴとも自己のもつ以上の権利を他人に移転することはできない」――に対する例外則にすぎないかにみえる第三者保護の法理。しかし、この法理こそが「権利帰属の確定」ルールとして、安定的かつ効率的な所有秩序を構築する鍵を握る法理であることを明らかにする、学術的探求の到達点。
目次
表紙
はしがき
目次
図表一覧
凡例
序説 物権変動の態様と第三者保護の法理
1 物権変動に関する民法規定の構造と第三者保護規定の位置づけ
⑴ 物権変動における第三者保護の規律の特色
⑵ 物権変動の本則と例外則
⑶ 物権変動の例外則の規律態様
2 物権変動における第三者保護規定の解釈と物権変動の法理
3 本書の構成
第Ⅰ部 物権変動における意思主義と無因主義
第1章 物権変動の意思主義と無因主義
1 問題の所在
2 意思主義と無因主義との結合可能性
3 取消しの遡及効と物権の復帰的変動
4 無因主義と第三者権利保護資格要件
5 意思主義の下における所有権移転給付の実在性とその返還
第2章 物権変動の無因主義をめぐるヴァッケ─ヴィーリング論争
1 物権変動法理の調和と無因主義
2 ヴァッケの見解――無因主義批判
3 ヴィーリングの見解
4 無因主義論争の行方と今後の課題
第3章 権利移転原因の失効と第三者の対抗要件
1 問題の所在
2 虚偽表示と第三者
3 詐欺による取消しと第三者
4 解除と第三者
5 まとめと今後の課題
第4章 物権変動の遡及的消滅の解釈
1 物権変動の遡及的消滅問題の意義
2 遡及的失権の承認
3 復帰的物権変動の統一的把握
4 統一化と個別化の両立可能性
第Ⅱ部 物権変動における「対抗の法理」と「無権利の法理」の間
第5章 対抗の法理と無権利の法理の交錯
1 問題の所在
2 交錯領域1――対抗の法理の前線
3 交錯領域2――無権利の法理の前線
4 考察
第6章 物権変動における第三者保護法理の類型化
1 問題の所在
2 物権変動における第三者保護法理の類型化
第7章 対抗の法理と対抗要件
1 実体的法律関係
2 第三者保護の要件
3 第三者保護の効果
4 小括――「対抗」の根源にある意思主義補完機能としての対抗要件主義の確定性とその限界
第8章 無権利の法理と権利取得要件
1 実体的法律関係
2 第三者保護の要件
3 第三者保護の効果
4 小括
第9章 権利保護資格の法理と権利保護資格要件
1 実体的法律関係
2 第三者保護の要件
3 第三者保護の効果
4 第三者保護法理の体系化に向けて
第10章 要件事実論からの検討
1 対抗要件論の混迷と要件事実論のプリズム効果
2 対抗の法理と要件事実
3 無権利者と取り引きした者による権利取得の法理と要件事実
4 第三者権利保護資格の法理と要件事実
5 「対抗することができない」という規定をめぐる実体要件論と要件事実論
結語 物権変動における第三者保護法理の意義
1 物権変動の態様と第三者保護法理の3類型
2 第三者保護法理の類型を分けるもの――権利帰属の確定性
参考文献一覧
初出一覧
事項索引
判例索引
著者略歴
奥付