- 発売日
- 2020年01月14日
- 出版社
- 弘文堂
- 編著等
- 薮中悠
「刑法における傷害概念」と「人の精神的機能の障害」との関係について、日本における判例・学説の現状から課題を析出し、ドイツ・オーストリア・スイスとの比較法的検討および日本刑法の沿革的・系譜的検討をふまえて深く考察。PTSD(心的外傷後ストレス障害)など人の精神に変化・変調を生じさせる精神的障害と、失神など人の精神・意識を喪失させる意識障害等とに分けて検討。人の精神も直截的に傷害罪・各種致傷罪の保護法益であることを示した鮮烈なデビュー作。
目次
表紙
はしがき
目次
序章
第1節 本書の目的
第2節 本書における考察の素材とその性格
本書における考察の素材とその性格
第3節 本書の構成
第1章 日本の判例・学説の素描
第1節 本章の目的
第2節 判例・裁判例の状況
第1項 PTSDを傷害として傷害罪・各種致傷罪の成立を認めた事例
第2項 PTSD以外の精神的障害を傷害として傷害罪・各種致傷罪の成立を認めた事例
第3項 結論として傷害罪・各種致傷罪の成立を否定した事例
第4項 量刑事情としてのみPTSDに言及している事例
第5項 小括
第3節 学説の状況
第1項 通説の内容
第2項 判例・通説に対する問題提起
第4節 検討課題および分析の視点
第2章 ドイツ刑法における傷害概念と精神的障害
第1節 本章の目的
第2節 ドイツ刑法における傷害概念
第1項 「傷害の罪」の諸規定と構造
第2項 「傷害の罪」の保護法益
第3項 傷害概念の基本内容―「身体的虐待」および「健康侵害」
第3節 精神的障害をめぐる議論
第1項 通説的見解―身体症状限定説
第2項 判例の立場
第3項 精神症状包含説
第4節 ドイツにおける議論の分析・検討
第1項 通説的見解の論拠
第2項 通説的見解による精神保護の部分的受容
第3項 精神的内容を傷害概念に含める場合の限定手段
第4項 対立する両説の結論的な差異
第5節 小括
第3章 オーストリア刑法における傷害概念と精神的障害
第1節 本章の目的
第2節 オーストリア刑法における傷害概念
第1項 「傷害の罪」の諸規定と構造
第2項 「傷害の罪」の保護法益
第3項 傷害概念の基本内容―「身体傷害」および「健康侵害」
第3節 精神的障害をめぐる議論状況
第1項 1971年草案理由書による説明
第2項 代表的判例
第3項 学説における議論の状況
第4節 オーストリアにおける議論の分析・検討
第1項 前提となる理論的な枠組み―日墺の相違点を中心に
第2項 精神的障害に関する議論
第4章 スイス刑法における傷害概念と精神的障害
第1節 本章の目的
第2節 スイス刑法における傷害概念
第1項 「傷害の罪」の諸規定と構造
第2項 「傷害の罪」の保護法益
第3項 傷害概念の基本内容―「身体侵害」および「健康侵害」
第4項 「傷害」と「暴行」
第3節 精神的障害をめぐる議論状況
第1項 「健康侵害」と精神的障害
第2項 代表的判例―スイス連邦最高裁判所2008年6月19日判決
第3項 判例および通説を支える論拠
第4節 小括
小括
第5節 ドイツ刑法・オーストリア刑法・スイス刑法の比較法的考察から日本法へ
ドイツ刑法・オーストリア刑法・スイス刑法の比較法的考察から日本法へ
第5章 日本刑法204条の成立過程にみる傷害概念
第1節 本章の目的
第2節 「殴打創傷ノ罪」の成立過程および成立後の基本的理解
第1項 旧刑法の成立過程における諸草案の内容と議論
第2項 「殴打創傷ノ罪」に関する基本的内容
第3項 小括―「殴打創傷ノ罪」の保護法益
第3節 現行刑法204条の成立過程
第1項 「明治二三年改正刑法草案」
第2項 「明治二八年『刑法草案』(司法省刑法改正審査委員会)」 および「明治三〇年『刑法草案』(司法省刑法改正審査委員会)」
第3項 「明治三九年『刑法改正案』(二編二八九條)」 (法律取調委員会)
第4項 「明治三九年『刑法改正案』(二編二六五條)」
第5項 「明治四〇年『刑法』(二編二六四條)」
第4節 検討
第1項 「殴打創傷ノ罪」との連続性
第2項 現行刑法204条への収斂
第3項 「身体」の文言との関係
第5節 本章のまとめと補論
第1項 現行刑法204条の立法趣旨
第2項 頭髪の切断の評価
第3項 傷害の程度をめぐる議論
第6章 日本刑法204条の成立後の議論と傷害概念
第1節 本章の目的
第2節 現行刑法成立後の議論の経過―3つの時期区分に基づく整理
第1項 第Ⅰ期の議論の状況
第2項 第Ⅱ期の議論の状況
第3項 第Ⅲ期の議論の状況
第3節 小括
小括
第7章 日本刑法における傷害概念と精神的障害
第1節 本章の目的
第2節 傷害概念に関する基本的対立と生理的機能障害の類型
第1項 傷害概念をめぐる基本的対立
第2項 生理的機能障害の類型
第3節 精神的障害の傷害該当性の議論における「2つの要請」
第4節 精神症状包含説と身体症状限定説
精神症状包含説と身体症状限定説
第5節 精神的障害を傷害概念に含めることの文理上の疑義
第6節 傷害罪・各種致傷罪の成立範囲
傷害罪・各種致傷罪の成立範囲
第7節 いわゆる「織り込み済み」の理論の評価
第8節 本章の結論
第8章 刑法的判断における医学的診断の意義―PTSDの診断(基準)の影響
第1節 本章の目的
第2節 刑法上の傷害概念と医学的概念
第1項 旧刑法下における議論
第2項 現行刑法成立後の議論
第3項 刑法上の傷害概念とPTSDの診断(基準)
第3節 監禁致傷罪とPTSDの診断(基準)
第1項 本節の目的
第2項 最高裁平成24年7月24日決定の概要
第3項 監禁致傷罪の成立要件に関する判例の理論的枠組み
第4項 検討
第9章 日本刑法における傷害概念と意識障害
第1節 本章の目的
第2節 律系刑法(仮刑律・新律綱領・改定律例)と意識障害
第1項 律系刑法における「傷害の罪(闘殴律)」の規定
第2項 「仮刑律」および「改定律例」における「昏絶」
第3節 刑法改正事業における各種草案と意識障害
第1項 「刑法改正予備草案」および「改正刑法仮案」の規定
第2項 意識を傷害するための催眠術等の施用と「暴行」・「傷害」
第4節 判例・裁判例の状況
第1項 大審院および最高裁の事例
第2項 下級審裁判例
第3項 小括
第5節 学説における議論
第1項 総説
第2項 3つの特徴的な見解
第6節 オーストリアにおける議論の概観
第1項 「傷害の罪」の構造と基本的内容の確認
第2項 意識障害等をめぐる議論
第7節 検討―刑法における傷害概念と意識障害
第1項 3つの特徴的な見解の評価
第2項 本書の基本的な考え方
第8節 機能の作用の阻止と障害との区別、「程度」問題との関係
第9節 本章の結論
終章
第1節 本書の成果と結論
本書の成果と結論
第2節 発展的問題
資料
資料1 条文の沿革(傷害の罪)
資料2 判例・裁判例に現れた精神的障害の診断基準―各障害の診断基準の比較のために
資料3 最高裁平成24年7月24日決定の事案
参考文献一覧
事項・人名索引
判例索引
奥付