「時間外、休日および深夜労働」について就業規則に定める際の留意点

人事労務
小島 彰社労士 こじまあきら社会保険労務士事務所

 就業規則では、「時間外、休日および深夜労働」に関してどのような定めをおくべきでしょうか。また、「時間外、休日および深夜労働」に関する就業規則を作成する際に注意すべきポイントを教えてください。

 時間外、休日および深夜労働に関しては、割増賃金に関する定めや妊産婦、満18歳未満の年少者などへの労働制限、管理・監督者への適用除外に関する定めなどがおかれます。また、従業員に時間外、休日労働をしてもらうためには、就業規則に定めるだけでなく「三六協定」を締結し所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

解説

目次

  1. 時間外、休日および深夜労働の制限
  2. 非常時災害の特例
  3. 適用除外
  4. 過重労働を判断する基準について

第5章 時間外、休日、および深夜労働


(時間外、休日、および深夜労働)
第46条 会社は、業務の都合により、第37条の所定労働時間を超える労働や、第43条の休日または深夜(午後10時~翌日午前5時)の労働をさせることがある。
2 従業員は、前項の命令を拒むことはできない。ただし、正当な理由がある場合はこの限りではない。
3 第1項の所定労働時間を超える労働および休日の労働は、上長の指示または上長の承認を受けた場合に限る。
4 従業員は、事前に第1項の所定労働時間を超える労働および休日の労働をする理由、対象日時を事前に上長へ連絡し、書面での承認を得るものとする。ただし、緊急を要し、事前の承認が得られない場合は、事後に速やかに承認を求めるものとする。
5 労働基準法が定める法定労働時間を超える労働、または、法定休日の労働は、所轄労働基準監督署長に届け出た書面による労使協定に定める範囲を超えて行わせないものとする。
6 法定労働時間を超える労働や、法定休日または深夜の労働をさせた場合は、給与規程に従い割増賃金を支払うものとする。
7 法定労働時間を超える労働や、法定休日または深夜の労働により疲労が蓄積し、労働安全衛生法で定める医師による面接指導の対象となる従業員は、申出を行うことで医師による面接指導またはこれに準ずる措置を受けることができるものとする。
8 前項による面接に先立ち、会社は産業医などの医師に対して、保有する特定個人情報ならびに個人情報を提供し、面談が行われた場合は、医師による意見を聴くことができるものとする。

(時間外、休日、および深夜労働の制限)
第47条 小学校就学前の子の養育、または、2週間以上の期間にわたり家族の介護を行う従業員で、時間外労働を短いものとすることを申し出た者による法定労働時間を超える労働は、前条第4項の協定に定める範囲を超えてさせず、かつ、1か月について24時間、1年について150時間を超えてさせないものとする他、深夜勤務を命じないものとする。ただし、法令による適用除外者については、この限りではない。
2 妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性であって会社に請求した者、および18歳未満の者については、法定労働時間を超える労働や、法定休日または深夜の労働、ならびに、いわゆる変形労働時間制による労働をさせない。
3 会社は、前項の請求を行い、または請求により労働しなかったことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、前条および本条第1項から前項までの制限を超えて、所定労働時間外または休日に労働させることがある。

(適用除外)
第48条 下記の各号の一に該当する者については、本章の定める労働時間、休憩および休日に関する規則と異なる取扱いをする。
(1)管理監督の地位にある者および機密の業務を取り扱う者
(2)行政官庁の許可を受けた監視または断続的勤務に従事する者

時間外、休日および深夜労働の制限

 労働基準法32条は、原則として1週40時間・1日8時間の法定労働時間を超えて労働させてはならないと定めており、法定労働時間を超える労働を時間外労働といいます。また、労働基準法35条は、原則として1週1日または4週4日の法定休日に労働させてはならないと定めており、法定休日における労働を休日労働といいます。

 このように、時間外・休日労働は、原則として許されない労働になります。しかし、業務上の必要性も無視できませんので、時間外・休日労働をさせるためには、就業規則に定めるだけでなく、時間外・休日労働に関する労使協定(労働基準法36条に基づくので「三六協定」と呼ばれます)を締結し、所轄労働基準監督署長へ届け出ることが定められています。三六協定は単に締結するだけでは効力がなく、届け出ることによって有効となり、労働者に時間外・休日労働をさせても労働基準法違反として罰則を受けることがなくなります。

 以上の手続きを経て、三六協定に基づいて時間外・休日労働をさせることができるようになっても、例外的な労働であることに変わりはないため、使用者は割増賃金を支払う義務があります。

 もっとも、就業規則で定められた終業時刻後の労働すべてに割増賃金の支払いが必要になるわけではありません。たとえば、会社の就業規則で9時始業、17時終業で、昼休み1時間と決められている場合、労働時間は7時間ですから、18時まで「残業」しても1日8時間の枠は超えておらず、時間外労働にはなりません。この場合の残業を法定内残業といいます。法定内残業は時間外労働ではないため、使用者は割増賃金ではなく、通常の賃金を支払えばよいのです。

 そして、時間外労働に関しては、働き方改革法に伴う労働基準法改正により、原則として1か月45時間、1年360時間という上限が明示されました。これより長時間の時間外労働をさせるためには、特別条項付きの三六協定の締結が必要です。ただし、そのような協定を締結しても、時間外労働の時間について、①1年720時間以内に抑える、②1か月45時間を超える月は1年に6か月以内に抑える、③1か月100時間未満(休日労働の時間を含める)に抑える、④複数月の平均を月80時間以内(休日労働の時間を含める)に抑える、という規制に従わなければなりません。①~④の長時間労働の上限規制に違反した場合は、罰則の対象となることにも注意が必要です。

 その他、労働基準法では、妊産婦(妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性)からの請求があった場合には、三六協定による時間外・休日労働および深夜労働の免除を認めて、母体の保護を図っています(66条)。満18歳未満の年少者についても、その保護の観点から三六協定による時間外・休日労働の適用が排除されるとともに、原則として深夜労働も認められていません(60、61条)。

三六協定の締結事項と限度時間

三六協定の締結事項と限度時間

非常時災害の特例

 災害等の事由により臨時の必要がある場合、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その必要の限度で時間外・休日労働をさせることが労働基準法上認められています(33条)。事態急迫のために許可を受ける余裕がない場合、事後にできるだけ早く届け出ます。

適用除外

 業務の特殊性から、労働基準法の労働時間・休日の原則についてのルールが適用されない場合があります(41条)。具体的には、本例にある管理・監督者や監視・断続労働従事者です。管理・監督者とは、経営者側に近い立場であり、労働条件の決定その他労務管理について権限や裁量を持つ労働者をいいます。ただし、これらの適用除外者でも深夜労働に関するルールは適用除外になっていません。

過重労働を判断する基準について

 会社としては、労働者が健康障害を起こさないようにするため、労働者の労働時間を適切な時間内にとどめるように管理しなければなりません。よく言われる基準として「1か月に45時間(月45時間)までの残業時間」があります。月45時間という数字は、通常の人が1日7~8時間の睡眠をとった場合に、残業時間に充当できる時間の1か月分の合計です(1日2~2.5時間×20日間)。

 また、1か月の残業時間が80時間を超えているかどうかも1つの目安になります。月80時間という数字は、通常の人が1日6時間の睡眠をとった場合に、残業時間に充当できる時間(1日4時間の残業時間)を基準として、1か月に20日間働くものとして算出された数字です。

 1か月の残業時間が100時間を超えている場合には、健康上のリスクは相当高まっているといえます。月100時間の残業は、1日5時間の残業を1か月に20日間行ったのと同等です。この点について、2018年の労働基準法改正により、月100時間を超える時間外・休日労働をさせると、特別条項付きの三六協定を締結していても、原則として罰則が科されることになりました。そのため、今後は長時間労働が刑事事件に発展するケースが増える可能性も考えられます。

©小島彰 本記事は、小島彰監修「事業者必携 働き方改革法に対応! 就業規則の作成・見直し実践マニュアル」(三修社、2019年)の内容を転載したものです。
事業者必携 働き方改革法に対応! 就業規則の作成・見直し実践マニュアル

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