- 発売日
- 2020年09月23日
- 出版社
- 日本評論社
- 編著等
- 高山俊吉、本庄 武
危険運転致死傷罪の制定及び改正のあり方を問い直すとともに、現行法を踏まえたあるべき解釈を論じ、実務の指針を提示する。
目次
表紙
はじめに
目次
第1部 交通事故を巡る理論の総論的検討
第1章 歴史から見た交通刑法重罰化
Ⅰ 道路交通法の制定と度重なる改正
Ⅱ 交通事故の推移
Ⅲ 科学的な原因分析よりは厳罰等を優先
Ⅳ 道路標識標示主義の採用
Ⅴ 罪刑法定主義に抵触のおそれ
Ⅵ 責任原理からの逸脱
Ⅶ 適正手続の保障からの逸脱等
第2章 刑事立法論としての交通刑法重罰化
Ⅰ はじめに
Ⅱ 2001 年改正
Ⅲ 2007 年改正
Ⅳ 2013 年改正
Ⅴ 危険運転致死傷罪の量刑
Ⅵ 今後の展望──あおり運転問題を契機に
第3章 最高裁の危険運転致死傷罪認定方法の問題点
Ⅰ 最高裁判決の問題点
Ⅱ 多数意見を支える「重要な証拠」の内容
Ⅲ 多数意見を支える「重要な証拠」は科学的知見を欠くこと
Ⅳ 前方を注視して危険を把握して対処した多くの証拠が存在したこと
Ⅴ 「重大な結果」から「前後の運転状況」を推認する解釈は成り立たないこと
Ⅵ 「視覚探索能力の低下」は因果の流れから外れること
Ⅶ 判決と「国民の常識」との比較方法
Ⅷ 民事裁判の事実認定方法を導入する必要があること
Ⅸ 最高裁判決が実務に及ぼした悪影響
Ⅹ 科学的論争の重要性
第4章 赤信号を「殊更に無視し」たとはいえず、危険運転致死罪は成立しないとされた事案の弁護活動──千葉地判平成28・11・7
Ⅰ 事案の概要
Ⅱ 判決までの経過
Ⅲ 法令解釈に関する問題の所在
Ⅳ 弁護活動
Ⅴ 判決
Ⅵ おわりに
第5章 危険運転致死傷罪の手続的問題──訴因変更に係る論点について
Ⅰ はじめに
Ⅱ 問題の所在
Ⅲ 訴因変更に係る各論整理
Ⅳ 若干の検討
Ⅴ おわりに
第2部 自動車運転死傷行為等処罰法上問題となる各類型の検討
第1章第1節 危険運転致死傷罪(⚒条)/本罪の基本構造
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「自動車」の概念
Ⅲ 危険運転致死傷罪における危険概念
Ⅳ 危険運転致死傷罪の因果関係
Ⅴ 危険運転致死傷罪における故意
Ⅵ 罪数関係
Ⅶ おわりに
第1章第2節 危険運転致死傷罪(⚒条)/酩酊運転類型
Ⅰ はじめに
Ⅱ アルコール又は薬物の影響
Ⅲ 正常な運転が困難な状態
Ⅳ 本類型の故意
第1章第3節 危険運転致死傷罪(⚒条)/進行制御困難高速度類型
Ⅰ 総説
Ⅱ 客観的要件──「進行を制御することが困難な高速度」
Ⅲ 主観的要件──故意
第1章第4節 危険運転致死傷罪(⚒条)/進行制御技能不保有類型
Ⅰ 総説
Ⅱ 客観的要件──「進行を制御する技能を有しない」
Ⅲ 主観的要件──故意
第1章第5節 危険運転致死傷罪(⚒条)/妨害運転類型
Ⅰ 総説
Ⅱ 妨害運転の内容
Ⅲ 展望
第1章第6節 危険運転致死傷罪(⚒条)/赤色信号殊更無視類型
Ⅰ はじめに
Ⅱ 赤色信号等の無視
Ⅲ 「殊更に」
Ⅳ 速度要件の意義と認定
第1章第7節 危険運転致死傷罪(⚒条)/通行禁止道路進行類型
Ⅰ 総説
Ⅱ 行為
第2章第1節 中間類型の危険運転致死傷罪(3条)/酩酊運転類型
Ⅰ 総説
Ⅱ 客観的要件
Ⅲ 主観的要件
Ⅳ おわりに
第2章第2節 中間類型の危険運転致死傷罪(3条)/病気運転類型
Ⅰ 総説
Ⅱ 病気運転類型の行為
Ⅲ 判例
第3章 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪(4条)
Ⅰ 総説
Ⅱ 客観的要件
Ⅲ 主観的要件
Ⅳ 他罪との関係
Ⅴ 共犯
第4章 過失運転致死傷罪(5条)
Ⅰ 自動車運転事故に起因する死傷事犯への対応と過失運転致死傷罪
Ⅱ 過失運転致死傷罪の立法理由
Ⅲ 立法理由の背景と「過失犯の故意犯化」
Ⅳ 「自動車運転」の特別視に対する疑問
第5章 無免許運転による加重(6条)
Ⅰ 概要
Ⅱ 本条に対する疑問
第6章 危険運転致死傷罪の共犯
Ⅰ 検討の前提──危険運転致死傷罪の構造
Ⅱ 危険運転致死傷罪と狭義の共犯
Ⅲ 危険運転致死傷罪と共同正犯
事項索引
判例索引
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)
編者・執筆者紹介
奥付