- 発売日
- 2020年02月29日
- 出版社
- 信山社
- 編著等
- 橋本誠志
破産管財人は債権者対応に加え、情報主体という新たなステークホルダーから破産企業保有データの保護や散逸防止等情報の維持・管理を求められ、その追加コストや責任分界等が倒産手続上の新たな課題となる。ビッグデータ・IoT・クラウド等の情報形態や大量個人情報流出等の局面における「財産的価値を有する情報」の法的規律を提言。
目次
表紙
はしがき
目次
第1部 情報の資産的価値と倒産手続をめぐる現代的課題
第1章 情報化社会における民事司法手続の課題
1. はじめに
2. 情報化社会の進展と民事司法手続の環境変化
3. データ流出事象における電子的自力救済を応用したダメージ・コントロール型制度スキームの限界と効用
4. おわりに
第1章補論
第2章 財産的価値を有する情報の法的規律の問題と倒産処理への影響
1. はじめに
2. 企業倒産処理手続における個人情報保護の特徴
3. アメリカにおける企業倒産時の個人情報保護
4. わが国における企業倒産時の個人情報保護に関する対応
5. Cloud Computing による情報の分散処理が倒産処理に及ぼす影響
6. 総括と課題
第3章 インターネット上でのパーソナルデータ流通におけるダメージのコントロールに関する基礎的研究ー実施機関の関係性を中心にー
概要
1. はじめに
2. ダメージ・コントロールにおける紛争解決制度の役割
3. データ流出におけるマクロ的ダメージ・コントロールの実現と実施体制の設計に向けて
4. おわりに
第4章 ディジタルゲリマンダ事業者の破産とデータ回収責任ーケンブリッジアナリティカ社破産の事例からー
1. はじめに
2. ケンブリッジアナリティカ社の破産申請について
3. 企業の破産手続における財産関係の基礎概念
4. イギリスの倒産処理制度について
5. ディジタルゲリマンダの法的評価と破産手続に対する影響
6. わが国における示唆
第4章補論
第5章 破産処理における情報の法と政策の方向性
1. はじめに
2. 破産管財人の任務とその情報学的意味
3. データの法的性質をめぐる議論
4. 情報の特質と法政策のあり方
5. 破産処理における破産管財人による情報継受の価値について
6. クラウドによる情報の切片化と個人情報該当性
7. おわりに
第2部 現代情報社会における破産管財人の責任分界のあり方
第6章 Cloud社会の破産処理手続における管財人の責任体系の問題点
1. はじめに
2. 倒産処理の指導原理と管財人の責任に関する現行制度
3. 「利害関係人」概念のパラダイム・シフトとクラウド時代における破産管財人の責任
4. クラウド・コンピューティング時代の倒産処理における個人情報保護と管財人の責任負担の方向性
5. クラウド・コンピューティング時代の倒産処理における個人情報保護と管財人の責任負担の方向性
6. 信託の倒産隔離機能と管財人の責任の制限
7. おわりに
第7章 契約理論の視点から見たIoTークラウド連携社会における破産管財人の責任ー
1. はじめに
2. クラウド時代の情報処理と管財人の責任に関する制度の現状
3. 情報資産の管理に関する破産管財人の責任と能力の検討
4. 情報資産の管理についての破産管財人の権限とその例外
5. おわりに
第8章 デジタル情報社会における破産管財人の情報管理義務と情報探索可能性
1. はじめに
2. 情報探索をめぐる管財人とステークホルダーとの関係
3. ITサービスにおける管財人の情報探索可能性
4. セキュリティの公共財化の議論と破産管財人の行動基準への影響
5. おわりに
補論
補論⑴ リーガル・サービス市場における依頼者と弁護士のプリンシパルーエージェント関係ー
補論⑵ 不完備契約理論の概要
補論⑶ 拡大責任の基礎
補論⑷ 不完備契約理論とパニッシュメントとしての企業の経営者交代
補論⑸ 制度設計の規範理論ー法政策学における法制度設計の理論と技法ー
あとがき
別表1・弁護士会別の弁護士数の推移(1950年~2015年)
別表2・弁護士1人当たりの人口
参考文献
初出一覧
事項索引
奥付