- 発売日
- 2018年09月19日
- 出版社
- 民事法研究会
- 編著等
- 田中豊
新たに証拠法、訴訟承継、判決によらない訴訟の終了、既判力の主観的範囲を増補して改題・改訂! 法科大学院生、司法修習生、裁判官、弁護士等必携の書!
目次
表紙
はしがき
目次
第1章 既判力の意義と機能
Ⅰ 既判力とは
1 既判力の意義
2 既判力の根拠と本質
3 既判力が問題になる3つの場面
Ⅱ 既判力か訴えの利益か
1 前訴が請求棄却判決の場合
2 前訴が請求認容判決の場合
Ⅲ 訴訟物の同一性
1 最2小判平成9・3・14の事案の概要
2 原審’東京高判平成4・12・17判時1453号132頁)の判断の大要
3 最2小判平成9・3・14の判断
4 最2小判平成9・3・14の提起した問題点とその検討
Ⅳ 訴訟物の先決関係
1 前訴の訴訟物が後訴の訴訟物の先決関係にある場合
2 最1小判昭和55・10・23の事案の概要
3 最1小判昭和55・10・23の判断の内容とその意義
4 本件訴訟(後訴)の主張・立証の構造と前訴確定判決の既判力の主張の位置付け
5 後訴における訴訟物の選択と既判力の抵触
6 前訴の先決問題についての判断と既判力
Ⅴ 訴訟物の矛盾関係
1 前訴の訴訟物と後訴の訴訟物とが矛盾関係にある場合とは
2 一物一権主義を媒介にした矛盾関係
3 確定判決によってした給付と不当利得返還請求または不法行為に基づく損害賠償請求
Ⅵ 既判力の基準時
1 既判力の基準時が問題になる場合
2 基準時後における形成権の行使
3 形成権の行使以外の基準時後に発生した事実と既判力
Ⅶ 既判力の主観的範囲
1 当事者相対効の原則
2 当事者以外の第三者に及ぶ場合についての論点
3 口頭弁論終結後の承継人
4 確定判決の反射的効力
第2章 処分権主義の意義と機能
Ⅰ 処分権主義とは
1 処分権主義の意義と根拠
2 民訴法246条の位置付けと機能
3 処分権主義が問題になる3つの場合
Ⅱ 訴訟物の異同が問題になる場合
1 訴訟物理論の相違が影響を及ぼす場合
2 訴訟物理論の相違が影響を及ぼさない場合
Ⅲ 権利保護形式の種類等が問題になる場合
1 裁判所が原告の意思に拘束されることに争いのない事項
2 裁判所が原告の意思に拘束されるかどうかに争いのある事項──一時金賠償方式と定期金賠償方式──
Ⅳ 権利保護の範囲が問題になる場合
1 一部認容判決をすべき場合
2 原告が一部弁済受領額を控除して残額の請求をする場合
3 立退料の支払と引換えに建物の明渡請求を認容する判決
第3章 弁論主義の意義と機能
Ⅰ 弁論主義とは
1 弁論主義の意義と根拠
2 弁論主義の内容をなす3つの規律
Ⅱ 弁論主義の第 の規律の対象──要件事実(主要事実)──
1 主要事実と間接事実の区別
2 主要事実かどうかの区別を誤った最高裁判決
Ⅲ 弁論主義の第1の規律に関する最高裁判例の緻密化
1 所有権の移転経過の認定につき弁論主義違反とした最高裁判例の出現
2 弁論主義の第1の規律についての最高裁判例の到達点
Ⅳ 弁論主義の第2の規律──自白の拘束力──
1 はじめに
2 間接事実の自白と拘束力
3 補助事実の自白と拘束力
Ⅴ 当事者と裁判所との間の役割分担──いわゆる不利益陳述──
1 はじめに
2 不利益陳述と弁論主義
Ⅵ 処分権主義および弁論主義の例外
1 形式的形成訴訟とは
2 境界確定の訴えと土地所有権との関係
3 境界確定の訴えの提起と係争地についての取得時効の中断効
第4章 釈明権の意義と機能
Ⅰ 釈明権をめぐる問題の所在
1 釈明権の意義と存在理由
2 釈明権行使の対象、方法および類型
3 釈明権の行使をめぐる2つの問題
Ⅱ 釈明権限の範囲──釈明権の行使をめぐる第1の問題──
1 別個の訴訟物にわたる釈明権限
2 釈明権の行使が事実審裁判所の権限の範囲の逸脱とされることはあるか
Ⅲ 釈明義務違反となる場合──釈明権の行使をめぐる第2の問題──
1 釈明義務違反についての最高裁判例の変遷概要
2 主張の不明瞭をただす釈明
3 文書の成立に関する証拠の提出についての釈明
4 主張の補正と証拠の提出についての釈明
Ⅳ釈明義務違反の判断枠組み
1 釈明の類型と釈明義務の有無
2 釈明義務違反の考慮要素
3 まとめ
第5章 証拠法の主要論点
Ⅰ 争点整理と事実認定
1 争点整理
2 争点整理表作成の実践──主張と証拠との有機的関連の認識
3 事実認定と経験則
Ⅱ 証拠能力と証拠力
1 証拠能力
2 証拠力
Ⅲ 主張・立証責任を負わない当事者の事案解明義務
1 問題の背景──情報(証拠)偏在型訴訟
2 最1小判平成4・10・29民集46巻7号1174頁〔伊方原発訴訟判決〕の出現
3 主張・立証責任を負わない当事者の事案解明義務
4 事案解明義務に係る判断の判決理由中の位置付け
Ⅳ 証拠提出義務
1 はじめに
2 文書提出義務とその主張・立証責任
3 銀行の保有する資料と自己利用文書
第6章 重複訴訟禁止の意義と機能
Ⅰ 重複訴訟禁止の制度趣旨
Ⅱ 禁止される重複訴訟の要件
Ⅲ 当事者の同一性
1 原則形態──当事者双方が同一である場合──
2 例外形態──当事者が同一でなくても、同一性ありとされる場合──
Ⅳ 審判対象の同一性
1 同一性判定の基準を訴訟物に求めるかどうか
2 債務不存在確認の訴えと給付の訴え
Ⅴ 訴訟係属の有無および後訴の提起
1 相殺の抗弁と重複訴訟禁止の原則
2 別訴先行型と重複訴訟禁止の原則
3 別訴先行型であっても重複訴訟禁止の原則にふれない場合
4 抗弁先行型と重複訴訟禁止の原則
第7章 一部請求訴訟の意義と機能
Ⅰ 一部請求訴訟をめぐる問題のいろいろ
1 一部請求訴訟の意義
2 一部請求訴訟を受容すべき制度的必要性
3 一部請求が問題になる主要な場面
Ⅱ 一部請求訴訟後の残部請求の許否
1 最2小判平成10・6・12の事案の概要
2 最2小判平成10・6・12の判断とその意義
3 後訴が信義則違反に当たるかどうかの争点の位置付け
Ⅲ 一部請求の「明示」と残部請求が許される「特段の事情」
1 最1小判平成20・7・10の事案の概要
2 最1小判平成20・7・10の判断とその意義
3 最2小判平成10・6・12にいう「特段の事情」の存否
Ⅳ 一部請求訴訟における主張・立証
1 一部請求訴訟と相殺の抗弁
2 一部請求をする理由についての陳述の意味
第8章 多数当事者紛争と訴訟形態
Ⅰ はじめに
Ⅱ 共同所有関係と訴訟形態
1 共有者の提起する訴訟
2 共有持分権に基づく請求
3 共有者間の訴訟と共同訴訟の形態
4 共有者を相手方とする訴訟
Ⅲ 共同訴訟についての審判
1 通常共同訴訟と必要的共同訴訟
2 共同訴訟人独立の原則──当然の補助参加を認めるか──
3 同時審判申出共同訴訟
Ⅳ 補助参加制度の意義と機能
1 はじめに
2 要件についての問題──「訴訟の結果について利害関係を有する」とは──
3 参加的効力の性質──既判力との異同──
4 参加的効力の客観的範囲と主観的範囲
Ⅴ 独立当事者参加制度の意義と機能
1 独立当事者参加訴訟の特徴
2 権利主張参加の要件
第9章 訴訟承継の意義と機能
Ⅰ 法律関係(権利義務)の移動と訴訟手続
1 はじめに
2 訴訟承継の種類と問題点
Ⅱ 「係争物の承継」とは
1 「訴訟承継の承継人」と「口頭弁論終結後の承継人」
2 訴訟承継の承継人の範囲
第10章 確認訴訟の意義と機能
Ⅰ 確認訴訟とは
1 確認訴訟の意義
2 確認訴訟の機能
3 確認の利益
Ⅱ 確認対象の選択の問題その1──証書真否確認の訴え──
1 民訴法134条の規定の存在意義
2 遺言書の真否確認の訴えが妥当する紛争の範囲
Ⅲ 確認対象の選択の問題その2──遺言無効確認の訴え──
1 過去の法律行為の効力の確認と遺言無効確認の訴え
2 遺言無効確認の訴えの適否
3 遺言無効確認の訴えと遺言書の真否確認の訴えの守備範囲の差
Ⅳ 紛争解決手段としての適切さの問題
1 補充性の原則
2 遺産確認の訴えと補充性の原則
Ⅴ 紛争の成熟性の問題
1 紛争の成熟性とは
2 推定相続人の提起する遺言無効確認の訴えと紛争の成熟性
第11章 判決によらない訴訟の終了
Ⅰ 訴訟終了原因の全体像
Ⅱ 訴訟上の和解
1 和解の種類
2 訴訟上の和解の性質
3 訴訟上の和解の効力
4 訴訟上の和解の解除と訴訟終了効
Ⅲ 訴えの取下げ
1 訴えの取下げの意義・要件・効果
2 訴えの取下げと意思表示の瑕疵との関係
3 終局判決後の訴えの取下げと再訴禁止効
4 再訴が禁止される「同一の訴え」とは
Ⅳ 請求の放棄・認諾
1 請求の放棄・認諾の意義と効果
2 請求の放棄・認諾の要件
第12章 司法権の限界と法律上の争訟
Ⅰ 司法権の限界
Ⅱ 法律上の争訟の意義
Ⅲ 宗教団体における紛争と法律上の争訟
1 問題の所在
2 最高裁判例の判断枠組み
Ⅳ 法律上の争訟の問題その1──訴訟物レベル──
1 住職の地位は法律上の地位か
2 檀徒の地位は法律上の地位か
Ⅴ 法律上の争訟の問題その2──争点レベル──
1 贈与の意思表示の錯誤と信仰の対象の価値等の判断
2 宗教問題についてのその他の解決方法の提案
事項索引
判例索引
著者略歴
奥付