ベトナムへ進出する際の拠点選択

国際取引・海外進出

 外国投資家がベトナムに進出する場合、どのような拠点を設立することが可能でしょうか。また、それらにはどのような違いがありますか。

 一般に、有限会社(1名有限会社または2名以上有限会社)、株式会社、または駐在員事務所の形態で進出することになります。駐在員事務所は営利活動を行うことができないため、営利活動を行うためには、有限会社または株式会社形態を選択することになります。有限会社と株式会社には株式や機関構成などの規定に大きな違いがあります。

解説

目次

  1. 拠点形態の選択肢
  2. 駐在員事務所
  3. 法人格のある事業体の比較

拠点形態の選択肢

 外国投資家がベトナムに進出する場合の選択肢としては、駐在員事務所、支店、1名有限会社、2名以上有限会社、株式会社のいずれかの形態があり得ます。このうち、支店形態を採れるのは銀行業、保険業など一定の業種のみに限定されているため、ここでは支店以外の選択肢について述べます。

駐在員事務所

 外国投資家がベトナムに進出する際のもっとも簡便な形態となります。駐在員事務所には法人格はなく(親会社と同一の法人格とみなされると解されています)、その活動が限定されており、営利活動を行うことはできず、非営利活動のみ行うことができます。
 具体的には、本社との連絡業務、市場調査、本社の投資の機会の促進のみを行うことができます。

 従前の法令のもとでは駐在員事務所の活動として認められていた、「本社がベトナム企業と締結した契約の履行状況のモニタリング」は2016年3月10日施行の政令07号により除外されたため、本社がベトナム企業と締結している契約に関連したサポート事業を行う場合には、駐在員事務所ではなく、現地法人を設立するように指導される可能性がある点に留意が必要です。

法人格のある事業体の比較

 1名有限会社、2名以上有限会社、株式会社それぞれについて、主要な点を比較すると次のとおりとなります。
 親会社の100%出資で法人を設立する場合には、1名有限会社を選択することになりますが、ベトナムの企業と合弁事業を行う場合の、2名以上有限会社と株式会社の選択については、別のトピックで述べます。

有限会社 株式会社
1名有限会社 2名以上有限会社
設立時の出資者数 1名 2名以上〜50名以下 3名以上
株式の発行 不発行 不発行 発行
株式/持分割合 1名の社員(出資者)が100%の持分を保有 払込資本に応じる 保有株式数に応じる
株式/持分の譲渡 譲渡可。
なお、譲渡の結果社員が2名以上になる場合には、2名以上有限会社に組織変更する必要がある。
譲渡可。
ただし、既存の社員に先買権がある。
自由に譲渡できる。
ただし、議決権優先株式は譲渡できない。また、設立時の株主が会社設立から3年以内に普通株式を他の設立時の株主以外に譲渡する場合には、株主総会決議の承認が必要。
機関構成 ①会長(委任代表者が1名の場合)または社員総会および社員総会議長(委任代表者が2名以上の場合)
②社長
③監査役
①社員総会および社員総会議長
②社長
(③監査役会:ただし、11名以上の社員がいる場合または任意に設置する場合に限る)
以下のいずれかを選択
  1. ①株主総会
    ②取締役会
    ③社長
    (④監査役会:ただし、株主が11名未満であり、かつ、法人株主が総株式の50%未満を保有する場合は強制ではない)

  2. ①株主総会
    ②取締役会
    ③社長
    ただし、取締役の20%以上が独立取締役でなければならず、また、取締役会に直属する内部会計監査委員会を設置しなければならない。

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