株主総会手続を簡略化したい場合にどうすればよいか

コーポレート・M&A

 当社は、2社が共同で設立した合弁企業(JV)(非公開会社)で、取締役会(取締役3人)、監査役(1人)を設置しています。 この度、任期1年の取締役の再任(重任)等を議題として定時株主総会を開催する予定です。 両株主には事前に相談しており、特に問題なく賛成されるとのことです。 この場合、最も簡単に定時株主総会を開催し、終了させるには、どのような手続を採ればいいでしょうか。

 株主全員の同意により、株主総会の招集手続を省略することができますし(会社法300条)、書面等による同意により、決議すらも省略することができます(会社法319条)。また、定時株主総会においては、事業報告の内容を報告しなければなりませんが(会社法438条3項)、この報告についても省略することができます(会社法320条)。
 したがって、通知、同意などの書面のやり取りの時間を考慮しなければ、1日で全ての手続を終えることも可能です(計算書類に関する手続は別途考慮する必要があります)。

解説

目次

  1. 株主総会招集手続 ~原則と例外(簡略化)~
    1. 原則
    2. 招集手続の省略
    3. その他の簡単な方法
  2. 株主総会決議・報告 ~原則と例外(簡略化)~
    1. 原則
    2. 例外 ~決議と報告の省略~
  3. まとめ

目次

  1. 株主総会招集手続 ~原則と例外(簡略化)~
    1. 原則
    2. 招集手続の省略
    3. その他の簡単な方法
  2. 株主総会決議・報告 ~原則と例外(簡略化)~
    1. 原則
    2. 例外 ~決議と報告の省略~
  3. まとめ

株主総会招集手続 ~原則と例外(簡略化)~

原則

招集通知の発出期限

 非公開会社において、書面や電磁的方法による議決権行使を認めない場合、取締役は、株主総会の日の1週間(取締役会非設置会社は定款で短縮可能)前までに、株主総会招集通知を発出しなければなりません
 なお、公開会社の場合、招集通知の発出期限は株主総会の2週間前です(会社法299条1項)。  

招集通知の書類

 取締役会設置会社においては、この招集通知の際に、(連結)計算書類と事業報告(監査報告・会計監査報告を含みます)を提供しなければなりません(会社法437条、444条6項、会社法施行規則116条4号、8号、会社計算規則133条、134条)。他方、取締役会非設置会社においては不要です。

招集手続の省略

 書面や電磁的方法による議決権行使を認めない場合には、株主全員の同意により、招集手続を省略することができます(会社法300条)。
 この同意は、明示的になされた場合だけでなく、黙示の同意でもよいと考えられています。もっとも、書面で同意を得ておくのが、紛争予防の観点からは望ましいでしょう。

その他の簡単な方法

全員出席株主総会

 株主(その代理人を含みます)全員が株主総会の開催に同意して出席している場合、招集手続がなくても株主総会を開催することが解釈上認められています(最高裁昭和60年12月20日判決)。
 招集手続の目的が、株主に出席の機会を与えるとともに、その議事・議決に参加するための準備の機会を与えることにあるので、株主全員がその開催に同意して出席する以上は、招集手続がなくても問題ないという理由からです。

口頭・電話による招集

 取締役会非設置会社において、書面や電磁的方法による議決権行使を認めない場合、招集通知を書面でしなくてもよいことになっています(会社法299条2項)。
 そのため、この場合、株主全員の同意がなくても、口頭や電話などの方法により招集手続を行うことができます(後に問題になりそうな決議事項があるような場合には、紛争に備えて書面によることが望ましいとは思います)。

 他方、取締役会設置会社では、株主総会招集通知は書面でしなければなりません(会社法299条2項2号)。

株主総会決議・報告 ~原則と例外(簡略化)~

原則

 あらかじめ決められた日時と場所において、議長が進行し、決議事項については決議を、報告事項については報告を行います。

 株主総会については、「株主総会の開催場所について」や「株主総会の決議方法の種類について」もあわせてご覧ください。

例外 ~決議と報告の省略~

決議の省略

 ①取締役または株主が株主総会の目的事項について提案をした場合において、②当該提案につき株主全員が書面または電磁的記録により同意したときは、当該提案を可決する旨の株主総会決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。
 株主が多数の会社では事実上不可能ですが、一人株主の中小企業や同族会社、完全子会社や複数の会社によるJVなどでは、この株主総会決議の省略を行うことが現実的に可能ですし、実際によく行われています。

   この場合、株主総会の招集決定等の手続も不要となります。

 会社法319条に従った場合、株主総会決議があったものとみなされるのであって、株主総会決議がないものとされるわけではありません。そのため、株主総会議事録を作成する必要があります(会社法318条1項、会社法施行規則72条4項1号)。
 また、同意書については、議事録と同様、10年間、その本店に備え置かなければならない一方で、議事録と異なり、支店に備え置く必要はありません(議事録は、支店にも、その写しを5年間備え置かなければなりません)(会社法318条2項、3項、319条2項)。

報告の省略

 会社法319条のみなし決議は、あくまで株主総会決議の省略ですので、株主総会に報告すべき事項があれば、その報告のための株主総会を開催する必要があります。 もっとも、従前から解釈上認められていたところですが、会社法において明文で、株主全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知し、株主全員の書面または電磁的記録による同意があれば、報告を省略することも可能となりました(会社法320条)。

 そのため、定時株主総会における事業報告の内容の報告(会社法438条3項)も省略することができます。

 なお、報告を省略した場合も、株主総会議事録の作成は必要です(会社法施行規則72条4項2号参照)。

まとめ

 取締役会・監査役設置会社における定時株主総会の最も簡略な手続の流れは以下のとおりです。 なお、定時株主総会においては、計算書類の承認を受けなければならないので(会社法438条2項)、その手続についても簡単に載せています。
 また、役員選任に関しては、原則として就任承諾書が登記手続の必要書類とされているので(商業登記法54条)、それも載せています。

取締役会・監査役設置会社における定時株主総会の最も簡略な手続の流れ

 その他、定時株主総会後の手続として、

  • 株主総会議事録の作成・本店および支店での備置(本店では決議省略同意書も)(会社法318条1~3項、319条2項)
  • 取締役会議事録の作成・本店での備置(会社法369条3項、371条1項)
  • 決算公告(会社法440条1項、会社計算規則136条)
  • 役員の変更登記(会社法915条、911条3項13~23号)

 などがあります。

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