BUSINESS LAWYERS LIBRARY

コロナ危機と立法・行政

発売日
2022年02月02日
出版社
弘文堂
編著等
横田明美

なぜ、人権を大事にしているドイツやフランスでこんなに強い制限ができるのか──。ロックダウンや外出規制といった海外のニュースに触れるたびに痛感される、「お願い」ベースの日本との違い。コロナ対策は必然的に自由や人権との齟齬をきたすところ、ドイツをはじめいくつもの「人権先進国」が強度の規制を敷きました。そこにはいかなる法的なバランス感覚が働いていたのでしょうか。本書は、ドイツにおいて2020年3月から2021年5月にかけて行われた「感染症予防法」の多段改正に焦点をあて、具体的なコロナ対応規制の変遷を追います。

目次

表紙

はじめに

初出一覧

目次

序章 コロナ危機におけるドイツの立法対応の概観

I はじめに

Ⅱ 時系列に基づく立法対応の概観(各章の要約)

1. 2020年3月改正(第1次法)

2. 2020年5月改正(第2次法)

3. 2020年6月から10月における緩和と再規制

4. 2020年11月改正(第3次法)

5. 2021年3月改正・4月改正・5月上旬・5月下旬改正(延長法・第4次法・再度の改正法)

6. 2020年末から2021年6月にかけてのワクチン接種キャンペーン(ワクチン規則)

Ⅲ コロナ規制立法の特徴

1. 立法過程全体から

2. 行政情報法の観点から

3. 裁判の重要性

第1章 2020年3月改正―連邦と州の権限配分および行政情報法の観点から

Ⅰ はじめに

Ⅱ 2020年3月から5月上旬にかけてのドイツ国内の状況

1. 2020年3月上旬から3月22日までの情勢

2. 2020年3月22日から4月中旬まで

3. 4月中旬から下旬にかけての第1次緩和

4. 5月上旬における第2次緩和・第3次緩和

Ⅲ 2020年3月27日改正前の感染症予防法の概要

1. 感染症予防法の全体構造

2. 伝染病の制圧に関する規定

3. 改正前における連邦と州の関係

4. 2020年3月における各州の対応と法的根拠

Ⅳ 全国規模流行状況住民保護法の概要

1. 提案理由の概要

2. 条文構造

3. RKIの任務および連邦保健省の報告書提出義務(IfSG4条)

4. 連邦保健省の権限創設(IfSG5条)

5. 全国規模流行状況時の医療体制(IfSG5a条)

6. 保育施設・学校の一時閉鎖等に伴う収入減少への補償(IfSG56条〜58条・66条)

7. 過料条項(IfSG73条)

8. 旅客データ(PNR)の提供要求(世界保健規則実施法12条5a項の新設)

9. 2つ以上の州が関係する医学研究についてのデータ保護(社会保障法典第5編287a条)

Ⅴ 若干の補足および検討

1. 州政令による制限

2. 改正後の州と連邦の権限配分

3. 改正法における連邦保健省の権限

4. データ保護法制と病院法関連における連邦と州の権限配分の変更

Ⅵ おわりに

コラム1 結局何が有効なの? 市民に規制内容が届くまで

第2章 2020年5月改正―ロベルト・コッホ研究所(RKI)への情報集約と市民への情報提供

Ⅰ はじめに

Ⅱ 感染症予防法と関連法規の改正経緯

1. 多段改正前

2. コロナ危機発生と行動制限の発令

3. 2020年3月改正

4. 2020年5月改正

Ⅲ RKIの任務と情報流通の電子化

1. 任務と調整手続

2. 報告義務の修正と電子化の推進

Ⅳ ドイツのコロナ危機対応から見えてくる公法上の課題

1. 行動制限の法的根拠

2. 緊急省令と「全国規模流行状況」認定中の連邦政府の権限

3. 危機時のコミュニケーション

コラム2 直接専門家の声を届けるPodcast(音声配信サービス)の存在感

第3章 2020年10月までの州政令の状況―再規制と市民生活への影響

Ⅰ はじめに

Ⅱ 保護措置の法的根拠

1. 連邦感染症予防法(Infektionsschutzgesetz-IfSG)における保護措置

2. 保護措置を命じる行政処分・法規命令への違反に対する制裁

3. 各州政府による州政令の制定

Ⅲ 第1波から緩和、そして第2波に伴う再規制へ

1. 第1波の到来と全国的な外出制限

2. 段階的緩和

3. 休暇シーズンの到来

4. 第2波の到来と再規制

Ⅳ 規制の具体例

1. 連絡先収集・提出義務

2. 国内リスク地域からの移動についての宿泊禁止・入域後隔離義務をめぐる混乱

Ⅴ パラレルワールドとしての日独社会

コラム3 連絡先データ提供は面倒だ! アプリlucaは救世主か?

第4章 2020年11月改正―コロナ規制の「カタログ化」

Ⅰ はじめに

Ⅱ 2020年11月から2021年3月までのドイツ国内の状況と制定過程

1. 2020年11月上旬から中旬にかけての情勢

2. 第3次法の制定過程

3. 2020年12月の状況

4. ワクチン接種開始と入国規制の強化

5. マスクに関する規律

Ⅲ 第3次法の概要とそれを反映した感染症予防法の内容

1. 第3次法の概要

2. 全国規模流行状況の認定

3. 州政令で行われていた保護措置の明文化と要件

4. 報告義務・検査等に関する大幅な方針転換と電子化強制

5. 入国管理・国境を越える輸送

6. 補償請求

7. 過料・刑罰規定の調整

8. 経過規定・時限立法箇所の延長

Ⅳ 若干のコメント

1. 28a条の意味と位置づけ

2. 行政情報法としての観点

Ⅴ おわりに

コラム4 クリスマス、イースター、ウアラウプ(長期休暇)をいかに守るか?―ロックダウン攻防戦

補章1 2021年3月・4月・5月上旬・5月下旬改正―「連邦緊急ブレーキ」条項と規制緩和へ向けた動き

Ⅰ はじめに

Ⅱ 3月上旬:「再開見通し」と緊急ブレーキの提示

Ⅲ 3月改正:「延長法」

1. 延長法の構造

2. 全国規模流行状況の認定が3か月ごとの更新制へ

3. 予防接種関連の規定改正

4. 28a条の改正

5. その他

Ⅳ 4月改正:「第4次法」による「連邦緊急ブレーキ」、「ワクチン接種者等への例外」規則

1. 不発に終わった緊急ブレーキと連邦緊急ブレーキの必要性

2. 統一された「連邦緊急ブレーキ」(28b条)

3. ワクチン接種者、検査済者、それらと同等の者に対する例外を定める法規命令権限(28c条)

4. その他の条項の改正

Ⅴ 5月上旬改正:接種者等への保護措置例外規則の制定と4月改正の補足

1. COVID-19保護措置例外規則の審議経過

2. COVID-19保護措置例外規則の内容

3. 感染症予防法5月上旬改正の内容

Ⅵ 5月下旬改正:「二度目の改正法」

1. 制定経緯

2. 全国規模流行状況の認定と法規命令の関係

3. デジタル証明書(COVID-19接種・回復・検査証明書)

4. 予防接種の文書化とデジタル証明書の偽造等に対する刑事罰

5. 学校・養成機関における連邦緊急ブレーキ条項の見直し

6. ドイツ連邦共和国への渡航前の検査義務

7. その他

コラム5 「まるでシンデレラ…」陰性証明での制限解除と検査センター不正

補章2 2020年12月から2021年7月までのワクチン接種キャンペーン

Ⅰ はじめに

Ⅱ ワクチンキャンペーンの進展

1. COVID-19国家ワクチン戦略の制定からワクチン接種開始

2. ワクチン接種の拡大

3. ワクチン優先順位づけの廃止へ

Ⅲ ワクチン接種規則の概要

1. 前文(制定根拠)

2. 請求権と優先順位づけ(1条、2条〜4条)

3. 2回目以降の接種およびブースター接種(5条)

4. 給付提供(者)、接種時の手順、証明書発行(6条)

5. 予防接種サーベイランスと薬害監視(ファーマコビジランス)(7条)

6. 接種予約の割り当て(8条)

7. 医師や薬局への報酬および財政措置(9条〜16条)

8. ワクチン在庫状況についてのデータ転送(17条)

9. 継続的評価

Ⅳ ワクチン優先順位づけ

1. 基本的な考え方

2. 優先順位の詳細

3. 優先順位づけの変更

Ⅴ ワクチン接種のための手続と予約割り当て方法の変更点

1. 接種を受けられる場所と申し込み方法

2. オンライン予約フロー

3. 優先順位廃止後の状況

4. 2回目の接種予約と予約割り当ての方針変更

Ⅵ デジタル証明書

1. EUでの制度化

2. ドイツ国内での対応

3. 実施開始後の状況

コラム6 ワクチン予約やってみた―なかなか来ない期日指定と「サボり」への制裁?

事項・条文索引

著者紹介

奥付

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