もっと知財に興味を持ってほしい 楽しみながら知財を学べるボードゲーム「CUBIS」開発に込めた思い

知的財産権・エンタメ

目次

  1. シンプルに盛り上がれる知財のゲーム
  2. 興味のない人たちに知財が経営にどう活用されるのか体感してほしかった
  3. 企業内研修で活用されているCUBIS、これからの展望は

「社内の人にもっと知財に興味を持ってもらいたい」「知財の研修を任されたけど、受講者に飽きられないか不安」、そんな悩みを抱える知財部門の方も多いのではないでしょうか。

ボードゲーム「CUBIS」は、企業内の研修などで導入され、普段は知財に馴染みのない方が楽しみながら知財に興味を持つきっかけづくりに役立っていると、開発者の森 匡輝弁理士は語ります。

CUBIS Projectの代表を務める同氏に、開発に込めた思いとこれからの展望を伺いました。

シンプルに盛り上がれる知財のゲーム

CUBISはどういうゲームなのでしょうか。

開発型企業の経営者という立ち位置で、 知財を活用して事業の成長を目指すゲームです。

プレイヤーが振って出たサイコロの目の数だけコマを進め、「開発」、「ビジネス」、「イベント」のマスに設定された「ミッション」をクリアしていきます。「決算」のエリアに到着すれば、それまでに売り上げた金額(コイン)をゲットでき、ゲーム終了時に最も資産の多いプレイヤーが勝者となります。

CUBISの進め方

CUBISの進め方

開発をするタイミングや、特許、意匠、商標といった知財に投資をするか、しないかという選択が決め手となるため、プレイヤーのビジネスセンスが問われます。

普段、大学で教鞭をとることもあり、大学の講義90分間の中で、はじめて触れた学生でも楽しめるようにすることが元々のコンセプトでしたので、極力シンプルな作りにしました。

ゲームが盛り上がるポイントはどこでしょうか。

「イベント」のマスに止まると、色々なビジネス上の出来事が書かれたカードを引きます。意匠登録した商品がグッドデザイン賞を取るなど、「幸運のカード」を引くこともあれば、購入した工場が火災被害に遭ったり、商標権侵害で訴えられたりするなど、さまざまな困難も待ち受けています。

一番の大きなイベントは訴訟です。「開発」や「ビジネス」のマスで育てた知財をどう活用するかで盛り上がるように考えました。

他のプレイヤーと話をしながら、「知財を大事にしていればよかったな」「こんなことになっちゃったけど、どういう意味なのかな」と話をしてもらえるとすごく嬉しいですね。

実際にゲームをプレイした方々の反応をどう受け止めていますか。

遊んでいただいた方々には楽しんでもらえていて、手応えを感じています。ゲームを始める前は難しい顔をしているおじさんでも、すぐに熱中しますよ(笑)。

CUBISのプレイの様子

CUBISのプレイの様子

興味のない人たちに知財が経営にどう活用されるのか体感してほしかった

なぜこういうゲームを開発しようと思ったのでしょうか。

元々はメーカーの知財部に弁理士として勤務していたのですが、技術や企画、経理などの他部門では知財に興味のない人たちが多かったんです。

興味を持てない原因を聞いてみたところ、「自分には関係ないし、何の役に立つかわからない」と言われました。興味のない人たちにも、知財が経営の中でどう活用されるのか体感してもらいたくて開発に着手しました。

メーカー退職後は弁理士として企業のご支援をしていますが、知財のことを知らない経営者の方も多いです。中小零細企業であっても、独自の技術と知財を活用すれば大企業の下請けから脱却できる可能性があるよ、と伝えていきたいと思っていますし、CUBISがそのとっかかりになればいいですよね。

開発にあたってこだわった点や悩んだ点について教えてください。

難しくなり過ぎず、知財に寄り過ぎないようにこだわりました。ゲームのなかには、知財だけでなく、たとえば損害保険や税金といったビジネス上のイベントも出てきます。あくまで、知財は経営をするうえでの1つのツールなんだと体感できるように意識しています。

2〜3年前にゲームの原型はすぐ思いついたんですが、ゲーム性を持たせることには悩みました。後半に向けての盛り上がりや、一発逆転ができるようなバランスの調整が大変でしたね。手書きの紙の上でテストプレイを何回も行ったんです。

デザインにもこだわりを感じます。制作はどのようにされましたか。

多くの人に遊んでもらうために、プロダクトとしての完成度を上げる必要があるなと思い、広島市産業振興センターが運営している事業「と、つくる」でデザイナーを紹介してもらいました。オリジナルの将棋など、ゲームデザイン経験のある女性だったのですが、ゲーム自体も面白がってくれましたし、女性ならではの目線で、かわいくとっつきやすいデザインに仕上げてくれました。

CUBIS Projectの代表を務める森 匡輝弁理士

CUBIS Projectの代表を務める森 匡輝弁理士

企業内研修で活用されているCUBIS、これからの展望は

今はどのような方が利用しているのでしょうか。

企業内、特にメーカーで利用されるケースが多く、たとえば新入社員の研修やマネージャーなどの階層別研修で用いられているようです。知財の勉強というよりも、社員間のコミュニケーションが円滑になるという効果の方が大きいですね。

CUBISで遊んでみたい場合はどうすればいいのでしょうか。

CUBIS Projectのホームページでレンタルを受け付けています。販売についても考えてはいるのですが、ある程度知財に関する知識のある方がファシリテーションしてくれた方が面白くなると思っていて、一般の方向けに販売するにはもう少しゲームの内容を改善したいですね。

2か月に1回くらいの頻度で体験会も開催していますので、興味を持った方は遊びに来てください(笑)。

これからはどのような展望をお持ちですか。

色々な人に使ってもらいたい、それに尽きます。内閣府 知的財産戦略本部 知財創造教育推進コンソーシアム「知財創造教育」に関する教育プログラムにも取り上げられていますが、初等教育の場でも活用してもらえるようになったら、今よりも知財に対して興味を持ってくれる方の裾野が広がると思います。

大学へ入る前段階で、知財の世界がある、ということだけでも知ってもらいたいですね。

このゲームはあくまで知財の入り口でしかありません。ビジネスに落とし込んでいく際は、特許法などの難しい話をしないといけないので、ゲームから現実の世界につなげていくことはこれからの課題です。

CUBISの普及や、知財教育をどう進めるか一緒に考えてもらえるパートナー企業や弁護士、弁理士の方が増えたら嬉しいですね。

(取材・構成・写真撮影:BUSINESS LAWYERS編集部)

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