- 発売日
- 2020年08月21日
- 出版社
- 発明推進協会
- 編著等
- 櫻井 孝
かつてわが国にも「秘密特許」制度はあったのだが、第二次世界大戦の敗戦を機に廃止されてしまう…。 しかし現在、主要国の多くは国の安全保障の観点から何らかの秘密特許制度を有している。 本制度のない日本は世界から見ると極めてまれな存在である。 本書は、かつてわが国に存在した秘密特許制度や運用の歴史を紐解くとともに、1610件に上る秘密特許のリストを初めて公開する。さらに、今後わが国が秘密特許制度の導入を検討することになった場合に備え、その課題等を浮き彫りにする。
目次
表紙
大扉
はじめに
目 次
第Ⅰ章 わが国における秘密特許制度と運⽤の変遷
1. 専売特許条例(M18.07.01~M22.01.31)
( 1 )法律の制定
( 2 )条例施行早々に軍事関連発明が現る
2. 特許条例(M22.02.01~M32.06.30)
( 1 )法文上に「秘密」の文字出現
( 2 )特許出願されなかった下瀬火薬
( 3 )軍以外からの軍事関連特許出願
3. 明治32年特許法(M32.07.01~M42.10.31)
( 1 )秘密特許制度の基本形が固まる
( 2 )秘密特許第1 号(特許第6469号)
( 3 )陸軍での秘密特許出願の扱い
( 4 )この当時の諸外国の法制
4. 本書の情報源
5. 明治42年特許法(M42.11.01~T11.01.10)
( 1 )秘密特許について特別の規程を設ける
( 2 )勅令「軍事上秘密を要する発明特許に関する件」とは
( 3 )勅令第3 条の導入経緯
( 4 )勅令原案に対する陸軍からの意見
( 5 )陸海軍の技術者が特許局の審査官に
( 6 )外国関連の特許出願を秘密指定[その1]
( 7 )外国関連の特許出願を秘密指定[その2]
( 8 )海軍が外国の特許をリスペクト
6. 大正10年特許法(T11.01.11~戦後まで)
( 1 )秘密特許出願を審査する制度の導入
( 2 )秘密特許を審査する審査官
( 3 )審査官の「指定」
( 4 )民間からの特許出願に対する軍事秘密請求
( 5 )秘密を要しない理由
( 6 )秘密特許の秘密解除
( 7 )おかしな特許発明明細書
( 8 )陸軍の熱心な特許活動(特許異議の申立)
( 9 )陸軍の特許異議申立への参加
(10)陸軍の行った特許異議申立の実例[その1]
(11)陸軍の行った特許異議申立の実例[その2]
(12)陸軍の特許に対する特許異議の申立
(13)ほどほどに仲の良かった陸海軍
(14)わが国秘密特許制度の終焉
(15)謎だらけの秘密特許発明明細書の発行
(16)陸海軍の保有した特許の戦後処理
(17)秘密特許に関わる特許局のミス
第Ⅱ章 秘密特許出願の統計的分析
1. 秘密特許の総件数
2. 秘密特許の出願件数と特許件数の推移
3. 出願人別の秘密特許出願件数の推移
4. 秘密特許の技術分野
5. 陸海軍における上位の発明者とその主な技術分野
6. ジェットエンジンの開発
第Ⅲ章 陸海軍の秘密特許戦略に関する考察
1. 陸軍の保有特許の状況
2. 陸海軍は秘密特許で何を保護しようとしたのか
3. 陸海軍はそもそも何故に特許出願をしたのか
第Ⅳ章 かつてわが国において秘密特許とされた実例の紹介
1. 空の護り編
2. 海の護り編
3. 陸の護り編
第Ⅴ章 わが国に現存する秘密特許出願
1. 現在の秘密特許出願:「協定出願」とは
2. 協定出願に関する統計データおよびその分析
3. 何故に昭和63年になって協定が運用されることになったのか
第Ⅵ章 わが国の現在の特許制度に関する一考察
1. 諸外国・地域の秘密特許制度
2. 現在のわが国の制度に関する一考察
3. 秘密特許制度の検討課題
( 1 )自国第一出願制度の導入
( 2 )特許庁におけるチェック体制
( 3 )善意の特許出願人の救済制度
4. 秘密対象の範囲に関する考察
5. 代替可能な制度
おわりに
参考資料1 かつてわが国において秘密特許とされた1610件のリスト
参考資料2 関係法文集
1 . 軍事秘密に関する特許出願に係るわが国の特許法条文(抜粋)
2 . 防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(昭和31年6 月6 日 条約第12号)
3 . 主要各国・地域における秘密特許制度に関する特許法上の規定類(手続きを主として)
著者紹介
裏表紙